保存庫-シナリオ棟-

シナリオ閲覧用のページ

CoCシナリオ「怪物の血潮」

「怪物の血潮(かいぶつのちしお)」シナリオ概要ページへ戻る


01:はじめに


このシナリオは「クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPGー」に対応したシナリオです。
舞台は異次元空間、推奨人数は1~3人程度。
*推奨技能:<目星><言い包め>

・クローズシナリオ、制限時間はありません。
 ただし探索者のうち一人でもSANか耐久が0以下になれば強制的に終了となります。
・人を選びそうな茶番要素があります。ご利用の際はご注意下さい。
・必要とされる行動からあまり優しすぎる探索者には向いていません。

<参加する探索者が一人だけの場合>
おまけNPCを補助探索者としてKPが動かし、同行することを推奨します。
手持ちの探索者や新規探索者でもいいでしょう。



●本文の表記について
各単語や文章によっては以下のように括弧表記を使い分けています。
少々の抜けや誤表記があっても各自で対応して頂くようお願いします。
重要アイテムや特記事項などの単語:【】
特筆する文章情報:<>『』
技能や呪文に関する単語:《》
補足説明やPL・KPへの特記事項:()※
NPCの台詞や名前など:「」


 

02:あらすじ


夜道を歩いていると、何者かに攫われてしまった探索者。
目覚めた場所は見に覚えのない舞台。
不思議な詩に踊らされながら、不可思議な者達との奇妙な時間を過ごすだろう。


 

     ( 目 次 )

     01:はじめに
     02:あらすじ
     03:背景
     04:組み込まれた罠
     05:導入
     06:中央のテント
     07:4本の横穴
     08:2の部屋
     09:3の部屋
     10:4の部屋
     11:5の部屋
     12:シンボル破壊後
     13:結末の選択
     14:クリア報酬
     15:NPCステータス一覧
     16:その他補足や裏話
     20:参考・引用(敬称略)


 

03:背景


●一匹の怪物:神様
彼女は大いなるもの「アーガルグ・リーオニス」(マレモンP.123)である。
ひょんなことから奇特な魔術師たちの崇拝対象となった。
しかし気性の荒さが災いしてその狂信者たちに封印されてしまう。
気まぐれからこの奇妙なゲーム紛いの状況に身をおいているようだ。
本来なら殺戮の限りを尽くすか、望めば彼女とは異なる神が保護にきてくれる。
無礼を働く魔術師たちを殺し、封印を解けば探索者をこの空間から解放してくれる。



●四匹の怪物:人の体を捨てた魔術師たち
アーガルグ・リーオニスを崇拝していたが、同時に危険視して閉じ込めた魔術師たち。
狂信的に、また病的に崇拝するがゆえに閉じ込め、自分たちだけの神にしようとした。
封印の際に神から大きな後遺症を人体に受けてしまったため、人の体を捨てて無機物へと魂を移している。
ところが無機物の体で長い時を費やす内に、彼らの知性は徐々に狂ってきている。
最近では仲間のことすらあやふやなことが多いようだ。
偏った趣味嗜好が強く残り、ただただ神様を我が物にしている満足感に浸っている。

彼らの魂は永遠になったかのように思えたが、封印の力に永続性はなかった。
そのため定期的に外から普通の人間を拉致し、封印を持続するための原動力にしようとしている。
拉致の際はゾンビたちを操り、背後から凶器で気絶させて魔術的な門を通り連れてこさせる。



●解決策
4箇所に用意された、神を封印する要のシンボルを破壊することが目的となる。
シンボルは全て魔術師たちこと、知能を有する無機物に描かれている。
つまり魔術師全員を殺すことが目標だ。


 

04:組み込まれた罠


魔術師たちが探索者を亡き者にするために用意したトラップだ。
戦闘中以外の技能ロールに失敗すると<服の一部が【赤い粘液】に変化して服としての原型を失う。>
  <※KPへの注意点※>
 粘液に変化する際には、KPは「技能に失敗したので~」と言うのは控えると良い。
 PLの中には変化を恐れてダイスロールを躊躇うかもしれないからだ。
 察するのを遅らせるため、ロールに失敗してもあえて変化を遅れさせるのも手だ。

