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CoCシナリオ「絡繰る塔」

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01:はじめに


このシナリオは「クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPGー」に対応したシナリオです。
舞台は閉ざされた塔の中、推奨人数は4~6人程度。
*推奨技能:<目星><他の言語(英語)><オカルト><応急手当><医学><精神分析><戦闘技能>
*使い所のある技能:<芸術(絵画)>

●本文の表記について
各単語や文章によっては以下のように括弧表記を使い分けています。
少々の抜けや誤表記があっても各自で対応して頂くようお願いします。
重要アイテムや特記事項などの単語:【】
特筆する文章情報:<>『』
技能や呪文に関する単語:《》
補足説明やPL・KPへの特記事項:()※
NPCの台詞や名前など:「」

 

02:あらすじ


その日はいつもより深い眠りについた探索者は、夢見心地の中で目を開くと赤い絨毯の部屋に居た。
夢現つな意識で行動を始めれば、次第にこれが夢にしてはあまりに現実じみた感覚であることに気づく。
混乱や戸惑いがあふれる最中、突如示された言葉は「生き残りたくば、階を上がり脱出口を見つけよ」。
先に見えるのは上へと続く階段のみ。探索者たちは出口を目指して奮闘することとなるだろう。


 

     ( 目 次 )
     01:はじめに
     02:あらすじ
     03:謎の塔とその背景
     04:全体に共通して起こるギミック
     05:追加ルールの提案
     06:1階「始まり」(導入)
     07:2階「最初の選択」
     08:分断探索(3・4階の共通点)
     09:3階「知の扉」
     10:4階「力の扉」
     11:5階「合流地点」
     12:分断探索(6・7階の共通点)
     13:6階「鍵の扉」
     14:7階「宝の扉」
     15:8階「合流地点」
     16:9階「仮初の出口」
     17:10階「魔女の部屋」
     18:結末
     19:クリア報酬
     20:NPCステータス一覧
     21:その他補足や裏話
     22:参考・引用(敬称略)


 

03:謎の塔とその背景


●塔の構造
この塔は円柱状の10階建てであり、一部は選んだ扉によって行ける階が異なる。
  ┌「知の扉」→3F――→ ┐  ┌「鍵の扉」→6F――→ ┐
1F→2F          5F(合流)          8F(合流)―→9F (出口)→ 10F(魔女の部屋)
  └「力の扉」――→4F→ ┙  └「宝の扉」――→7F→ ┙

移動は階段かエレベーターで行い、基本的に下の階へ後戻りはできない。
分断後の部屋には重要度の高いアイテムがあるので、探索者達には分断行動が推奨される。
探索者は様々なトラップや謎解き掻い潜り、各階を突破することとなるだろう。
結末は選んだ脱出口と行動で分岐する。ハッピーエンドへの道は、魔女の想定以上の行動を行うことだ。



●塔へ招かれた理由
この塔は黒幕である「贄人形師」と呼ばれる魔女が造り上げた、崇拝神へ捧げる生贄を選別するための舞台だ。
様々な試練を与え、迷い込ませた人間が苦しむ様をせせら笑いながら、生贄に相応しき者を探している。



●創られた少女
5階で出会う少女「リネット」は、案内係と試練の犠牲のために創られた生き人形である。
一度完成してから分解されており、5階で探索者たちに再度組み上げてもらう事と成る。
リネットには母親(魔女)に関する記憶がない。
案内に必要な情報と、無意識下に刷り込まれた衝動で探索者たちを導くだろう。
一番強い衝動は「母に会いたい」。その思いを貫くためにも探索者たちには盾にされようが協力的だ。
一方で、探索者たちと親密度を深めていけば「貴方たちを守りたい」と願うようにもなるだろう。
丁寧なお嬢様のような口調で、天真爛漫な性格。


 

04:全体に共通して起こるギミック


★死んでも終わらない悪夢
塔の中で探索者が死ぬと、探索者はみるみる硬化していき全身が石膏のようになってしまう。
最後には持ち物だけを残し、急激に脆くなって崩れてしまう。よって死体を持ち運ぶことは不可能だ。

KPは探索者が死んだ場合、そのPCのPLには秘密裏に次の情報を伝えなければならない。
(※魔女死亡後の場合は適用されません。)

―――――<死亡した探索者の役割>――――――――――
体から離れた魂は塔の力に囚われ、新たな肉人形の器を与えられます。
持ち物は全てありませんが、服装や見た目、能力値は元のPCと同じで耐久も全回復しています。
ただし、記憶は死んだ階へ上る直前で途切れており、SAN値は死ぬ直前の半分の値になっています。
この時点で一時的発狂はありませんが、もし脱出できても不定の狂気に陥ります。

そして一番重要なことに、この体は黒幕の命令に絶対服従の呪縛付き操り人形であることです。
命令が下されると、発狂していても意識が途切れ、NPCとなって他の探索者へ攻撃することとなるでしょう。
どんなタイミングで命令をされるかは分かりませんし、復活後の遭遇地点はKPの采配によります。
ですが、逆に言えば黒幕(KP)の命令が下るまでは仲間と協力することが可能と言うことです。

※注意※
PCは自分が死んだ事実や操り人形である自覚もないため、PL自身も操られる可能性を他PLに話すことは禁止です。
他PLが推測で勘ぐる分には何も問題はありません。
うっかり真実を話すと「自殺しろ」なんて命令が下るかもしれませんので悪しからず。
縛っておこうなどと提案されても、しっかり納得できる理由を他PCが言わない限りは拒否してください。
死ぬ直前の記憶が無いため怪しまれる可能性もあります。
再び仲間に入れてもらうにはそれなりの説得が必要でしょう。
――――――――――――――――――――――――――――

このチャンスは一度きりだが、それを伝えるかはKP次第だ。
元の体と違ってこの肉人形は体が残るが、耐久が減少しても《応急手当》《医学》のような治癒は効果を示さない。
もし「死んでも大丈夫だ」と高をくくって耐久を減らしたなら、後で治癒が出来ない絶望を知ることだろう。
KPの采配でどこに出現させるも自由だが、基本的な命令はNPCとして他の探索者と敵対することだ。
死んでしまった次の階から出してもいいし、命令を出すなら10階のリネットとの戦闘で出すと盛り上がると思われる。

仲間との再会時にはSAN値チェックが発生する。
死んだはずの仲間を目撃した他の探索者は(1/1d6+1)のSAN値チェック。
もし復活した仲間を同じ探索者が殺したならば、殺した者は殺人を犯したことにより(2/1d6+1)のSAN値チェック。
直接手を下さなかった探索者も目撃したことにより(0/1d6)のSAN値チェックが発生する。

 <呪縛の効果と解呪方法>
 魔女の呪縛命令は完璧ではない。
 命令する対象人数が増えるほど、探索者はその命令に抗うチャンスが高くなる。
 ・1人→対抗は発生しない
 ・2人→10%で対抗可能
 ・3人→40%で対抗可能
 ・4人→60%で対抗可能
 ・5人→70%で対抗可能
 ・6人→80%で対抗可能

 魔女の呪縛を解呪する方法は二種類ある。
 ・魔女を殺す(10階のリネットを蘇生させるルートに入ると同義)
 ・銀の指輪(魔除けの指輪)を使って、対象を一度殺してから蘇生させる

 呪縛を解けば普通の探索者へと戻れる。
 呪縛を受けたまま脱出した場合、魂は塔に囚われたままなので「探索者が途中で死亡する」結末へ直行となる。




ルーン文字(結末に関わる重要な情報)
このシナリオでは謎解きでルーン文字が大切な鍵となる。
5階の詩、鍵のルーン文字、鍵穴のヒントを元に対応した鍵を導き出す仕様だ。
情報が揃い、謎解きにどうしても詰まるようなら《(オカルト+アイデア)÷2》に成功でルーン文字の意味を伝えるといいだろう。
(例:<探索者は詩の内容からフェオ(Feoh)は「富」を意味していることを察します。>)

 <正解・不正解の鍵と各ルーン文字の意味>
×1「フェオ(Feoh)」:畜牛、富 ―― フェイク用
×2「ギョーフ(Gyfu)」:贈り物 ―― フェイク用
×3「ウィン(Wynn)」:喜び ―― フェイク用
×4「ニイド(Nyd)」:欲求、必要性 ―― フェイク用
○5「マン(Man)」:男、人間 ―― 9階出口の鍵『鍵穴の近くには“人型”が描かれている』
○6「ダエグ(Daeg)」:日 ―― 宝箱の鍵『宝箱に“太陽”が描かれている』
○7「イアー(Ear)」:墓 ―― 10階出口の鍵『“棺桶”に鍵穴がある』


★謎解き失敗トラップ
鍵と鍵穴の組み合わせを間違えてると、4種のトラップの内1つがランダムで発動する。
(※KPが1d4ダイスを振る)
1)周囲一帯に強烈な金切り音が鳴り響き、(1d4×10)分間の間《聞き耳》が使えなくなる。
2)鍵から強烈な電撃が流れ、鍵の近くにいたPCは(2d10)分間は気絶し自発行動不可となる。
3)鍵から炎が立ち上り、鍵の近くにいたPCは(1d4+2)の火傷ダメージを負う。
4)鍵を持つ手に鋭い痛みが走り、鍵をもっていたPCはPOT16の毒を負う。
 <毒の効果>
 即効性なので直ぐにPOT対抗ロールを行う。持続性はないため毒の効果は1回のみ。
 (※POT対抗はKPが行う:能動:毒のPOT値、受動:探索者のCON値)
 <目標値以上→POT対抗に探索者が勝ち、犠牲者はPOT値の半分の値の耐久を失う。>
 <目標値以下→POT対抗は毒性が勝ち、犠牲者はPOTの値と同じだけ耐久を失う。>
 勝っても負けても、以下の症状に襲われる。
 『探索者は激しい嘔吐と腹痛に襲われ、瞳孔は散大し、全身が痙攣します。
  果ては昏迷しながら、ありとあらゆる苦しみを体全体で味わうでしょう。』
 あの世との距離が縮まるような苦しみにより(1d4/1d10)のSAN値チェックが発生。




★持ち物に関するトラップ
現代設定の探索者ならば、携帯電話はほぼ確実に所持しているだろう。
画面を見ると通話可能を意味するアンテナは一番良好な状態だと示している。
ただし警察や消防に連絡しても「イタズラ電話はご遠慮願います。」と相手にされない。
ここで身内に電話をかけたならば、通話した探索者は以下の現象を体験する。

 <電話トラップ>
(※通話相手の口調は、探索者が掛けた相手の口調に直してください。)
呼び出し音は数回鳴ると、至っていつも通りの相手の声で『もしもし?』と返事が返ってきた。
探索者が状況を説明すると、『あはは、寝ぼけてるのか? そんな見え見えの嘘を吐かれても呆れるだけだぞ。』
続けざまに通話相手は言う。
『大体、いま自分の目の前に通話相手がいるのにそんな嘘が通じると……。』
『あれ? なんでお前電話掛けてないんだ? え、おいなんだよその手に持ってるもの!?』
『や、やめ……! ひとごろ し――』グシャッ ブツリッ
電話は通話が切れた音だけを虚しく鳴り響かせた。
訳も分からず身内が危険に晒されたかもしれない恐怖を体験した探索者は(0/1d3)のSAN値チェックが発生する。



★探索者同士の連絡トラップ
探索者同士で連絡先を交換し、分断後に連絡を取ろうとした場合。
1・2階では正常に探索者同士の通話やメールが可能だ。だが3階以降になると連絡はできない。
代わりに通話の場合は『オカケニナッタ電話番号ハ 現在地獄ニ繋ガッテオリマス アヒャヒャヒャヒャ』
メールの場合は返信内容が『ネェネェ 遊ボウヨ 指切リ ゲンマン 指切ッタ!』
電話は強制的に電源が切れると同時に唐突に爆発する。勿論のこと携帯電話は使えなくなる。
電話をかけた探索者は耐久に(1d4)のダメージが発生する。
通話中だった場合は以降の《聞き耳》に30%のマイナス補正が掛けられる。




★KP緊急用のトラップ
このイベントは先への道が見えているのに、一箇所に留まって全く進もうとしない探索者向けのトラップだ。
スムーズに進行すれば発生させる必要はありませんし、逆に何度でも発生させる事が可能である。
――<緊急用トラップ>――――――――――
部屋に留まっていると、不意に「チンッ」とベルのような音が鳴り響いた。
すると壁の一箇所が開き、先ほどまで何もなかった場所に小さな個室が開いているではないか。
ところが探索者達が近寄るよりも前に、その扉は閉じてしまった。

ここで《聞き耳》に成功すれば<小部屋から部屋へ移動するようにズルリッという音が聞こえる。>

一体何だったのだろうかと考えを巡らせる探索者たちだが、その隙間を鋭い風が突っ切った。
そして一番後ろに居た探索者は弾き飛ばされ、階段(または小部屋・通路)へ投げ出されてしまう。
仲間が何に弾き飛ばされたのか分からずにいると、「グルル…」と猛獣のような唸りが一瞬聞こえる。
一瞬の唸りは聞こえど姿は全く見えず、一つ確実なのは見えない怪物がこの部屋に居るということだ。
―――――――――――――――――――――――――
戦闘に入ることも可能ですが、完全不可視・声は殆ど出さない・物理無効の怪物なので探索者達は打つ手がない。
敢えて表現するなら、風の塊が獣のような形を象った怪物だ。
あとはどんどんKPが探索者を次への道へ弾き飛ばしてしまおう。
分断点ならKPが勝手な組み合わせでメンバーを部屋へ押し込んでしまえばいい。
弾き飛ばされた探索者は耐久へ(1d3)のダメージが発生。
通路や小部屋に入ってしまえば風の猛獣はもう役目を果たしたので偶に唸るだけで攻撃は止める。


 

05:追加ルールの提案


このギミックは無くとも本編に影響がないので、導入するかはKPの判断です。
追加するならばこれは最初の導入時、目が覚めた時から含めるといいでしょう。

探索者全員に一人一体、身代わりパペット(耐久4)が探索者の耐久と同化している。
パペットは探索者の腕にしっかり巻きついているため、腕を切断でもしない限り全く外れない。
どこと無く誰かに似ているような気がするその人形は、よく見れば探索者それぞれの母国語で名前が表記されている。

名前は以下の二つのパターンから選ぶ。
 ・探索者の近親者や相棒と言った親しい間柄の人物名(居ない場合は本人の名前)
 ・その場にいる探索者の名前の内で本人以外の人物名
(例:探索者AはB名表記のパペット、探索者BはC名表記のパペット、探索者CはB名表記のパペット)

このルールは無防備な守る対象を作ることで、人間の恐怖心を煽る目的も有る。
近親者の名前なら、継続探索者やキャラが作りこまれた探索者に向いているだろう。
因みに、死亡後の肉人形となった場合はパペットは居なくなる。


<パペットの効果>
無理に外そうとすると、パペットの耐久が削れるので同化した探索者の耐久も削れる。
探索者の耐久が減少すると、同時にパペットの耐久も減少する。
治癒による回復は探索者は耐久が回復してもパペットは回復しない。
累計4ポイント耐久を失うと同時にパペットの耐久も0になり、探索者の腕から離れるように崩れ落ちる。
パペットが壊れた時点で以下のようなトラップが発生する。



★近親者の名前の場合
探索者は以下の様な幻覚を見るが、これは走馬灯に近いので経過時間はほんの一瞬だ。
つまり戦闘中でも否応なしに発生するということになる。

『パペットが落ちると同時に探索者は白昼夢の世界へ誘われた。
 目の前にはパペットに書かれていた名前の、あなたの大切な人。
 その人だと認識すると、自然と足が動き出してその人物へより近づいてくる。
 相手はいつも貴方へ向ける表情で、ゆっくりと言葉を紡いだ。』
『 ど う し て 殺 し た ? 』
『すると口から、目から、耳から「ごぼりっ」と赤黒い液体を溢れさせて貴方の肩を強く強く掴んだ。』
『どうして どうして 苦しい 痛い イタイ イタイ イタイイタイイタイイタイイタイイタイ……』
『最早垂れ流される液体は腐ったオイルのような異臭とどす黒さを主張している。
 叫びを聞かされ更にガクガクと揺さぶらていると、不意に相手の片腕が弾き飛んで貴方は地面へ転がった。
 弾き飛んだのは片腕だけではない。みるみるもう片方の腕が、足が、捻り切られたように失われていく。
 そして苦しみの絶叫を聞かせる黒い液体まみれの肉塊は、頭部の上半分が削り取られ瞬間にはっきりと言った。』
『 オ マ エ ノ セ イ ダ 』

断末魔と一緒に白昼夢は終わり、探索者は現実へ引き戻される。
近親者の悲惨で惨たらしい光景を見せられた探索者は(1/1d6)のSAN値チェック。


★探索者の名前の場合
耐久0以下となったパペットに書かれた人物が探索者たちの中に居たのなら、以下の現象が起こる。
本人の名前なら効果は自分自身に反映される。

『崩れ落ちたパペットに名前が書かれていた探索者の四肢の内一本が突然力を失ってしまった。
 指先を動かすどころか感触すら感じなくなっており、無事な手で触れば段々と血の気が引いて冷えていく。
 まるで神経や血管をを切断されてしまったかのようだ。』

該当者は唐突に体の一部の機能を失ったことにより(0/1d3)のSAN値チェックが発生。
どの四肢を使えなくするかはKPが(1d4)を振り、「1:右手、2:左手、3:右足、4:左足」で決定する。
以降は該当探索者は部位不全により、その部位に関する技能は半分の値でロールとなる。
(手なら《応急手当》《こぶし》《杖》ets...、足なら《跳躍》《キック》《回避》ets...)
パペット破損と同時の部位不全の発生は分断中に起こると不便な場合もあるだろう。
よってパペットが壊れてから暫く後、KPの好きなタイミングで発生させるといい。


 

06:1階「始まり」(導入)


探索者達が目を覚ますと、見慣れない円形の部屋に寝転がっていた。
床は赤い絨毯が敷かれており、真上には大きなシャンデリアが煌々と部屋を照らしている。
ところがその照明以外に家具らしい家具はなく、先へ続く上り階段だけが目に入るだろう。

眠気も覚めた頃になると、全員の口が勝手に開き、まるで操られるようにして言葉を合唱する。
『ようこそ 試練の塔へ 生きて帰りたくば 上へ昇ることだ』
不可解な力で操られたことにより(0/1)のSAN値チェックが発生。
また、探索者たちが多国籍なのに言葉が通じる違和感に気づいたら(0/1)のSAN値チェックが追加される。

探索者達の格好は前日の昼間の時と同じ格好であり、持ち物は鞄のような手荷物程度なら所持している。
(服装は、警察官なら警官服やスーツ、医者なら白衣といった職業に合わせた感じです。)
時計を確認したならば時間は正午を示しており、正常に時を刻んでいる。
時間経過の測定にも役に立つだろう。



●階段
1人でも1階に残って階段を上がろうとすると起きる現象がある
階段に足をかけようとしても煙を踏んだようにすり抜けてしまい一向に上がれない。
ふと階段の壁面を見ると<上り階段:全員用>と書かれている。
全員が階段を上る意思を持てば、普通の階段として機能する。

階段は大人二人が並んで歩ける程度の幅で、上がった先には両開きの扉がある。
目星や聞き耳に成功しても、扉はいたって普通の木製で、先には何も気配は感じられない。
全員が2階に上がると階段通路は両壁が押しつぶすように一気に閉まり、戻り道は絶たれる。

★階段のトラップ
階段には制限トラップが設けられており、技能などをPC全員の合計で2回行ったならば罠が発動する。
(探索者Aが《目星》+探索者B《聞き耳》、探索者Aが《目星》と《聞き耳》 どの場合でも発動する。)
成功失敗に関わらず2回技能ロールを行うと<幾つもの鋭い針が両壁から飛び出す。>
探索者は生命の危機を感じたことによる(0/1)のSAN値チェックと、(1d3)の耐久ダメージを負う。


 

07:2階「最初の選択」


2階に着くと1階と同じ照明で、左右に二つの扉と正面に張り紙がある。

正面の張り紙を見ると<『限ラレシ時ノ中 迷エシヒトガタ 母ヲ求ム』と書かれている。>
張り紙に対して《目星》に成功すると
 <『全ては我が眠りの王へ』と仄かに発光した文字が浮かびあがり、直ぐに消える。>

左右の扉を見ると<左は【知の扉】、右は【力の扉】と表記されている。>
扉に対して《目星》で成功すると
 <扉には取っ手や蝶番の類がない事ががわかり、下の方に書かれた文章に気づく。>
【知の扉】の文章は<後戻りなど叶わぬ悲しき存在よ、女神より授かりし知恵をもて、“魂”を求めよ。>
【力の扉】の文章は<歩みを止められぬ愚かな存在よ、女神より授かりし屈強さをもて、“体”を求めよ。>

目星をした時点で扉は自動的に開く。
並びに、戸は左右の壁に引っ込んでしまうので、その後は文章が読めなくなる。
中は4人がギリギリ入れるほどの小さな個室で、壁の一箇所にスイッチのような突起が有る。
このスイッチを押さなければまだ移動はしない。
スイッチには、【知の扉】は「③」、【力の扉】は「④」と表記されている。
《アイデア》に成功すれば<この個室はエレベーターのようなものだ>と察するだろう。
数字が異なることも知っているなら<扉によって行ける階が異なる>事も分かる。
4人まで乗れるので人数によっては片方を選ばないことも可能だが、非推奨である。


 

08:分断探索(3・4階の共通点)


第一分断での課題は人形の部品を手に入れること。
知の扉 → 3階 魂となる【正解の赤い宝石】を謎解きで手に入れる。
力の扉 → 4階 体となるパーツ【黒髪の人形素体】を戦闘で守り切る。


●3・4階の共通事項
・入り口の封鎖
 移動は階毎に別のエレベーターを使うため、一度使ったエレベーターの出入口は封鎖される。

・制限時間
 一部屋の制限時間は30分。探索者は部屋に設置された水時計で残り時間を大まかに確認できる。
  <時間経過の例>
  5分経過、残り25分:水時計は6分の1ほど流れ落ちました。
  10分経過、残り20分:水時計は3分の1ほど流れ落ちました。
  15分経過、残り15分:水時計の液体は残り半分です。
  20分経過、残り10分:水時計の液体は残り3分の1です。
  25分経過、残り5分:水時計の液体は残り6分の1です。急いでください。
  残り時間5分以下:液体はあと数分も無いほど落ちきっています。

・タイムオーバー
 制限時間を超えるとトラップが発動する。
 どの階にどちらのトラップを設置するかはKPが決定する。被っても新規に作成してもOKである。



★時間オーバートラップ①
幻覚麻薬のガス:技能ロールペナルティ
(※そうそう居ないと思いますが、ガスマスクを持っていればこのトラップは回避可能です。)

水時計の水が落ちきった瞬間、壁の隙間から勢い良くガスが噴き出していく。
 ガスは瞬く間に部屋に充満し、探索者たちは否応なしに吸い込まざるを得ない。』
『吸引してしまった探索者は頭がクラクラし、目の前がぼやけて来る。
 すると全身がぞわぞわとした感覚に襲われ始める。
 体を見ると、蛆のような細かい幼虫のような大群が全身を這っているではないか。
幻覚とは思えないほど生々しい虫の蹂躙に、探索者は(1/1d3)のSAN値喪失。

『おぞましさに全身を掻き毟りたくなるような衝動を抑えきれずにいると、ふとその感覚は消えた。
 改めて見てみれば、虫は一匹も見当たらなくなっている。』

一時的に消えているが幻覚効果は(1d6×10)分間続く。
その間は技能を使おうとする度ペナルティが着き、探索者が技能を振る前に[1d100]を振ってもらう。
(POW×4)以下の値を出せば成功となり何も起こらない。
失敗すると、技能ロールは以下の現象により自動失敗となる。
<再び全身を虫が這うような錯覚に襲われ、幻覚時に失った値と同じだけSAN値喪失が発生する。>



★時間オーバートラップ②
反魂の呪い:性別が反転する
水時計の水が落ちきった瞬間、探索者は脳の血管が切れたような激しい頭痛に襲われて動けなくなる。
 床に膝を着かざるを得ない激痛に悶え苦しみ、気絶すら許されず死んだほうがマシだとすら思えてくるほどだ。
 逃れられない苦痛に脂汗を噴き出しながら、身体は火のような熱さに纏わり付かれ息も絶え絶えとなる。』
死を望みたくなるような激痛を受けたことにより(2/1d10+1)のSAN値チェックが発生する。

『不意にひとしきりの重苦は止む。
 やっとの事で起き上がった探索者たちは先ず体の変調に気付くだろう。』
『その異変とは――男だったはずの身体が女に、女だったはずの身体が男になっていることだ。』
自分が自分で無くなったような身体の変調に(1d6)のSAN値喪失が発生する。

性別が変化したことによる能力値変化が発生します。
・男性→女性:STR(1d3)減少、SIZ(1d3)減少、DEX(1d4)増加
・女性→男性:STR(1d3)増加、SIZ(1d3)増加、DEX(1d4)減少
(変化による耐久力・ダメージボーナス・技能値の増減影響を適用するかはKPが決定してください。)
(※性転換の変化は塔を脱出すれば解除されます。)


 

09:3階「知の扉」


個室でスイッチを押すとガクンと動き、暫し経過すると「チンッ」とベルのような音がしてドアが開く。
部屋にはいると探索するには不足ない明るさが確保されており、正面の壁は【壁画】になっている。
入り口は既に閉じられており、扉には大きな【水時計】が壁に埋め込まれている。
 <※KP情報※>
 水時計の液体が3分の2以上落ちる(約20分経過する)と次の階への扉が開く。
 <突然、壁の一箇所が開いた。開けた先はこの部屋に来る時と同じような小さな個室のようだ。>

水時計】に《アイデア》か《目星》で成功すると
 <液体は仄かに光を発しているので暗闇でも大まかな時間の経過が確認できるだろう>と分かる。
水時計】に《知識》で成功すると
 <この水時計の大きさは30分間を計れる程度のサイズ>だと分かる。

閉じられた入り口扉を《目星》で成功すると<下の方に書かれた文章>に気づく。
 <魂についての情報>
『血潮の結晶は傀儡の心臓 喜び怒り悲しみ宿し 心となりて感情を与える』

【壁画】に目をやると、<壁画に合わせて4ヶ所に赤い宝石がはめ込まれている。>
(※最初から《芸術(絵画)》に成功すれば、以下の壁画の情報が全て開示されます。)
壁画に対し《アイデア》か《目星》に成功すると
 <壁画の絵は『女神が林檎を実らせ、木には蛇が絡みつき、林檎に手を掛ける女性が描かれている』と分かる。>
 <宝石は「女神のペンダント」「林檎」「蛇の瞳」「女性の髪飾り」に赤い宝石が埋め込まれている。>
絵の内容を知ってから《オカルト》か《(知識+歴史)÷2》に成功すると
 <この絵は蛇にそそのかされたイヴが、知恵の実に手を出しているのを描いているのだと分かる。>
 <また、イヴが口にした知恵の実は、女神の不死の心臓であったと言われている>事を思い出す。


 <※KP情報※正解の宝石>
 正解の宝石は「林檎」に埋め込まれた赤い宝石。
 正解なら<壁から外して握ってみるとほんのり温く、耳を当てると脈動するような音が聞こえる。>
 不正解の宝石に手を出すと、罠が発動して以下の現象に襲われる。
 <宝石を手にした探索者は、急に心臓のあたりが苦しくなり息を荒げながら気絶する。>
 <倒れてしまった探索者は、15分間は目を覚まさず行動が取れなくなるだろう。>
 突然の心不全に驚いた探索者は、目を覚ました後(0/1d4)のSAN値チェックが発生する。


 