『体の一部に違和感を感じてそちらへ目をやれば、服に穴が空いている。
 虫食いのように小さくいくつも開いた穴からは、粘着性のある【赤い粘液】が滴り落ちていた。』

粘液変化が始まる部位はPLが(1d6)ロールでランダム決定する。
(1:腕 2:足 3:背中 4:襟首 5:腹部 6:股間

【赤い粘液】に対して《薬学》や《生物学》と言った技能に成功すると
<服の繊維が変化した程度ではこのような液体にはならない。>
<また、触れてる皮膚には若干体温を上昇させるような効果がある。>と推測が出来る。
(※まだ毒であることは示さず、経過時間後のPOT対抗で毒であると分からせるといいだろう。)



●粘液毒の効果
この毒は体内から代謝解毒されない沈殿毒なため、医学による回復は行えない。
ただし発生元は魔術師たちなので、彼らを全員破壊した時点で毒の効果は消える。
効果が消えた時点で赤い粘液は全て蒸発してしまう。
また、探索者のSANは回復しないが、耐久を(1d4+1)回復することが出来る。

粘液には無臭だが揮発性が有り毒性を持つ(POT12)。
POT対抗が発生するのは粘液に触れ続けてから30分後。
更に粘液に晒されている限り、30~60分毎に持続的に効果を示す。
うっかり口にしようものなら、強制的にPOT対抗に探索者が失敗した結果になる。
(※この対抗発生タイミングはKPのやりやすい時間にしてもよい。)



●粘液毒のPOT対抗
粘液毒のPOT値は12。この数値と探索者のCON値を対抗ロールさせる。
本来POT対抗はKPが行うが、このシナリオでは選択制とする。
対抗ロールをKPが行うか、PLが行うかの選択だ。
どちらが振るかで目標値が変動するため、これは事前に決めておくことを推奨する。
 KP側でロール:能動:毒のPOT値、受動:探索者のCON値
 PL側でロール:能動:探索者のCON値、受動:毒のPOT値

・POT対抗に探索者が勝つ
 <犠牲者は軽い発熱と動悸の乱れを起こす程度で留まる。>

・POT対抗は毒性が勝つ
 <犠牲者は以下の効果に襲われる。>
『探索者は突然。震えと体温上昇による発汗が症状として現れだした。
 息を乱しながら、精神に異様な不安が積み重なっていくのを感じる。
 ついには感情に制御が利かなくなり、ある者は泣き、怒り、時には狂ったように笑い出すだろう。』
 極度の精神的不安に襲われた探索者は(1/1d4+1)の正気度喪失が発生する。
 同時に徐々に毒に蝕まれ耐久が1ポイント減少される。
 なお上記のような「感情噴出」は、一時的発狂を起こしたならば行動は発狂が優先される。

感情の種類を決めにくいならば、(1d4)である程度種類を絞るといいだろう。
発狂ではないので、精神分析せずとも会話やある程度喋れば自然と治る。
 <一時的な感情噴出の種類>
 1:高揚感に支配され無茶をする(狂ったように笑うでも可)
 2:不安感に染まり動けなくなる
 3:怒りに身を任せ当たり散らす
 4:自己嫌悪に駆られて泣き喚く



●粘液化と失敗回数のリミット
粘液は拭き取ってもじわじわと服が変化し続けているため際限がない。
対象となる服は着ていることが条件。着るのをやめて脱いでしまえば溶解は起こらない。
どうしても逃れるためには全裸になって他の布で拭き取るしか無いだろう。
もし全裸で探索するならば相当の精神的消耗が起こるはずなので、
<全裸になって以降は全てのSANチェックに固定+1される。>
※露出狂を引いている場合は除外される。

着込んでいる量や失敗率にもよるが、基本は6回失敗した時点で殆どが粘液に変わり全裸となる。
粘液化してしまった部位を隠すように新しい服を着こめば、全裸になるまでのカウントに余裕ができる。
丸っと着替えてしまえば再び失敗するまで粘液変化は起こらなくなる。
(例)
 探索者が粘液化で露出してしまった部分をシーツで隠す
  ↓
 全裸になるまでのカウントが「6→9」になる。
  ↓
 合計失敗回数が6回で全裸になるところを、9回までと余裕ができる。
  ↓
 丸っと着替えてジャージになる。
  ↓
 今までの失敗回数がリセットされ、6回までは失敗しても全裸にならなくなる。




◯カウンター(KP選択ルール)
探索者が同じ探索者へ危害を働いた場合、そのダメージは全て自分へと帰ってくる。
自分のミスで怪我を負ったり、探索者以外の対象からダメージを与えられた場合は適応されない。
自分の意志で庇うならば、その意思は汲み取られてダメージは庇った人物へ向かう。
しかし、危険を承知で他の探索者へ行動を押し付けた場合にはカウンターが発生する。