10:4階「力の扉」


個室でスイッチを押すとガクンと動き、暫し経過すると「チンッ」とベルのような音がしてドアが開く。
部屋にはいると沢山の人形がぶら下がったり転がったりして放置されている。
頼りの照明である蛍光灯はチカチカと点滅し、時折暗闇に包まれる。
照明の光で出来た人形の影が、まるで異形の怪物のように見える不気味さだ。
入り口は既に閉じられており、扉には大きな【水時計】が壁に埋め込まれている。
 <※KP情報※>
 水時計の液体が3分の2以上落ちる(約20分経過する)と次の階への扉が開く。
 <突然、壁の一箇所が開いた。開けた先はこの部屋に来る時と同じような小さな個室のようだ。>

水時計】に《アイデア》か《目星》で成功すると
 <液体は仄かに光を発しているので暗闇でも大まかな時間の経過が確認できるだろう>と分かる。
水時計】に《知識》で成功すると
 <この水時計の大きさは30分間を計れる程度のサイズ>だと分かる。

閉じられた入り口扉を《目星》で成功すると<下の方に書かれた文章>に気づく。
 <体についての情報>
『暗き人型は基礎の体 中身は空の器なり 器を満たし人にせよ』

体の情報を知った上で、部屋に対して《目星》で成功すると
 <部屋の奥に【黒髪の人形素体】が眠るようにその場に座ってる>ことに気づく。

【黒髪の人形素体】
絹のようにサラサラとした黒髪を湛えた人形は、小脇で抱えられる程度の大きさだ。
持ってみると見た目よりは軽く、持ち運ぶのにそれほど大変では無さそうだと分かる。
 <※KP情報※>
 ここから人形を持ち運ぶPCは片腕が塞がります。
 この人形素体は耐久5。耐久が1以上残ればパーツとして機能する。



●強制イベント
探索者が目的の人形を手に取ったら《聞き耳》をして貰う。
失敗した場合は敵の先制攻撃を受けてしまうだろう。
成功した場合は<背後からカタカタという音が聞こえる。>
振り向かなければ先制攻撃を受けてから以下の現象、振り向けば直ぐにイベントだ。

『背後から聞こえた音に振り向くと、部屋中の人形が全てコチラを向いた。』
『目の前には片目だけずり落ちたり、頭部がひしゃげて肉のような何かが覗いている人形が、外れた顎をガクガクさせている。
 奴らは凶器を持ち、何体もにじり寄って探索者の近く、【黒髪の人形素体】へと敵意をむけている。』
不可思議な力で操られた不気味な人形に囲まれた探索者は(1/1d6)のSANチェックが発生する。

KPは(1d4+2)ダイスロールをし、対峙する敵の数を決定する。
ここからは「傀儡人形」から【黒髪の人形素体】を守るための戦闘となる。
「傀儡人形」の標的は【黒髪の人形素体】を持っている探索者へ集中する。
探索者は黒髪の人形を守りつつ、敵を動けなくするか、時間経過20分間を耐えて出口へ逃げるかを選ぶ事となるだろう。
若しくは、黒髪の人形(耐久5)が耐久0以下になって破壊されると、傀儡人形たちは攻撃をやめる。


★羨むヒトガタ「傀儡人形」
STR:14  DEX:8   INT:5
CON:7   POW:1   SIZ:3 
HP:5    MP:1   回避:16  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]肉切り包丁 25%:ダメージ 1d6+db 貫通
    手足チョウダイ 40%(部位狙い 20%):ダメージ 1d2+1 治癒不可能 
[装甲]なし
[正気度喪失]目撃時に単体なら(0/1d4)、集団に囲まれると(1/1d6)の消失。
*《手足チョウダイ》は標的の肉や眼球、果ては耳すら抉り取る攻撃である。
 そのため回復は出来ず、部位に関係する技能値も20%のマイナス補正がかかる。
 ランダムに選ぶ場合は(1d6)で「1.手 2.腕 3.足 4.胴体 5.目 6.耳」から選ぶ。
*目的は【黒髪の人形素体】の破壊なので、所持していたり庇ったりするPCを標的にする。
*電気・催涙ガス等は効果が無い。
<「肉切り包丁」耐久:12 ダメージ(1d6+db)貫通 射程:タッチ 技能《杖》>
(※肉切り包丁による攻撃の受け流しは行えない。)


 

11:5階「合流地点」


部屋に入ると1・2階と同じような赤絨毯に大きなシャンデリアがある。
案の定、出入口は塞がれましたが、壁に埋め込まれた水時計はない。
見渡すと【ひび割れた石版】が壁の所々にかけてある。
部屋の中央にはベルベット生地の【真紅のソファー】と、そばに丸い机が置かれている。
机の上には【古ぼけた紙】が置かれている。


●ひび割れた石版
石版の数を聞かれたならば、KPは(1d4)を振って数を決定し、情報分散と罠誘発率を上昇させるのも手だ。
【ひび割れた石版】に目をやると、【古英語の文章】が綴られている。
【古英語の文章】の解読は、《他の言語(英語)》か、英語圏の出身者なら《母国語》だ。
古英語なので、同じ英語圏でもアメリカ英語の場合は5%のマイナス補正がつく。
それでもダメならイギリス人は《(知識+歴史)÷2》、他は《アイデア》成功後に《知識の半分》で振れる。
成功すれば、以下の情報が開示される。

 <石版に記された詩>
『“イアー(Ear)” 凍えた肉体は土に身を委ねる 約束の終焉を迎えし忌まわしき場』
『“ウィン(Wynn)” 悲痛知らぬ者には必要なきもの 至福を知り得し者が享受せし心』
『“ギョーフ(Gyfu)” 与うるとは恩恵かつ栄誉なり まったき追放者への恵み』
『“ダエグ(Daeg)” 等しく降りそそぐ喜びと安楽 皆に愛されし創造主の栄光なる光』
『“フェオ(Feoh)” 全てのものには悦びとなり 栄光をつかむため望まれる宝』
『“マン(Man)” 喜びの中では頼もしきもの 哀れむ神に試される存在』
『“ニイド(Nyd)” 時に心を締め付ける渇き 時に人の子らを助け救う願い』

詩の内容を知った後で《オカルト》に成功すると<この詩は「ルーン文字」を意味するもの>だと分かる。
 <ルーン文字の情報>
『古代ヨーロッパに誕生したとされるが、始まりはいまだ解明されておらず謎に包まれている。
 いくつもの意味や派生語が生じており、実用的な目的だけでなく、暗号や謎かけ、詩などの形で呪術的なシンボルにもされている。』


★技能回数制限トラップ
石版に対して探索者全員の累計で4回以上の技能ロールを行うと<甘い香りのする無色の毒ガス>が発生する。
探索者が甘い香りに気づいた時点で毒ガスを吸ったことになる。
香りに気づいて5階から直ぐに立ち去れば、持続時間は30分だ。
長居しているようならば、持続時間は3時間となる。
<毒の効果>
 毒ガスはPOT10、遅効性なのでガス吸引の30分後にPOT対抗ロールを行う。
 (※POT対抗はKPが行う:能動:毒のPOT値、受動:探索者のCON値)
 <目標値以上→POT対抗に探索者が勝ち、犠牲者はPOT値の半分の値の耐久を失う。>
 <目標値以下→POT対抗は毒性が勝ち、犠牲者はPOTの値と同じだけ耐久を失う。>
 負けると以下の症状に襲われ、これが戦闘中ならば5ラウンドの間行動不能となります。
 『探索者は鼻腔や喉の奥に強酸をスプレーされたような痛みに襲われる。
  焼けるような灼熱痛に声も出せずにその場で悶え苦しみだすだろう。』



●古ぼけた紙
卓上の【古ぼけた紙】には以下のことが書かれている。
<古ぼけた紙の内容>
『体の源は生命活動の基礎 魂の源は力を生み出す精気』
『代わりを得るならば代償を 椅子に触れその身を捧げよ』
『魂と体が集まりしとき 真赤の座具はヒトガタの誕生を祝う』

文章内容を知った後《アイデア》に成功すれば、要約すると以下のようだと察する。
<一文目の前半は体が体力(CON)、後半は魂が筋力(STR)だと示している。>
<椅子に触れば任意の能力を代償として捧げることになるが、足りない物を補える。>
<魂と体になるものを捧げれば人型が生まれる。>

更に【古ぼけた紙】に対して《目星》で成功すると、
<『我が道は閉ざされた結び』と仄かに発光した文字が浮かびあがり、直ぐに消えたのを目撃する。>

 <※KP情報※パーツ不足分に関して>
 ・体…【黒髪の人形素体】 → 任意のPCのCONを(1d3)消費して代替え可能
 ・魂…【赤い宝石】 → 任意のPCのSTRを(1d3)消費して代替え可能
 代替を行う探索者は『捧げる意思を持って椅子に触れると、魂ごと吸い取られるような感覚に襲われる。』
 この現象により、対象PCは(1d6)のSAN値喪失が発生する。
 (※消費したSTRやCONの値は塔を脱出すれば回復します。)



●真紅のソファー
【真紅のソファー】に《目星》か《アイデア》に成功すると
 <何かが吸い取られそうな、異様な雰囲気を感じる。>

★ソファーのトラップ
手を添えたり触れるだけなら影響はない。
ソファーに座ると<無数の人形の手が生えて探索者の手足をガッチリ拘束する。>
拘束された探索者は(0/1d3)のSAN値チェックが発生。

更に、直ぐに人形(リネット)を組み立てないと5分経過ごとに以下の現象に襲われる。
<拘束された探索者はソファーに噛み付かれて(1d4+1)の耐久が食われてしまう。>
リネットが目覚めれば、探索者の膝の上から降りて「やめてください!」と言いながらソファーをポンポンと叩く。
すると、ソファーは拘束を外して探索者を開放してくれる。



●人形を組み立てる
人形のパーツが足りない場合は、【古ぼけた紙】の情報を元に不足分を補わなければならない。
パーツが揃っているなら、【真紅のソファー】に【黒髪の人形素体】を座らせ【赤い宝石】を着けると以下の現象が起こる。

『ソファーから強い光が放たれ、探索者たちは思わず目を瞑った。
 眩さにまぶたを恐る恐る瞳を開くと、ソファーには小さな女の子が座っている。』
『少女がゆっくりと動き出し、長い睫毛を持ち上げ赤い瞳で探索者たちを見回した。
 サラリとした黒髪を揺らしながら小首を傾げ、最初に発した言葉は「ごきげんよう」と小鳥が囁くような挨拶であった。』
ファンタジーすぎる現象に少し頭が追いつかない探索者達は(0/1)のSAN値チェックが発生。

人形だった少女の名前は「リネット」。浮世離れした天然さと優しさを持った、とても小柄な女の子だ。
 <リネットから得られる情報>
・「お母様は私におっしゃったのです、『あなたを組み立てた者達を案内しなさい』と。」
・「私はお母様に作られました。けれど、私がお母様へは話しかけることは叶いませんでした。」
・「私はお母様に会いたい。会って、今度こそお話したいのです。」
・「私は“鍵のための鍵”だと言われました。」
(※ルーン文字を見せれば、印が何という”読み方”か教えてくれます。書き方や意味はわかりません。)


★人形の少女「リネット」(PCとの行動時)
STR:3   DEX:16   INT:10  EDU:1
CON:10  POW:10  SIZ:3   APP:16
HP:7    MP:10   db:-1d6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]頭突き 10%:ダメージ 1d4+db
[技能]SAN(50%)、アイデア(50%)、幸運(50%)、知識(5%)
    回避(50%)、隠れる(50%)、投擲(40%)、杖(40%)
*読み書きは特定のルーン文字の読みができるだけで、他の言語はわからない。
*基本的に塔にいるNPCの攻撃対象からは外れる仕様。



●上階への入り口
生きている探索者全員が揃えば<2箇所の壁がパッと輝き、新たに2つの扉が出現する。>
出現した左右の扉を見ると<一つは【鍵の扉】、もう一つは【宝の扉】と表記されている。>

扉に対して《目星》で成功すると<下の方に書かれた文章>に気づく。
【鍵の扉】の文章は<ムスメ ムスメ ナマエ ハ リネット オイデ オイデ アソビマショ>
【宝の扉】の文章は<イラッシャイマセ オキャクサマ オメシアガラレ ハ コチラデ>

ここの扉は生を宿したリネットが近づくと開く仕掛けだ。
『リネットが扉に触れると、奥でガタンッと音を鳴らして扉が開き、小さな個室がお目見えした。
 どうやら仕組みは他ので見たものと同じようで、中にはスイッチが一つだけある。』

この時、リネットは【鍵の扉】側に行きたいという意思表示をする。
しかし大した力もないので、探索者が強行すれば【宝の扉】側へ連れて行くことも可能だ。


 

12:分断探索(6・7階)


第二の課題は鍵と宝を手に入れること。
「鍵の扉」→6F:リネットがいると鍵を入手しやすくなる。
「宝の扉」→7F:リネットがいても大きな変化はない。

●6・7階の共通事項
・移動は階毎に別のエレベーターを使うため、一度使ったエレベーターの出入口は封鎖される。
・探索者は部屋に設置された水時計で時間を大まかに確認できる。
・制限時間を超えるとトラップが発動する。(選ぶトラップは3・4階と共通)
・次への扉が開く条件は20分間経過すること。
 →<突然、壁の一箇所が開きます。開けた先はこの部屋に来る時と同じような小さな個室のようだ。>
・リネット以外が全滅した場合、リネットのみで20分間の経過を待って次の階へ移動することは可能。


 

13:6階「鍵の扉」


目的の階に到着してベルの音が鳴るも、何故か扉が開かない。
エレベーターを見回しても特に目ぼしいものはないが、閉ざされた扉に対して《聞き耳》を行える。
技能を行った探索者は成功・失敗に関係なく以下の様な音が聞こえてくる。
『ハヤク シナイ ト ミミゴト チギッチャウヨ』
男か女かも分からないような薄気味悪い声を聞いた探索者は(0/1)のSANチェック

聞き耳を終えると扉は自動的に開く。
室内は随分と暗く、照明は入り口両端に設置された燭台だけで先の方は暗くてかなり見辛い。
奥へ注視しても、灯りを照らしても、眼前に広がる暗闇に全て飲み込まれて黒色しか見当たらない。
部屋に足を踏み入れると扉は閉じてしまい、下階のものと同じ【水時計】がそこにある。
(※水時計に対しての情報は今までと同様)

閉じられた入り口扉を《目星》で成功すると<下の方に書かれた文章>に気づく。
 <敵についての情報>
 『同族嫌悪 見たくないから 分からない』



●ピエロとの遭遇
技能ロールを行った時点で、以下の現象に見舞われる。

『ヒヒヒ』

『アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ』

『探索者たちはどこからとも無く、かすれたような、引きつるような、耳障りの悪い笑い声に囲まれた。
 わめく笑い声から逃れようと耳を塞ぐも、音は全く小さくならない。
 ひとつ確かなことは、この声は自分たちへ向けられた悪意だということだ。』
まるで脳を直接かき乱すような笑い声に、探索者は(0/1d4)のSAN値チェックが発生。
また、笑い声を聞き続けている場合は、30分毎に再び(0/1d3)でSAN値チェックが発生してしまう。
更に、<この笑い声が聞こえている探索者は、全ての技能値へ5%のマイナス補正がかかる。>
(※能力値対抗ロールの場合はマイナス補正は適用されません。)

笑い声によるSAN値チェックが終わったあたりで以下のシーンに移る。

『煩わしい笑い声に頭を抱えながら、視線を上げると暗闇の中に二つの目玉が浮かんでいる。
 目玉はあちこちを狂ったようにぐるぐる見回して、ギョロリとこちらへ目線を合わせてきた。』
『すると目玉に気を取られていた探索者の首筋を、無機質的な感触の手が掴んだ。』
『アソボウヨ ケケケケ』
『今度はハッキリと、気色の悪い笑い声が耳元で聞こえた。』

KPはPLへ直ぐに振り向くか決定するよう聞かなければならない。探索者もといPLは躊躇や相談する暇はない。
直ぐに振り向けば回避が自動成功となる。
だが振り向かなかったり相談や躊躇するならば、ピエロの《かぎ爪》が自動成功となり探索者は(1d6)ダメージを受ける。
攻撃されて尚も振り向かないということはないだろう。
尚も振り向かないのであれば、以降の戦闘では振り向くまで《回避》や《受け流し》の類は行えない。

『振り返れば、笑い声の正体であろうピエロ人形がそこにいた。』
『ピエロは首を宙に浮かせ、赤い球体に黒い瞳孔の目は焦点が合っておらず、長い緑の舌がグネグネと舌なめずりしている。
 バラバラに動く鋭利な爪を生やした幾つもの手は、地面を引っ掻いてガラスを削るような音を立てながら近づいていた。』
音なき笑い声「嘲るピエロ」を目撃した探索者は(1/1d6)のSAN値チェックが発生。
もし探索者が発狂したならば、KPは狂人の洞察力を提案して何かしら情報を開示することをお勧めします。
(狂人の洞察力(ルルブP.91):発狂したPCが1d100で(INT×5)以上の値を出すと成功。)

戦闘中でも《目星》は可能だが、振り向いて回避したならば近くにいるので+20%補正で《目星》が行える。
《目星》に成功すると、<ピエロの首から【鍵の束】が吊り下げられている>ことに気づける。
何ラウンドも気づかないようなら、狙われていないリネットが気づいて口にするだろう。



●ピエロとの戦闘
以降は「嘲るピエロ」との戦闘になる。
この時点では《乗っ取り》攻撃はしないので、KPはその他の攻撃を行うこと。
ピエロの標的は探索者のみで、リネットは除外されている。
しかも<リネットだけ笑い声は平気な上に、ピエロはリネットが見えていないようだ。>
これにPLが気づくかは、扉の情報からの推理とKPのリネットの動かし方次第となる。

ピエロを破壊するか、攻撃が命中すると生まれる隙を使えば【鍵の束】を入手できる。
攻撃に成功すると出来る隙は<次のピエロの攻撃手番が来るまで>は続く。
奪う場合は、隙ができているなら1d100で(DEX×5)以下の値を出すと成功。
隙がない場合は(DEX×1)そのままの値以下を出さなければならない。
リネットなら敵は見えていないので攻撃ロールに成功すれば回避されずに当たる。
並びに、この階に居るうちはリネットも鍵に触れるので奪うロールを行える。
(例)DEX順:リネット(16)→ピエロ(15)→PC1(13)→PC2(10)
  リネットの攻撃が失敗
   ↓
  ピエロの攻撃が失敗
   ↓
  PC1の鍵を奪う(DEX×1)失敗
   ↓
  PC2の攻撃がピエロに命中
  次のピエロの手番まで隙が出来る
   ↓
  リネットの鍵を奪う(DEX×5)成功により鍵入手


探索者が【鍵の束】を入手したそのラウンドから「嘲るピエロ」は《乗っ取り》を使ってくる。
倒してから【鍵の束】を入手後に、10分間その場に留まっている場合はピエロが復活して《乗っ取り》が90%で行える。
不意打ちなので探索者は《回避》を行えない。警戒するRPをしていたならば《回避》を可能にしてもいいだろう。
もし乗っ取られた犠牲者が置いて行かれると、耐久が0になるまで(1d2)のSAN値+耐久減少ロールをする事となる。


★音無き笑い声「嘲るピエロ」
STR:13   DEX:15    INT:16
CON:10  POW:15   SIZ:4
HP:7    MP:15    回避:30  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]かぎ爪 40%:(1d3)回の連続攻撃 ダメージ 1d6
    乗っ取り 80%:対象をNPC
[装甲]なし
[正気度喪失]目撃した場合(1/1d6)
*その場にいるPCに脳内に直接気味の悪い笑い声を聞かせ続ける。
 耳からでなく脳に直接情報を送り込んでいるようなものなので耳栓をしても、聴覚障害持ちでも防げない。
 防げるとするならば、心因性の聴覚不全者か死者のみである。
 嘲笑を聞かされているPC全ての技能値を強制的に5%マイナス補正させる。
 耐久0以下になってもこの笑い声が途切れることはない。
*乗っ取り前のピエロ単体の時は電気・催涙ガス等は効果が無い。
*【鍵の束】を奪われるまで《乗っ取り》は使用しない。
*乗っ取りに成功すると犠牲者は意識を持ったままNPC化され、1ラウンド毎にSAN値+耐久を(1d2)ずつ減らす。
 回避や攻撃は犠牲者の技能値に依存するようになる。
*攻撃されると犠牲者とピエロの両方の耐久へダメージが行く。
 片方だけにダメージを入れることは出来ない。
*乗っ取り対象が気絶(耐久2以下)、またはピエロが先に耐久0以下になると離れる。
*ピエロは体が無くなろうと耐久0以下になってから10分後には耐久5で復活する。



●出口イベント(※乗っ取り中は発生しない)
出口の小部屋に入ってからこのイベントは発生する。
まだ「嘲るピエロ」が生きている場合は、DEX対抗で逃げるしかない。

逃走成功時の文章
 →探索者達が出口の部屋へ逃げこみ、スイッチを押すとすぐさま扉が閉まりだした。
普通に入った時の文章
 →探索者達が移動するべく小部屋の中へ入り、スイッチを押すと扉が閉まりだした。

ところが「ガゴンッ」と鈍い音とともに扉が半開きになり最後まで閉まらない。
何故かと目をやれば、ピエロが扉の隙間で挟まりこちらに無理やり乗り込もうとしている。
『アソボウヨ モット モット アソボウヨ ヒヒヒ』
また脳に直接響くような気味の悪い声で言葉が聞こえる。
探索者は蹴るでも殴るでもして外へ押し出せばピエロはもう追ってこれない。
ただ上階へ昇る途中で『ドウセシヌノニ』という呟きが一瞬聞こえるだろう。
この呟きを聞いた探索者は(0/1d3)のSAN値チェックが発生。




●【鍵の束】
不思議なことに、6階を抜けるとリネットはこの鍵に触れることが出来なくなる。
鍵は4本を輪で通して纏めた束になっており、全て形がそっくりだ。
<大きな違いは1・2・6・7と振られた番号と、印された記号が違う程度である。>
記された記号=ルーン文字である。
鍵をリネットに見せれば、それぞれのルーン文字の「読み方」を教えてくれる。
 <※KPのへの解説>
 触れないのは、鍵をリネットに使わせてトラップの対象にするのを防ぐためです。
 進行しやすくするため、鍵には番号が振ってあります。それ以上の意味はありません。
 詩の情報を入手しているならば、下記のように一緒に情報公開すると混乱しないでしょう。
・1は「フェオ(Feoh)」――(詩:全てのものには悦びとなり 栄光をつかむため望まれる宝)
・2は「ギョーフ(Gyfu)」――(詩:与うるとは恩恵かつ栄誉なり まったき追放者への恵み)
・6は「ダエグ(Daeg)」――(詩:等しく降りそそぐ喜びと安楽 皆に愛されし創造主の栄光なる光)
・7は「イアー(Ear)」――(詩:凍えた肉体は土に身を委ねる 約束の終焉を迎えし忌まわしき場)


 

14:7階「宝の扉」


室内は薄暗く、部屋に何カ所か設置された小さなランプが足元を照らしている。
部屋に足を踏み入れると扉は閉じてしまい、下階のものと同じ【水時計】がそこにある。
(※水時計に対しての情報は今までと同様)

閉じられた入り口扉を《目星》で成功すると<下の方に書かれた文章>に気づく。
 <敵についての情報>
 『運が良ければ 運が悪い 幸運を祈る』

中央には大きなテーブルと、この場にいる探索者の人数分の椅子が用意されている。
<「椅子」耐久:15 ダメージ(1d6+db) 射程:タッチ 技能《杖》>
卓上に目をやると、お皿にフォークやナイフの食器類、テーブルナプキンが置かれている。
お皿の上には紙切れがあり、「ヒトクチ ダケデモ オメシアガリ ヲ」と書かれている。
ひと通り見たところで以下のイベントが発生する。

『これから食事会だと言わんばかりの光景を眺めていると、奥から給仕女がワゴンを押してぬっと出てきた。
 給仕女は帽子から首元にかけて布が覆っており、顔を見ることは叶わない。
 一切喋ることも敵意を向けることもなく、ワゴンからテキパキと料理を並べている。
 並べ終わるとテーブルの横で、探索者が席について食べるのを待っているようだ。』

ワゴンは目星をしても白いクロスで見えなくされているので中身は分からない。
ワゴンに触ろうとすると、給仕女が通せんぼするだろう。



●料理を食べる
ここからは探索者の《幸運》ロールの結果が運命を分ける。
後の分岐のために、食べる人数はなるべく多いほうがいいだろう。
(※ここの結果に対しクリティカルやファンブルは全く影響しません。)
料理を口にして飲み込んだら、探索者には《幸運》ロールをしてもらう。
料理は全部で3種類あり、料理が変わる度に食べてから《幸運》を振らなければならない。
給仕女は探索者が料理をひっくり返したりすると同じ料理を、一口でも食べれば次の料理にすぐ変えてくれる。

 <出される3種類の料理>
 幸運に成功した場合は<見た目に反してとても美味しい>と感じ、失敗すると以下の様な味だ。
 あまりにPCが不味そうRPをするようであれば、全種食べ終わった後に(0/1d4)のSAN値チェックをしてしまおう。
 ・1種目「真っ青な色のスープ」
――<アルミホイルを噛んだような味がする。>
 ・2種目「黒々としたソースを和えた紫色のステーキ」
――<ゴムのような食感に血生臭さとヘドロを合わせたような味がする。>
 ・3種目「濁った緑色と蛍光色が毒々しくも鮮やかな色のゼリー状のデザート」
――<砂を粘液で絡めたような刺々しい食感が口いっぱいに広がる。>

最後の料理を片付ける終わると、給仕女は【黄金色の箱】を手に持っている。
そして探索者たちの《幸運》ロールの総計結果で3つに分岐する。

・合計3回以上《幸運》ロールに失敗した
  あまりの料理の不味さ、後味の悪さに、口にして幸運に失敗した探索者の耐久が(1d3)ポイント減少する。
  (※この耐久減少は毒物によるものと同等なので、<医学>でしか回復できない。)
  給仕女は【黄金色の箱】をテーブルに置くと、しずしずとワゴンを奥へ運びながら帰っていくだろう。
  後は【黄金色の箱】を持ち、時間経過を待って次の階へ行くだけだ。

・合計1・2回だけ《幸運》ロールに失敗した
  あまりの料理の不味さ、後味の悪さに、口にして幸運に失敗した探索者の耐久が(1d3)ポイント減少する。
  (※この耐久減少は毒物によるものと同等なので、<医学>でしか回復できない。)
  給仕女は【黄金色の箱】を出しはするが、渡そうとしない。
  給仕女から奪おうとすると、何も対抗ロールはせずに箱は入手できますが、下記の攻撃した場合と同じ流れになる。
  奪おうとせずに出口へ向かうなら特に何も起こらない。

・誰一人として《幸運》ロールに失敗しなかった
  耐久減少などはないが、給仕女が【黄金色の箱】を渡そうとしない。
  給仕女から奪おうとすると、何も対抗ロールはせずに箱は入手できますが、下記の攻撃した場合と同じ流れになる。
  奪おうとせずに出口へ向かうなら特に何も起こらない。


●給仕女との戦闘
顔の覆いを捲ったならば、SAN値チェックと不意打ちの攻撃が1回行われるだけで済む。
3種類の料理を口にせず攻撃行動に移ったならば、【黄金色の箱】はまだワゴンの中で戦闘に入る。
食事後に【黄金色の箱】を奪うと以降は戦闘ラウンドとなる。

『給仕女の頭に被された布が落ちて、その顔が露わとなった。』
『そこには眼や鼻や口と言ったパーツはなく、びっしりと小さな虫の卵のような粒が顔面いっぱいに覆っている。
 小さな粒はくすんだ乳白色で、時折うぞうぞと動いて存在を主張しているようだ。』