これは互いを対等にするための措置である。
仕掛けたのは探索者を試そうとしている神様「アーガルグ・リーオニス」だ。
神様は人間とは自分勝手な存在でしか無いと考えており、この措置でどう動くのか見ている。
協力的な行動を見せれば神様に遭遇した際、多少の無礼なら許してくれるようになっているかもしれない。
(※結末の分岐に少しばかり影響します。)




◯簡易版の罠
服の溶解や毒の処理が手間な場合はこちらを選択しても構わない。

戦闘中以外の技能ロールに失敗すると<”持ち込んだ持ち物”の一つがランダムで爆発する。>
規模は小さく火薬も使われていないため炎症は起こらない。
持ち物には服も含まれるが、布や革、紙製品のような柔らかい素材ならば怪我はしない。
ただし眼鏡や腕時計、携帯電話といった硬い物質が砕け散れば、怪我をすること確実だろう。
これが刃物や拳銃ならば、負うだろう耐久ダメージはより高くなる。
持ち込み物が無くなったならば、淡々と服でも爆破するといいだろう。
以下に物質にたいしての耐久ダメージの例を出すが、判断はKPに委ねられている。
また、突然の爆発に探索者は(0/1D3)のSANチェックが発生する。
もし対象が思い入れのある品ならば、失ったショックによりSANチェックの数値を大きくして構わない。

 <爆発する物質とダメージ例>
*布・革・紙製品の爆発[ダメージなし]
*プラスチックや金属製品[1D3 耐久ダメージ]
*刃物や拳銃、ガラス製品[1D3+2 耐久ダメージ]




◯発狂表の提案 <※KP情報※>
本シナリオで一時的発狂に陥った場合、KPはPLへ選択肢を提案できる。
これは毒による発狂確率が高い反面、発狂の種類による死亡を回避するためである。
1)通常通りルールブックから(1d10)ダイスで選ぶ
2)以下の用意された発狂の種類から(1d10)ダイスで選ぶ
 ※並びに、戦闘外ではラウンド数でなく[(1d6)×5]分間続くことにしてもよい。

<本シナリオ限定の発狂表>
1--反響行動
 (目の前の対象の行動を自分も真似てしまう。)
2--フェティッシュ
 (何かに対して強い執着を持つように成る。衣服や他の探索者など)
3--異食症
 (異常なものを食べたくなる。因みに赤い粘液は食べても即死ではない。)
4--妄想か幻覚
 (現状を受け入れられず、もっとあり得ない状況ばかりを想像したり幻視するなど。)
5--粘液恐怖症
 (粘液の気持ち悪さに肌を強く擦ったり、こんな気持ちの悪い服なんて着ていられるかと脱ぎ出すなど。)
 (※追加で(1/1d3)のSANチェックが行える。)
6--茫然自失
 (自分で動けなくなり、誰かに促されないと何もできなくなる。)
7--幼児退行
 (言動や行動が幼子のようになってしまい、親を探して泣き喚いたり、駄々をこねたりするなど。)
8--露出狂
 (部分的に露出するのはまどろっこしくなり徐ろに服を脱ぎ出すなど)
9--擬似多重人格
 (現実から逃げ出そうとするあまり、今の自分とは別の人格が仮形成されたように演じだす。)
 (現実逃避に近く、時間が立てば自分は何をしているのだと気づく。)
10--記憶喪失
 (一時的に自分の年齢や名前さえも忘れてしまう。)


 

05:導入


国や地域の指定は特にない。町中でも田舎でもどこだろうと共通して起こる。

探索者が人気のない夜道を歩いていると、ふと背後からの気配に気づく。
しかし気づいた頃には真後ろまで迫っており、後頭部を殴られてしまう。
殴られたことにより探索者は耐久へ(1d4)のダメージを負うことになる。
頭部への衝撃に視界を歪ませながら、探索者は意識を失うだろう。

この時、犯人を見たいと申し出た探索者には[CON×5]に成功すれば見ることができる。
失敗すれば<ボロボロの衣服を着た、浮浪者のような人物が立っている>のが見えた程度で意識を手放す。
成功すれば以下のような光景が見えるだろう。