顔を目撃したことで、鳥肌が立つような気色悪い恐怖を感じた探索者は(1/1d6)のSAN値チェックが発生。
以降は、給仕女こと「卵女」との戦闘に入る。脱出口が開いているなら、DEX対抗を行えば逃走も可能だ。


★奇禍の苗床「卵女」
STR:10   DEX:10   INT:8
CON:12   POW:1   SIZ:11
HP:11   MP:1    回避:20  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]舌刺し 45%:ダメージ 1d6
[装甲]なし
[正気度喪失]卵女の顔を見た場合(1/1d6)
*舌刺しは喉から伸びた長い触手のような舌を対象に突き刺し、耐久へ(1d4)のダメージを与える。
*卵女が耐久0以下になるか、与えたダメージが合計で5になると、顔面の卵が孵化する。
*卵が孵化すると、卵女はその場でひしゃげたように崩れ落ちる(死亡する)。



●奇禍の孵化
以下の条件をどちらか満たすとこのイベントは発生する。
・「卵女」を耐久0以下にする
・卵女の与えたダメージが5ポイント以上に達した

『女の動きがピタリと止まり、みるみる体がミイラのように萎みだした。
 全身が朽木のようになると、ぐしゃりと音を立ててひしゃげてしまった。』
『ひしゃげた体が動くことはない。しかし、顔面を覆う小さな粒は別だ。』
『「ぱりっぴりっ」と卵の表面が次から次へと割れていき、中から淡黄色の蜘蛛のような虫がわらわらと這い出してきた。
 虫はやがて一個体の塊のような群体となって目の前の次の獲物、探索者たちへ標的を定めている。』

世にもおぞましい孵化の現場を目撃した探索者たちは(1/1d6+1)のSAN値チェックが発生する。
次ラウンドからは、変災の群体「奇禍虫」との戦闘へ移行する。

KPは(2d10+10)を振り、[奇禍虫の匹数=耐久]を決定する。
脱出口が開いているなら、DEX対抗を行えば逃走も可能ですが、奇禍虫の敏捷(DEX20)的に望み薄だろう。
よって奇禍虫の性質「金色の物に群がる」を利用して、金色のアイテムを遠くに投げた上で逃走するならば自動成功に出来る。
ただしこの性質上、【黄金色の箱】、金髪、金色の装飾品などを有しているPCが中心的に狙われる。
優先度の高い標的が複数ある場合はKPが標的を選択すること。


★変災の群体「奇禍虫」
STR:3     DEX:20   INT:10
CON:3     POW:10   SIZ:1(個体値)
HP:2d10+10  MP:10   回避:40
――――――――――――――――――――――――――
[武器]群体攻撃 90%:対象一人に(2d10)回の攻撃、耐久ダメージ(攻撃回数÷2)+攻撃回数分の幸運&SAN値を吸収
[装甲]なし
[正気度喪失]孵化の現場を見た場合(2/1d6+1)、攻撃を受けた場合(下記参照)
*幸運と正気度を喰らう変わった化け物昆虫の大群
*卵女が死ぬと、直ぐに孵化して次ラウンドから戦闘に入る
*孵化した匹数はKPが(2d10+10)で決定。耐久=群体の匹数となる
*標的の優先度は「金色の目印」>「《幸運》の値が高いPC」>「その他」
 群体での攻撃なので、対象一人に1ラウンドで(2d10)回の攻撃が行える。
*犠牲者は(攻撃回数×2)の幸運ポイントの消失と、(攻撃回数)値のSAN値消失ダメージを与える。
 失った幸運の値は塔を脱出するまで戻らない。
*対象が回避に成功すると、消失ダメージは半分に抑えられる。
*金色のものに群がる習性があるため、金色のアイテムを遠くへ投げれば隙が出来る。
 エレベーターまで逃げ込めば奇禍虫は追ってくるのをやめる。




●【黄金色の箱】
不思議なことに、リネットはこの箱に触れることが出来ない。
テッシュ箱程度の大きさで、振ってみても特に音はしない。
開こうとしてもびくともせず、鍵穴があることから鍵がかかっているのだと分かるだろう。
(※かなり特殊な魔術的ロックなので《鍵開け》は自動失敗です。)
《目星》に成功すると<異形頭の男、鳥、羊のレリーフで飾られている>事がわかる。
《(知識+アイデア)÷2》に成功すれば<男性の異形頭はフンコロガシ、鳥はハヤブサ、羊は雄牛>であることが分かる。
《オカルト》に成功すれば、以下の情報が公開される。

レリーフが象徴するもの>
太陽神ラーは太陽の昇り沈みで自由に姿を変形すると考えられている。
日の出はケプリと呼ばれる、人間男性の体にタマオシコガネ(フンコロガシ)の頭をもつ姿で表現される。
日中はハヤブサの姿をして天を舞い、夜は雄羊の姿で夜の船に乗り死の世界(夜)を旅するとされている。
これは太陽の動きを神格化したものであるとされている。

 <※KP情報※ここの鍵穴に対して正解の鍵>
 『太陽』のレリーフから、導き出される詩は
 『“ダエグ(Daeg)” 等しく降りそそぐ喜びと安楽 皆に愛されし創造主の栄光なる光』
 よって『6「ダエグ(Daeg)」』の鍵が正解となります。
 それ以外の鍵を使ったならば、KPが(1d4)を振って発動するランダムトラップを決定して下さい。



●【銀の指輪】
宝箱を開いてみると中身は【銀の指輪】がひとつだけ入っている。
《目星》に成功で<何かの記号が表面に33、内側に3つずつ刻まれている>と分かる。
記号に対して《オカルト》に成功で以下のことに気付く。
 <この文字はルーン文字と呼ばれる魔術文字である。>
 <3とその倍数には秘められた呪術的な力があるとされ、指輪にその数だけルーンを刻み“魔除けの指輪”にされたと言われている。>
よって、この【銀の指輪】は【魔除けの指輪】であることが分かるだろう。
(※指輪のルーン文字はリネットに見せても、「ごめんなさい、この文字は分からないです。」と言われます。)

 <※KP情報※【魔除けの指輪】について>
 この33と3のルーン文字が刻まれた魔除けの指輪には、
 『呪縛を解き放ち、失われた命を三度だけ蘇生させる効果』があります。
 効果を発揮させる条件は、<耐久が0以下になった人物に指輪を嵌める>ことです。
 生存者が嵌めても何も起こりませんが、嵌めていれば耐久0以下になると自動的に効果は発揮されます。
 指輪のサイズは指定しませんのでKPが決定してください。
 悩んだ場合はSIZ(2d6+6)までの人間が嵌めれる大きさにするといいでしょう。
 このシナリオ上の目的としては、
 ・最上階で殺したリネットに装着させて蘇生させる。
 ・事前に指輪を嵌めておいた探索者を蘇生させる。
 ・肉人形となった探索者を一度殺してから指輪で蘇生させ、魔女の呪縛から解放する。
 蘇生すると耐久力は3ポイントになっています。SAN値の回復はできません。
 ただし、探索者の蘇生時には自分が死んだ記憶があるはずなので(1d6)のSAN値喪失です。
(※この指輪は塔を脱出すると自動的に消滅するため、他セッションで死亡したPCの復活は不可能です。)


 

15:8階「合流地点」


部屋は今まで合流した場所に比べると随分と質素だ。
見渡すと部屋の中央に何か落ちており、近づいてみると【3本の鍵】だと分かる。

部屋に対して《目星》や《幸運》に成功すると<壁に書かれた乱雑な文章>を見つける。
 <乱雑な文章>
 『魔女め 奴は狂っている 私は死を選ぶしかない』

【3本の鍵】は6階の【鍵の束】と同じく、全て形がそっくりだ。
<大きな違いは3・4・5と振られた番号と、印された記号が違う程度である。>
記された記号=ルーン文字である。
鍵をリネットに見せれば、それぞれのルーン文字の「読み方」を教えてくれる。
また不思議なことに、リネットはこの鍵に触れることが出来ない。
 <※KPのへの解説>
 触れないのは、鍵をリネットに使わせてトラップの対象にするのを防ぐためです。
 進行しやすくするため、鍵には番号が振ってあります。それ以上の意味はありません。
 詩の情報を入手しているならば、下記のように一緒に情報公開すると混乱しないでしょう。
・3は「ウィン(Wynn)」――(詩:悲痛知らぬ者には必要なきもの 至福を知り得し者が享受せし心)
・4は「ニイド(Nyd)」――(詩:時に心を締め付ける渇き 時に人の子らを助け救う願い)
・5は「マン(Man)」――(詩:喜びの中では頼もしきもの 哀れむ神に試される存在)



●上階への階段
生きている探索者全員が揃えば<正面の壁がパッと輝き、新たな通路階段が出現する。>
通路階段は9階への直通だ。
ここの階段を上がっても通路の入り口は閉じられない。
ただし一人でも階段の中程まで上がると、下の階は水が流し込まれて水没し、戻れなくなる。
流し込まれる水位は階段中間あたりまでで、9階へ到達することはない。
全員で向かう場合は、上る途中で探索者が逆走すれば部屋に水が注がれていることが判明するだろう。
それか階段上か近くで《聞き耳》に成功すれば<下の方から水が流れる音が聞こえる。>
(※もしこの階に何か忘れ物をした場合は《水泳》と《目星》の両方に成功すれば取りにいけます。)



 

16:9階「仮初の出口」


階段を上がり切ると、扉はなく、直ぐに部屋に入れる。
部屋を見回したなら、壁際に転々と置かれた支柱照明により照らされた光景――
<天井いっぱいにぶら下げられた人骨やミイラが照らされ浮かび上がっている>惨状を目撃してしまう。
光景を見てから《アイデア》に成功すると<これが自分たちの行く末なのではと恐ろしい想像をしてしまう。>
退廃的なおぞましい光景に探索者は(1/1d4+1)のSAN値チェックが発生。
《アイデア》成功者は上記数値でなく(2/1d6+1)でSAN値チェックとなる。

天井に対して《目星》に成功すると
<死体は細い糸のようなものでぐるぐる巻きにされて、天井からぶら下げられている>と分かる。
 <※KP情報※>
 糸は【マリオネット】によるものです。
 この段階では糸の可燃性が高い事はかなり分かり辛いでしょう。
 《生物学》などに成功すれば<あの糸は蜘蛛のような生物のものでなく人工的な糸である>と分かります。

【支柱照明】はそこそこ重いため武器として扱うなら両手で持たなければならない。蝋燭を外すと先端は鋭い針状だ。
<「蝋燭なしの支柱照明」耐久:15 ダメージ(1d6+db 貫通) 射程:タッチ 技能《杖》>
<「火が灯ったままの支柱照明」耐久:15 ダメージ(1d4)+燃焼 射程:タッチ 技能《杖》>


●大きな音に反応するトラップ
この階では大きな音を鳴らすと発生するトラップがある。
主に大声で叫んだり、鍵トラップ1(鍵の呪いが作動して、周囲一体に強烈な金切り音が鳴り響く)が発動した場合だ。
先ずは探索者には《聞き耳》をして貰う。使えない場合は《幸運》で発見できる。
成功すると<「カランッ」という何か軽いものが落ちたような音>が聞こえる。
音のした方を見ると【マリオネット】が落ちている。
失敗した場合は何も聞こえないが、周囲を見渡したなら【マリオネット】に気づくだろう。

【マリオネット】はあまり可愛い見た目ではなく、どちらかと言うと気味が悪い。
《目星》に成功すると<マリオネットから伸びた細く長い糸が天井にまで繋がっている>と分かる。
近づく段階ではまだ何も起こらない。
「触る」「攻撃する」「10分経過」の何れかで、以下の現象が起こる。

『マリオネットが突然ひとりでに動き出し、一番近くの探索者に取り憑いた。
 いくら暴れようと全く離れず、みるみるマリオネットの糸が探索者の頭部に絡みついていく。
 ついには顔が見えないほど糸に覆われ、当の探索者も微動だにしなくなってしまった。』
『他の人物が声をかけても何も答えない。
 それどころか、ぎこちない動作で、犠牲者は他の人物を襲い出し始めた。』

目の前にいた人間が人形に取り憑かれた光景を目撃した探索者は(0/1d6)のSAN値チェックが発生。
(犠牲者の他に探索者が居ないならば、呪縛は解けず死=全滅を意味します。リネットは何も出来ません。)


以降は、呪縛された犠牲者との戦闘となる。
「マリオネット」に呪縛された犠牲者はNPC化、他の探索者へ攻撃をして貰う。
犠牲者が行えるのは攻撃行動のみで回避は出来ない。リネットは攻撃対象から除外される。
犠牲者を救うなら以下の行動だろう。
・「マリオネット」の耐久を0以下にする
  普通に攻撃すると、マリオネット(耐久10)と犠牲者の両方にダメージが通る。
  マリオネットだけを狙って攻撃する場合は、技能値へ20%マイナス補正がかかる。
・犠牲者を一度殺して蘇生させる。
  犠牲者の耐久が0になっても、糸が緩んでマリオネットはその場で砕ける。
  《応急手当》や《医学》で成功か、「魔除けの指輪」を使えば蘇生可能だろう。
・火を使う
  糸の可燃性が高いため、火を当てれば全身に燃え広がり丸ごと焼却できる。
  マリオネットは燃え尽きるが、犠牲者は(3d4)火傷ダメージ。
  迅速に水を掛けて鎮火作業を行ったならば、(1d4+2)程度の火傷ダメージで済む。



●部屋の鍵穴
部屋に対して《目星》をに成功すると<壁の一箇所に絵が描かれている>ことに気づく。
近づいてみると、<絵は古代ローマを彷彿とさせる風貌の人間が、壁に彫り込まれるようにして描かれている>と分かる。
絵の直ぐ下には【小さな鍵穴】がある。
【小さな鍵穴】に対して《アイデア》か《目星》で成功すると<手持ちの鍵と大きさが一致しそうだ>とわかる。

 <※KP情報※ここの鍵穴に対して正解の鍵>
 『人間』の絵から、導き出される詩は『“マン(Man)” 喜びの中では頼もしきもの 哀れむ神に試される存在』
 よって『5「マン(Man)」』の鍵が正解となります。
 それ以外の鍵を使ったならば、KPが(1d4)を振って発動するランダムトラップを決定して下さい。



●仮初の出口
正解の鍵を使うと以下の現象が起こる。

『鍵を使ってみると、鍵穴から縦に真っ直ぐの線状の光が差し込む。
 ゆっくりと壁は左右へ動き、人間一人が通れるくらいの光の入り口が出現した。』

探索者達がこの出口から出ようとする意思を見せると、リネットが少しだけ引き止める行動に移る。
誰かの服の裾をちょっと掴んだり、今にも泣き出しそうな表情で「行ってしまうのですか?」と聞くなどだ。
ここで《心理学》に成功すると以下の気持ちがわかる。
 <本心から行って欲しくないようで、他にも何か言いたそうにしているが言葉が見つからず戸惑っているようだ。>
それかRPで上手く聞き出せれば以下の様なことを言う。
 「お母さまに会いたい……けれど私ひとりじゃ、会えないのです。」
あまり強い主張はせず、引き止めに応じずにここから出ると言う探索者は潔く見送るだろう。
探索者が出口を潜ると『まばゆい光りに包まれながら、探索者は白い世界の中で意識を手放す。』

 <※KP情報※>
 この時、出口を潜った探索者が塔で手に入れた持ち物はいつの間にか出口の前に落ちています。
 ここから脱出すると「10:結末「9階 仮初の出口からの脱出」ルートとなります。



●引き止めに応じた
上階への入り口は、リネットの引き止めを無視した者が居なくなると通れるようになる。
脱出者の持ち物が落ちている場合(主に鍵・指輪)は拾うようKPは促すといいだろう。
残った探索者はリネットに手を引かれて出口とは反対側の壁に向かわされる。
「こっちです、あなたがいれば私も通れます!」
一見してもよく見ても何の変哲もない壁だが、リネットはスルリと壁の中へ入っていく。
壁に振れてみると、物質的な感触はなくスカスカとしている。
思い切って壁の中へ入り込めば、更に上へと続く階段通路に足を踏み入れる。
この通路には何もなく、ただ最上階へ上がるのみだ。
また通路に入った時点で、すり抜けた壁は通れない普通の壁に戻っている。


 

17:10階「魔女の部屋」


階段を上がり切ると仄暗い部屋に辿り着く。
壁側にはガラクタとなった人形の部品や、斧や鋸に槍のような凶器が積み上げられている。
<「短刀」耐久:9 ダメージ(1d4+db) 射程:タッチ 技能《ナイフ》>
<「大きい棍棒」耐久:20 ダメージ(1d8+db) 射程:タッチ 技能《杖》>
<「肉切り包丁」耐久:12 ダメージ(1d6+db)貫通 射程:タッチ 技能《杖》>

奥の方へ目をやると、黒い棺にもたれ掛かるようにしてうつ伏せになっている人影に気づくだろう。
人影は黒々とした長い髪で顔は見えない。



●母との再会
人影を認識した瞬間、リネットは探索者を押しのけて駆け出す。
(もしリネットが拘束されている場合、リネットが声をかけた時点で魔女が起きてイベントが始まる。)

「お母さま!」と叫びながら、向かう先は黒髪の人物
「お母さま、お母さま! お会いしたかったです……!」
リネットが「お母さま」と呼ぶ人物を抱きしめ揺さぶると、人影はゆっくりと起き上がった。
黒髪はさらさらと流れて帳を開くように人物の顔を顕にする。
顔を上げた女性の顔は精巧な人形のようで、ひと目で美人だと分かるだろう。
「おやおや、お前はここまで招待者を連れて来たのだね、えらい子だ。」
女性は笑顔を浮かべながらリネットの頭を優しく撫でている。
探索者達が何か語りかけたりすると「うんうん」と頷いたり簡単な返事をするだけだ。

ひとしきり聞くと自分から口を開く。
「やあ、招待者諸君。」
「先ずはここまで辿り着いたことを褒めてあげよう。」
「だが、これではまだ想定内でつまらなすぎる。」
彼女は少女の頭を撫でている時と至って変わらぬ笑顔で続ける。
「そうだな、ちょっとこの娘を殺してみてくれないかい?」
殺せと言い放ち差し出したのは「リネット」だった。
「この子を殺せば、ここから出してあげよう。」
「殺さないのなら、君等が死ぬかもねえ?」
笑顔を浮かべる魔女の口はとてもとてもにこやかにつり上がったいる。
だが、薄く開かれた瞳は濁りきり、正気の人間の目だとは思えない。

以降は探索者の行動で複数の結末へと分岐していく。




●リネットを殺す事を受け入れた
探索者同士で意見が対立したならば、リネットを攻撃しようとする者を止めさえすればこのルートには入らない。
探索者の過半数がリネットを殺したくない様子であれば、拒否するルートへ移行する。
魔女はそこまで気長ではない。もどかしい様子が続けば、さっさとリネットをけしかけてくるだろう。

魔女の提案から戦闘に入る前に、一度でもリネットを攻撃した時点でこのイベントは確定される。
直ぐに殺すならば、リネットは状況が飲み込めていないため簡単に捕まえられる。
魔女は探索者に「そこらにある凶器は自由に使うといい」と提案するだろう。
リネットは耐久7、耐久0以下になるまで一方的に攻撃ロールを行わなければならない。
少女は「いたいよ くるしいよ たすけて たすけて ごめんなさい」などと懇願するだろう。
魔女はニヤニヤしながらその様子を眺めている。
リネットが耐久0以下になり息絶える直前、震える手が探索者に縋るように伸ばされるも直ぐに事切れる。
元は人形だったとはいえ、自分が殺人を犯したことにより(1/1d4+1)のSAN値チェックが発生。
このルートに入ってから一度でも途中で戸惑ったのならば(2/1d6+1)でSAN値チェックとなる。
(※このルートの場合はリネットの蘇生は不可能です。)
SANチェックが終わると【●魔女の出口】イベントが発生する。


★このルートでの躊躇は3回まで
探索者が攻撃するも、リネットの痛がる様子に躊躇するようなら、魔女はさっさと殺すよう催促する。
彼女は回が重なるほど苛ついた様子になる。
3回目の催促を超えても戸惑うようであれば「もういい、貴様らは用無しだ。」と言い、探索者に手をかざす。

『探索者は金縛りを受けたかのように動けなくなった。
 よく見れば体中に細いワイヤーのようなものが何箇所にも絡みついているではないか。』
『ワイヤーは食い込むように引き絞られ、体中の肉を裂き、血を滴らせ、すっかり赤い糸になった。』
『「私を退屈させた罰だ、血が抜けきるまで叫び歌いならが踊ってもらうよ。」
 魔女がピアノを奏でるように指を動かせば、赤い糸が跳ねるように探索者を動かす。
 動かされるたびに削がれる体に悲鳴をあげざるを得ない。』
『部屋に響くは探索者の悲痛な叫びと高らかな魔女の笑い。
 しかし絶叫は次第に小さくなり、いつしか物言わぬ人形と一緒になるだろう。』
(※この時点で「結末●探索の途中で死亡する」ルートとなる。)




●殺すことを拒否するor魔女に攻撃した
拒否を示したり、魔女を攻撃をすると、魔女は突然意識を失ったように倒れる。
よく見るとそれは人間ではなく、ただのマネキンだと分かる。
するとマネキンは口を開いていないにも関わらず、どこからとも無く声が聞こえます。

『意に添ぐわぬというのなら、殺さざるをえない状況にしてやろう。』
『我が娘よ、そやつらを殺せ。』

リネットは何を言われたのか分からないと言った様子のまま、勝手に足が動き出し壁際へ向かう。
そしておもむろに一本の凶器を手に取り、探索者たちへ敵意の切っ先を向けた。
以降は、操られた「リネット」との戦闘になる

リネットは殺される事が目的なため《回避》は行えない。
また、操られているのは肉体のみで意識は有る。
少女は「殺したくない!死にたくない!」などと泣き叫ぶだろう。
それでもどうすることも出来ずに探索者たちへ凶器を振るうのだ。
探索者たちにはそんなリネットを手にかけて貰う事と成る。でなければ自分たちが死ぬだけだ。


★操られた人形「リネット」(10階での戦闘時)
STR:25  DEX:20   INT:10
CON:10  POW:10   SIZ:3 
HP:7    MP:10    db:1d4
――――――――――――――――――――――――――
[武器]木斧 25%:ダメージ 1d8+2+db
[装甲]魔術による防護壁:6ポイント
[正気度喪失]目撃することによる消失はなし。
*回避はせず、攻撃はすべて受ける。
<「木斧」耐久:15 ダメージ(1d8+2+db) 射程:タッチ 技能《木斧20%》>


●少女との戦闘中の処理
*黒い棺
この時点で黒い棺に鍵穴があることは絶対に分からない。
もし棺近づいて見たとしても、鍵穴の表面には魔女の黒い髪が詰まっている。
近づく人間は髪の毛が襲い、棺へ縛り付けてしまうだろう。
髪の毛の拘束を解くには[STR8]との対抗ロールが発生する。
またこの髪の毛は、魔女の本体が滅べば黒い煙となって消え失せる。


*魔女のマネキン
魔女だったマネキンに近づくと攻撃はされないが、棺と同様に黒い髪で拘束されてしまう。
マネキンは探索者に抱きつきながら、リネットへ向かって魔女の命令を伝える。
『殺せ殺せ コイツを殺せ』
リネットは優先して拘束された探索者へと武器を振るわざるを得なくなってしまうだろう。
もしリネットの技能が成功してしまったならば、拘束された探索者は《回避》や《受け流し》は行えない。
マネキンの拘束を解くには[STR10]との対抗ロールに勝たなければならない。
もしマネキンを破壊したとしても、次に魔女が登場する際には別の美しいマネキンを操って話しかけてくるだろう。


*探索技能への対応
戦闘中に探索者が振りそうな技能についての処理案など。
《聞き耳》に成功する
 <「殺せ殺せ」と楽しげな声がいくつも聞こえる。>
 <それらは魔女の声のようでもあり、周囲の人形たちすら囁いているように聞こえる。>
《目星》に成功する
 <リネットには糸や操るための道具などがくっついている様子ではない。>
 <部屋の壁際には自分たちでも使えそうな武器がある。>
 <リネットが武器を持つ手は、黒い髪の毛により武器ごと雁字搦めにされている。>
上記の情報などを踏まえて《アイデア》に成功する
 <武器を取り上げるにしても、腕ごと切断しなければ取れないと分かる。>
 <自分たちにはリネットを呪縛から救う手立ては無いのではと察してしまう。>


*リネットの死亡後
自衛行為とは言え、自分たちの手で少女を殺してしまった探索者たちは(2/1d6+1)のSAN値チェックが発生する。
戦闘の末に殺し、蘇生も出来なかった場合は【魔女の出口】イベントへ移る。
蘇生については【少女を蘇生させる】を参照。



●リネットを救おうとする
(※これは本当の救いにはなりません。KPはその事を肝に銘じてPL達へ技能の提案をして下さい。)
操られたリネットを呪縛から救うために、奮闘する探索者は多いことだろう。
仲良くしていたならば尚更救いたいと思うはずだ。
或いは、殺すことなどできない善良な心の持ち主なら殺すなどできない。
そう言った探索者は《説得》ロールが行える。仲良くしていたならばプラス補正を付けても良い。
《説得》による変化が起きるのは、累計成功数が3回に達した場合。
成功数が3回以下ならば、リネットは変わらず探索者へ攻撃行動を行うだろう。

戦闘ラウンドにおいて、《説得》ロールの成功数が累計で3回以上に達するとある変化が起きる。
リネットが[POW×5]ロールをKPが行えるのだ。このロールの目標値50である。
このロールはリネットの手番でなく、説得成功が3回に達した時点で行える。
失敗したならば、攻撃行動を続けざるを得ない。
探索者が再度《説得》に1回成功すれば、リネットは改めて[POW×5]ロールを行える。
成功すれば、探索者への攻撃行動を一時的に自分の意志で止めれるようになる。
そしてリネットはこの意志により、ラウンドに関係なくある行動を始める。

『リネットが貴方達の言葉を聞いて静止する。
 胸が張り裂けそうな苦痛に涙を湛え、貴方達へと笑顔を向ける。
 それは、恐怖を堪えるような、悲痛さを思わせる笑顔だ。』

『小さな体が武器を振り上げたかと思うと、我が身へ凶器を埋めた。
 自らを動けなくするために、何度も、何度も、深く、より深く。
 痛みに嗚咽を漏らしながら、決意と手に力を込める。
 もう誰も傷つけないために、自分だけが傷つくために。
 貴方達のために、少女は死を選んだ。』

『カシャンと、陶器が割れるような軽い音が虚しく響く。
 少女が床へ、力なく倒れ伏した音だった。』

例え探索者が制止に阻もうと間に合うことはない。
説得の末、リネットに死を選ばせてしまった探索者は(0/1D6)のSAN値チェックが発生する。
仲が良かった探索者であるならば(1D3/1D6+1)のSAN値チェックとなる。
SANチェック後からは分岐が発生する。
リネットに【魔除けの指輪】を「自害前から装着させていた」のであれば【少女を蘇生させる】イベント。
指輪を装着させて居なかったのであれば【魔女からの選択】イベント。



●魔女からの選択
リネットが自害し、魔除けの指輪も嵌めていなかった場合。
探索者がリネットへ駆け寄ると、少女の体は全身に亀裂が走りひび割れている。
触れたのであれば、石膏が砕けるようにバラバラになって原型すら留めないだろう。

「失敗作が、親の言いつけも守れないのかい。」
いつの間にか近づいていた魔女が、リネットだった残骸を見下し嘲笑するように言い放った。
この言葉で探索者は魔女へ怒りをぶつけたくなるだろう。
そんな貴方達の想いを見透かしたかのように、魔女の手にはあるものが抱えられている。
リネットを組み立てる時に使った【黒髪の人形素体】と全く同じものだ。
素体を抱えたまま、魔女はある選択を探索者たちへと提案する。

「あれほど必死だったのだ、諸君らが望むのであれば再びあの娘に会わせてあげよう。」
「勿論タダではない。こちらからの条件を飲んでもらうよ。」
「帰らずにこの塔に留まる。それだけだ、簡単であろう?」

因みに、魔女に対して《心理学》に成功したとしても
<魔女は何かを企んでいる>や<会わせることは嘘ではない>としか分からない。
企んでいる事に関して聞いても「何のことだい? 人の善意を蔑ろにするのは良くないねえ」と不気味に笑うだけだ。
「リネットの記憶は残っているか?」「ちゃんと同じリネットなのか?」と聞いたならば、
「そんな事は本人に会ってから確認しなさいな。」と鬱陶しそうに答えるだけだ。
あまり苛つかせると、この提案自体を無かったことにされてしまうだろう。

留まるのは全員で無くても良く、怪しんで一人も留まらないことを選ぶこともできる。
留まる事を選択したならば、魔女は「下の階で待っていなさい」と言いながらその探索者へと素体を渡す。
言われた通り下の階、9階へ向かおうと階段を降りれば、再び壁をすり抜けられるようになっている。
魔女はその様子を見送った所で、帰ることを選択した探索者に出口を開いてくれる。
よって帰る者は【魔女の出口】イベントへ移行する。
留まる者は「結末●囚われの魂」ルートとなる。



●魔女の出口
リネットが死んだことを確認するか、選択で帰ることを選んだ探索者には魔女が出口を開いてくれる。
「では約束通りここから出してやろう。」
魔女は喋りながら壁に横線描くように指でなぞると黒い線が引かれている。
黒い線は上下に幅を広げて、やがて長方形の黒い門が出来上がった。
「ここをくぐれば元の世界へ帰れるよ。さあさあ、とっととお帰りなさいな。」
その言葉を残して魔女は黒い棺へ向かい、中に潜り込んでしまう。
棺を開いてもそこに有るのは黒髪のマネキンだけで、もう会話は叶わないだろう。
探索者は魔女の出口を通るしか道はなくなり、扉を潜ると以下のようになる。

『行けども行けども暗闇ばかりで段々と不安になってくる。
 誰かと一緒に歩いていたならば、いつの間にか独りきりになり焦燥感が増すだろう。
 益々広がる不安に心拍数が上がっていき、どんどん心臓の音が五月蝿くなっていく。
 五月蠅いどころか、上がり続ける心臓の脈動に息を荒げ、終には苦しみに包み込まれ気絶してしまった。』

 <※KP情報※結末の分岐>
・リネットと戦闘せずに脱出した
  →「結末●10階 魔女の出口からの脱出――すんなり少女を殺した」ルート
・リネットと戦闘してから脱出
  →「結末●10階 魔女の出口からの脱出――拒否してから少女を殺した」ルート



●少女を蘇生させる
先ず第一に蘇生は『7「イアー(Ear)」』の鍵がないとフラグ不成立となり蘇生しない。
よって、強制的に魔女の出口ルートへ行ってもらう事と成る。

<蘇生方法A:探索者が殺した場合>
・1ラウンド以内に《応急手当》や《医学》を半分の値で成功する
・少女に【魔除けの指輪】を嵌める
<蘇生方法B:リネットが自害した>
・自害させる前から【魔除けの指輪】をはめており、かつの指輪の蘇生残数が2回以上残っている。

 <指輪の蘇生>
『リネットの方、正確には指輪が光り出した。
 ただ眩しいだけでなく、やわらかい光を発しながらリネットを包み込むと、ゆっくりと光は消えていった。』

蘇生が成功すると以下のイベントへ移る。
再び目を開けたリネットは、自分に何が起こったのか理解できずにきょろきょろを探索者たちを見ている。
するといつの間にやら再び動き出したマネキン――魔女が、高笑いをしながら言葉を放った。
「面白い、自分を殺そうとした化け物ですら救うのか! 気に入った、気に入ったぞ!」
「貴君らを名誉ある生贄に選んでやろう!」
探索者たちへ手をかざす魔女に身構えていると、突然リネットがボロボロの体から力を振り絞ってどこかへ走り出した。
走りだした先で一体の古びた木偶人形を掴むと、両手で持ち上げ「今度は私が守ります!」と叫んだ。
リネットの仕出かそうとしている事に気づいた魔女は、さっきまでの余裕は見る影もなく戦々恐々とした表情で止めようと動き出した。
しかし時既に遅く、掲げられた人形は床に叩きつけて砕け散る。
古びた人形が砕かれると、魔女も、リネットも、ただの人形に戻ってその場で倒れた。
ただの人形となった彼女は、いくら呼びかけても返事はない。

残された探索者が出口を探そうとすると、目ぼしいものは【黒い棺桶】だけだろう。
よく見てみると棺桶の側面に【鍵穴】が有る。

 <※KP情報※ここの鍵穴に対して正解の鍵>
 『棺桶』であることから、導き出される詩は
 『“イアー(Ear)” 凍えた肉体は土に身を委ねる 約束の終焉を迎えし忌まわしき場』
 よって『7「イアー(Ear)」』の鍵が正解となります。
 それ以外の鍵を使ったならば、KPが(1d4)を振って発動するランダムトラップを決定して下さい。



●棺の出口
棺の鍵を解除して蓋を明けてみると、深い深い穴がどこまでも続く無限の暗闇を生み出している。
探索者が意を決して棺の穴へ飛び込むと
『暗闇に包まれながらどんどん落下していき、冷たい水中に叩きこまれたような衝撃を感じて気絶してしまう。』
(※この時点で「結末●10階 棺の出口からの脱出」ルートとなる。)


 

18:結末


●「探索者が途中で死亡する」
戦闘やトラップで死亡したり、操られて放置、呪縛を受けた状態で脱出した場合もこの結末となる。
魂は塔に囚われ、次の犠牲者達を襲う人形の動力となるだろう。
現実世界の体も謎の心臓発作で生を失い、冷たく固い人形のようになる。




●「9階 仮初の出口からの脱出」
探索者はいつもの寝床で目が覚め、身体を起こすとやけに頭がぼうっとしており暫し放心する。
身体に損傷はなくやけにだるいものの、塔で失ったSAN値以外の耐久や能力値は回復している。
塔での記憶は完全に失っており、悪夢を見たような感覚だけが残っている。
すると突然、目の前に重たいボールのような塊が落ちてきた。
驚きながら「一体何だ」とその塊を手にとった探索者は”塊と目が合う”。
気づけば手はヌルヌルとし、あたりは鉄臭く、飲み込みきれない異常事態に脳が追いつかない。
よく見れば、周囲には手が、腕が、胴体が、そこら中を血塗れにしながら転がっていた。
そして、見知った顔に確信せざるを得ない。その塊が、あなたの一番の近親者の頭部であることに。
苦痛に歪んだ人間の頭部が目の前に落ちてきたことにより(2/2d10+1)のSAN値チェック
更に近親者を惨殺死体で発見してしまったことにより(1d4+1/1d10+2)のSAN値チェックが発生する。
(※近親者が居ないならば、探索者本人が同じ死に方をして死体で発見されるか放置される。)




●「囚われの魂」
魔女に言われた通り素体を持って9階で待っていると、何故か下階階段から魔女が登ってきた。
傍らには力の扉で襲ってきた「傀儡人形」たちが彼女に寄り添うように一緒に歩いている。
人形たちは特に襲い掛かる様子もなく、不気味なほどに大人しい。
魔女は素体を持つ探索者へ近づくと、知の扉にあった赤色の宝石と同じものを取り出した。
宝石を素体へ組み込んでやれば、ソファーで目にしたものと同じ光が辺りを包む。
すると、あの時と同じように素体だった人形が少女となって身動ぎした。
目を覚ました少女は、探索者の顔を見て微笑む。
探索者が少女との再会を喜ぶようなら、そのRPをしてもらおう。
ただし、少女は何も反応を返さずに微笑むだけだ。

喜ぶ探索者を冷笑しながら魔女が口を開く。
「そうも嬉しいのであれば、ずうっとその娘と一緒に居られるようにしてあげよう。」
複数人探索者が居るのであれば、傀儡人形が体を押さえつけ全員を拘束してしまう。
どうするのだろうかと身構える探索者の首を、少女の小さな手が掴んだ。
可愛らしい小鳥のさえずりのような声が言い放つ。
「お母様 この方を殺せば宜しいのですか?」
目の前にいる少女は、姿も声もリネットそのものだ。
だが小さな体に似つかわしくない凶悪な力で、みるみる貴方の首を絞め上げる。
抵抗しようが、縋るように声を漏らそうが、込められる力に迷いはない。
あるのは、貴方を殺そうとする純粋な殺意だけだ。
首の骨がへし折られ、絶命する間際。少女の嬉しそうだが、どこか無機質な声が聞こえる。
「お母様!お母様!わたしは上手に殺せましたか?」
「そうだね、お前は母の言いつけをまもれる良い子だ。」
あれは貴方が知るリネットではない。ただ魔女に操られるだけのマリオネットだ。
それを察する頃には、意識はとうに闇の中であった。

不意に貴方は目が覚める。体は動かせない。
見たことのあるような、無いような、奇妙なボロボロの人形たちで部屋はあふれていた。
吸い込まれるように目線が、ある一体の人形へと向かう。
目線の先には、サラサラと綺麗な黒髪の人形が、眠るように壁にもたれ掛かっている。
すると部屋に誰かがやってきたらしい。そいつは黒髪の人形を抱え上げた。
『だめだ 彼女を持って行かせてはダメだ あれは ワタシの ぼくノ』
『守らなければ 壊さなければ ダレを?』
思考が纏まりきらないまま、貴方は手に持っていた肉切り包丁をの切っ先を向け、襲いかかるだろう。

探索者はリネットらしき人形に固執する魂となって、力の扉部屋にいる傀儡人形の動力にされてしまったのだ。
上手く動かない体を歯がゆく思いながら、塔の犠牲者へと襲いかかる。それだけの存在に。
なお、現実世界の体も謎の心臓発作で生を失い、冷たく固い人形のようになっている。



●10階 魔女の出口からの脱出
*「すんなり少女を殺した」
暗闇の中で気絶した探索者は、またしてもどことも分からない場所で目を覚ます。
姿は塔に招かれる前、寝る直前と同じ格好だ。体に異変は見当たらない。
あたりを見回してもなんと説明すればいいのか、己が記憶炉から表現する言葉が見当たらないような場所だ。
狼狽える貴方はふと気配を感じて視線をそちらへ彷徨わせる。
そこにいたのは大変美しい人物だ。
オリンポスの神を彷彿とさせる眉に、波打つ艶やかな巻毛をヒナゲシの冠が飾っている。
時を知らぬような若さに溢れ、美しい髭を湛えた口元は唇がカーブを描いて微笑んでいた。
貴方はあまりの見目麗しさに……否、畏ろしさにガタガタと体が震え出すだろう。
逃げ場などなく、目を背けることも許されない。
その美しくも最悪の悪夢を人の形にとして集積したような存在の重圧で、立っていることすら出来なくなる。
ところが、立つことが出来なくなったのはそれだけが理由ではなかった。
自分の体が、人間でないナニカへと、みるみる変貌しているのだ。
失われゆく自我の忘却の波に飲まれながら、自分が自分であった証明がどんどんと失われていく。
こうして探索者は眠りの大帝であるヒプノスの元で、死があるのかすらも分からぬ運命を歩むだろう。




*「拒否してから少女を殺した」
暗闇の中で気絶した探索者は脂汗をかきながら寝床から飛び起きる。
外傷などは全くなく、塔で失ったSAN値以外の耐久や能力値も回復している。
体を起こすと、ふと目の前に置かれた可愛らしい人形に気づくだろう。
その存在に気づいた途端、人形は目や口から赤い液体を垂れ流し始めた。
すると途端に「ベキンッ」とひしゃげながら、その場で悲鳴のような大きな音を鳴らして爆発四散する。
この爆発により探索者は(1d6)の耐久が減少する。
自分は勿論、あたり一面鉄臭い赤い液体、つまり血塗れになったことにより(1/1d6)のSAN値チェックが発生する。
ここで《アイデア》に成功すれば、記憶だけは取り戻すことが出来きる。
(※記憶を取り戻せなかった場合は、このセッションでの成長ロールは行えません。)
それからは出口のない果てしなく長い螺旋階段を登り続けながら、化け物人形に追いかけ回される悪夢を見続けるようになる。
悪夢により、探索者は強制的に「人形恐怖症(ペディオフォビア)」の精神障害を患うことになるだろう。

<人形恐怖症(ペディオフォビア)>
すべての人形、厳密に言えば“生物に似せた偽物”に恐怖を感じる。
ロボット、マネキン、生物模型にまで恐怖を感じるため買い物もままならなくなる。




●「10階 棺の出口からの脱出」
探索者は寝床で無事に目を覚ます。
外傷などは全くなく、塔で失ったSAN値以外の耐久や能力値も回復している。
ところが何か大きな苦労をしたような感覚はあるものの何も思い出せない。
ふと床を見ると一通の封筒が置いてある。
中には【古期英語の短い文章】が綴られた手紙と、【琥珀金の指輪】が封入されている。

【古期英語の短い文章】に対して《他の言語(英語)》に成功すれば
<呪いの言葉は「魔力によりて、傷を癒やしたまえ」>だと解読できる。
琥珀金の指輪】は探索者の指にピッタリサイズで、表面に33文字のルーンが刻まれている。
指輪の効果は<一度だけ、装着している生者のSAN値を(1d6)回復させる。>
発動条件は<指輪を嵌めて呪文を唱える。>呪文は【古期英語の短い文章】を解読した結果だ。
解読のチャンスは一度なので、技能ロールに失敗した者は使えない。
また、一人が解読に成功してもその呪文が他の探索者の指輪に使えるわけではない。
解読に成功したものだけが指輪を使える権利が得られるのだ。

そして手紙の裏には、優しい光を放つ「ありがとう」という文字が書かれている。
この文章をみた瞬間、探索者は塔で経験した記憶が蘇る。
記憶を戻したところで、手紙の文字はゆっくりと消えていくだろう。


 

19:クリア報酬


●塔からの脱出
生還した全員に<クトゥルフ神話>技能が3%与えられます。
肉人形にされても生還を果たした探索者は<クトゥルフ神話>技能が更に5%与えられます。
肉人形にならずに生還を果たした探索者は(1d3)のSAN値回復ができます。
更に記憶を蘇らせた生還者は(1d6)、若しくはこれが全員ならば(1d10+1)でSAN値回復が行えます。


●間違えずに正解の鍵をすべて使った
「ダエグ(Daeg)」 ―― 宝箱の鍵
「マン(Man)」 ―― 9階出口の鍵
「イアー(Ear)」 ―― 10階棺の鍵
この3本の鍵を一度も間違えずに使用し、生還した探索者たちは《オカルト》の成長ロールが行えます。
(※既にクリティカル等でチェックが入っている場合でも、もう一度成長ロールができます。)



●リネットを蘇生させた
10階の戦闘後にリネット蘇生の場に居合わせ、生還した探索者は(1d6)のSAN値回復が行えます。
このSAN値回復は【琥珀金の指輪】とは別です。
<※諸注意※>
琥珀金の指輪】の指輪はこのシナリオ限定の補助アーティファクトです。
呪文を知っていれば自分のPCだけでなく、他者のPCにも使うことは可能です。
ただし、探索者の継続する場合に他セッションで使用できるかはその時のKPとご相談下さい。


 

20:NPCステータス一覧


★人形の少女「リネット」(PCとの行動時)
STR:3   DEX:16   INT:10  EDU:1
CON:10  POW:10  SIZ:3   APP:16
HP:7    MP:10   db:-1d6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]頭突き 10%:ダメージ 1d4+db
[技能]SAN(50%)、アイデア(50%)、幸運(50%)、知識(5%)
    回避(50%)、隠れる(50%)、投擲(40%)、杖(40%)
*読み書きは特定のルーン文字の読みができるだけで、他の言語はわからない。
*基本的に塔にいるNPCの攻撃対象からは外れる仕様。



★操られた人形「リネット」(10階での戦闘時)
STR:25  DEX:20   INT:10
CON:10  POW:10   SIZ:3 
HP:7    MP:10    db:1d4
――――――――――――――――――――――――――
[武器]木斧 25%:ダメージ 1d8+2+db
[装甲]魔術による防護壁:6ポイント
[正気度喪失]目撃することによる消失はなし。
*回避はせず、攻撃はすべて受ける。
<「木斧」耐久:15 ダメージ(1d8+2+db) 射程:タッチ 技能《木斧20%》>



★羨むヒトガタ「傀儡人形」
STR:14  DEX:8   INT:5
CON:7   POW:1   SIZ:3 
HP:5    MP:1   回避:16  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]肉切り包丁 25%:ダメージ 1d6+db 貫通
    手足チョウダイ 40%(部位狙い 20%):ダメージ 1d2+1 治癒不可能 
[装甲]なし
[正気度喪失]目撃時に単体なら(0/1d4)、集団に囲まれると(1/1d6)の消失。
*《手足チョウダイ》は標的の肉や眼球、果ては耳すら抉り取る攻撃である。
 そのため回復は出来ず、部位に関係する技能値も20%のマイナス補正がかかる。
 ランダムに選ぶ場合は(1d6)で「1.手 2.腕 3.足 4.胴体 5.目 6.耳」から選ぶ。
*目的は【黒髪の人形素体】の破壊なので、所持していたり庇ったりするPCを標的にする。
*電気・催涙ガス等は効果が無い。
<「肉切り包丁」耐久:12 ダメージ(1d6+db)貫通 射程:タッチ 技能《杖》>
(※肉切り包丁による攻撃の受け流しは行えない。)



★音無き笑い声「嘲るピエロ」
STR:13   DEX:15    INT:16
CON:10  POW:15   SIZ:4
HP:7    MP:15    回避:30  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]かぎ爪 40%:(1d3)回の連続攻撃 ダメージ 1d6
    乗っ取り 80%:対象をNPC
[装甲]なし
[正気度喪失]目撃した場合(1/1d6)
*その場にいるPCに脳内に直接気味の悪い笑い声を聞かせ続ける。
 耳からでなく脳に直接情報を送り込んでいるようなものなので耳栓をしても、聴覚障害持ちでも防げない
 防げるとするならば、心因性の聴覚不全者か死者のみである。
 嘲笑を聞かされているPC全ての技能値を強制的に5%マイナス補正させる。
 耐久0以下になってもこの笑い声が途切れることはない。
*乗っ取り前のピエロ単体の時は電気・催涙ガス等は効果が無い。
*【鍵の束】を奪われるまで《乗っ取り》は使用しない。
*乗っ取りに成功すると対象は意識を持ったままNPC化され、1ラウンド毎にSAN値+耐久を(1d2)ずつ減らす。
 回避や攻撃は犠牲者の技能値に依存するようになる。
*攻撃されると犠牲者とピエロの両方の耐久へダメージが行く。
 片方だけにダメージを入れることは出来ない。
*乗っ取り対象が気絶、またはピエロが先に耐久0以下になると離れる。
*ピエロは体が無くなろうと耐久0以下になってから10分後には耐久5で復活する。



★奇禍の苗床「卵女」
STR:10   DEX:10   INT:8
CON:12   POW:1   SIZ:11
HP:11   MP:1    回避:20  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]舌刺し 45%:ダメージ 1d6
[装甲]なし
[正気度喪失]卵女の顔を見た場合(1/1d6)
*舌刺しは喉から伸びた長い触手のような舌を対象に突き刺し、耐久へ(1d4)のダメージを与える。
*卵女が耐久0以下になるか、与えたダメージが合計で5になると、顔面の卵が孵化する。
*卵が孵化すると、卵女はその場でひしゃげたように崩れ落ちる(死亡する)。



★変災の群体「奇禍虫」
STR:3     DEX:20   INT:10
CON:3     POW:10   SIZ:1(個体値)
HP:2d10+10  MP:10   回避:40
――――――――――――――――――――――――――
[武器]群体攻撃 90%:対象一人に(2d10)回の攻撃、耐久ダメージ(攻撃回数÷2)+攻撃回数分の幸運&SAN値を吸収
[装甲]なし
[正気度喪失]孵化の現場を見た場合(2/1d6+1)、攻撃を受けた場合(下記参照)
*幸運と正気度を喰らう変わった化け物昆虫の大群
*卵女が死ぬと、直ぐに孵化して次ラウンドから戦闘に入る
*孵化した匹数はKPが(2d10+10)で決定。耐久=群体の匹数となる
*標的の優先度は「金色の目印」>「《幸運》の値が高いPC」>「その他」
 群体での攻撃なので、対象一人に1ラウンドで(2d10)回の攻撃が行える。
*犠牲者は(攻撃回数×2)の幸運ポイントの消失と、(攻撃回数)値のSAN値消失ダメージを与える。
 失った幸運の値は塔を脱出するまで戻らない。
*対象が回避に成功すると、消失ダメージは半分に抑えられる。
*金色のものに群がる習性があるため、金色のアイテムを遠くへ投げれば隙が出来る。
 エレベーターまで逃げ込めば奇禍虫は追ってくるのをやめる。


 

21:その他補足や裏話


●古期英語の解読
本シナリオでは脱出に欠かせない重要な情報だったので、解読難度を少しゆるくしてあります。
キーパーコンパニオン「言語と文字」(P.45)を参照すると、古英語はほとんどの点において現代英語と異なった言語であると記されています。
ですので、KPが望むならば解読判定を厳しく変更しても違和感はないでしょう。


●全体的に高めなSAN値チェック
閉じ込められている状況や、目に見える時間制限、最初から不可思議な力を体験する異常さから高めに設定してあります。


●呪文による脱出
そうそう居ないと思われますが、《門の観察》《門の創造》《門の発見》などを使う場合です。
脱出口に対して《門の観察》は光か闇があるだけとしか分かりません。
結末の事象は門の先で起こるのでなく、門の先で気絶して目覚めてからの結果です。
《門の発見》は脱出口や魔女の部屋へ続く通路は発見できるかもしれませんが、見つけても鍵や魔女の力が必要です。
《門の創造》は使うとヒプノスの気を惹きつけるきっかけとなるでしょう。
よって創った門を通るとヒプノスの元へ直行します。
因みにアーティファクト「銀の鍵」も夕日に掲げて9回回す工程が出来ないので無意味でしょう。



●電話トラップの通話相手
実は外への電話は通じていません。電話から耳を通じて脳を錯覚させた幻聴です。
そのため通話途中で他の探索者が電話を奪い取ったりすると、何故か奪いとった人物の身内の声にすり替わります。
全く知らない人の声と口調は想像出来ないのと一緒です。
ですので通話相手は至って無事です。ただし仮初の出口ルートの場合は別ですが。
3階以降の通話相手は「嘲るピエロ」です。奴は破壊されても核となる魂は残っているのでどこでも繋がります。



●登場する怪物たちについて
本シナリオの為に創作されたモンスターです。他所のシナリオで出てくることは先ずありません。
テーマが「操り人形」だったので、全体的に人形や操る事を主軸に置いたキャラクターにしました。
以下、一部の創作クリーチャーたちの裏設定など。
・羨むヒトガタ「傀儡人形」
 結末の一つにある通り、彼らの動力は過去の犠牲者たちの魂です。中には魔女に作られた魂もあります。
 不完全な体に歯がゆさを覚えながら、人間の手足を欲しがったり、リネットになるだろう黒髪人形に対して固執しています。
・奇禍の苗床「卵女」(給仕女)
 彼女は過去に塔の試練に巻き込まれた犠牲者の死体です。つまり人形ではなく、元は探索者と同じ人間です。
 体はゾンビ化され、魔女に使役されつつ、奇禍虫たちの苗床にされている死者に鞭を打つような状態のクリーチャーです。
・音無き笑い声「嘲るピエロ」
 元はリネットと同じく探索者たちを導く存在として魔女に作られました。
 しかし誘導役にするには性格や理性に難があり、廃棄するのも勿体無いため試練用の怪物役を任されています。
 そういった成り損ないたちは今までに何体も作られており、廃棄される度に全ての無念や執念がこの個体へ収束されていきました。
 選ばれなかった寂しさが集積された結果、何度壊されても復活する執着心と力を得ます。
 一方で作られた目的は一緒である筈なのに、選ばれたリネットに対しては強烈な同族嫌悪を持っています。
 存在を認めれば自我が壊れそうなほどの嫌悪。リネットだけが見えないのは、自分を守るためだったのです。
 また、探索者へのトラップとして関わってくることもこの背景に由来します。
 元々の役割である探索者の誘導えの憧れや寂しさ、それらを埋めるために異様な執着心がトラップとなって襲っているのです。



●8階の乱雑な文章
過去の犠牲者が10階まで辿り着き、魔女と話した後に逃げ出し狂乱して残したダイイングメッセージです。
魔女から聞かされたのは「仮初の出口」から脱出した時の結末です。
自分の親しい人物を殺すくらいなら、自らの死を選んだ故の遺言でしょう。



●黒幕の背景
魔女は通称「贄人形師」、生きた人形を創る魔術師です。
生きた人形を創り上げる様はまるで神のようだと自己陶酔した果てに、いつしか彼女は人間を試すようになりました。
お遊戯の舞台を創り上げるようにこの塔を建て、無差別に迷い込ませた人間が奮闘する様を面白おかしく見物する日々。
しかしある時、旧き神のひとり「ヒプノス」に気に入られてしまいこの塔に縛られる運命へ転落します。
ヒプノスにより、更に強力な魔術を行使できるようになりましたが、人間の体から意思を持った人形へ姿を変えられてしまいます。
所詮は塔という狭い世界で神を気取る哀れな存在、本当の神格に敵うはずもなく彼女は狂気へと陥ります。
狂気によって塔へ迷い込ませた犠牲者で楽しむ事に固執するようになり、それがヒプノスに捧げる贄を選別する作業にもなっていました。
操る側の立場だったはずが、今では彼女自身が神の絡繰り人形となったわけです。



●最後に壊された人形
最後に壊した古びた木偶人形は魔女の本体であり、人間では視認することすら出来ない魔術が掛けられています。
しかし、魔女本人に創られたリネットなら同種の魔力体であったため壊すことが出来ました。
魔女もまさか自分が創った人形に裏切られるとは露ほども考えていなかったため動揺して対応が遅れました。
リネットのこの行為は生みの親の呪縛を破り、自分の道を選んだ事も意味します。



●新たに創りだされたリネット
自害してしまった後に創りだされたリネットは、蘇生された場合と違い自分自身で存在を否定してしまっています。
存在を否定したことで、皆に優しくされても魂が宿ることはありません。
再形成された際には全く違う魂を組み込まれているため、探索者たちとの記憶もありません。
完全に魔女の言いなり、まさしくマリオネットになったのです。



●蘇生されたリネットのその後
リネットが生体維持をするためのエネルギーは贄人形師の魔力頼りです。
もちろん魔女の本体を破壊すれば力の供給は絶たれ、物言わぬただの人形に戻ってしまいます。
ですが探索者たちが彼女を守ろうとしたり、仲良くしようと親密にしていたならばひとつの奇跡が起こります。
少女の中に魔女が組み込んだもの以外の、リネット自身が生み出した魂が宿るのです。
そして、探索者たちが元の世界へ戻った頃に少女は起き上がり、その後を過ごすでしょう。
どんな一生を過ごすかはご想像にお任せします。


 

22:参考・引用(敬称略)


ルーン文字 古代ヨーロッパの魔術文字」:ポール・ジョンソン 著、藤田 優里子 訳、創元社 出版
クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPG


***ここまで読んで頂きありがとうございました。***
(2013/09/21) シナリオ製作:kanin(http://kanin-hib.hateblo.jp/
(2013/10/16) 難易度調整
(2013/12/01)一部修正
(2014/10/01)全体の文章校正
(2015/03/22)要素や補足の追加