『そいつの手には自分を殴ったであろう凶器がしっかりと握られている。
 だがおかしい
 凶器を握る手はやせ細り、肌は土気色にしわがれ、服もぼろぼろだ。
 口はだらりと開き、生気のない濁った瞳があなたを見下ろしている。
 明らかに 死んだ姿をした者が 動いていたのだ。』

動く死体を見てしまった探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(1/1d8)である。なお、直ぐに気絶するため一時的発狂は起きない。


しばらくの後、探索者たちが目覚めた場所はまるでサーカスの舞台のようだった。
突然拉致されて、見覚えのない場所に監禁されてしまったことによりSANチェックが発生する。
正気度喪失は(0/1d4)である。

コンクリートのような壁はなく、どこも厚い布で覆われて大きなテントに見える。
地面は土ばかりだが、場所によってはカーペットなどが敷かれているようだ。
辺りを見渡せば中央には円形の舞台、客席はないが4本のトンネルがあるのが分かる。
カーペットはまるで進めと言わんばかりに、トンネルに導くように横穴へと伸びている。
周囲を軽く散策すれば、気絶させられる前に持っていただろう探索者の荷物が転がっている。

《目星》に成功すると<舞台の中心に【マンホールのような蓋】があると分かる。>



 

06:中央のテント


ここは真上に謎の光源があり、何かをするには充分な明るさだ。
目覚めた円形舞台の中心には、マンホールらしき蓋がある。
そこには「1」の数字と、雪の結晶のような【シンボル】が赤と黒で描かれている。

【シンボル】に対して《アイデア》に成功すると
<中心からの枝分かれは4本になっており、まるでこの場所の地図のようだと感じる。>

マンホールが力づくで開くことは絶対にない。
その横には【小ぶりの石版】が設置されており詩が書かれている。
あたりを見渡せば扉のない、【トンネル】のような暗闇へ続く横穴が4本伸びている。
トンネルの上にはそれぞれ「2・3・4・5」の数字が振り分け表示されている。


<石版に書かれた詩>
『怪物五匹 喧嘩した
 一匹怒り 皆殺す
 一匹怖くて 血を止めた』

『止まった 止まった 心の臓
 怪物みんなで 飲み干した 
 溢れる生き血を 飲み干した
 生き血は全部 腹の中』

『怪物一匹 穴の中
 暗い暗い 穴の中
 心臓止まり 眠ってる』

『怪物四匹 隠れてる
 みんな分かれて 横道へ
 一匹だけが 穴の中』


【小ぶりの石版】に対して《目星》に成功すると
 <石版の側面に字体は違うが、小さく書かれた似たような詩を発見する。>

<石版の裏に小さく書かれた詩>
『みんな みんな 壊れてしまえ
 願い呪う 祈り呪う
 怪物四匹 怯えてる
 生き血を抱えて 震えてる』

『溢れろ 溢れろ 血よ巡れ
 怪物どもから 血を奪え
 止まった心臓 動き出す
 一匹だけが 動き出す』


 <※KP情報※>
*詩について
この詩は穴に落とされた神様以外の怪物こと魔術師が記したものだ。
惑わすために自分たちは可哀想な者達であると言いたげな内容となっている。
石版裏のニ節だけ字体が違い、これは閉じ込められた神様が書いたものだ。
神様は怪物たちに怒りを覚えているため、物騒な内容になっている。

*シンボルについて
神様を閉じ込めるための紋章である。
封印はシンボルが刻まれた魔術師が一人でも存在すれば起動し続けている。
このシンボルは神様の力を吸収し、閉じ込めておく効果がある。
力は血液とし形を変化させており、シンボルを破壊すると神様の元へ戻っていく。
その際は血液が蒸発するかのように消えていく。


 

07:4本の横穴


中央の部屋から見て、2~5の数字がふられた横穴トンネルが存在している。
入らずに覗くだけでは、向こうに何があるかは見えないほど暗闇が続いている。

トンネルはそれぞれ雰囲気の違う空間へと繋がっている。
《聞き耳》でもすれば、各部屋から聞こえるかもしれない物音が分かる可能性はある。
2の横穴<そよ風のような、穏やかな風が吹く音が聞こえたような気がする。>
3の横穴<何も音は聞こえない>
4の横穴<「カチカチ」と時計の秒針のような音が聞こえたような気がする。>
5の横穴<何も音は聞こえない>


●4部屋の共通点
トンネルから抜け出た部屋は、どれも過去の犠牲者の遺品などが保管されている。
中にはライターや水筒、運が良ければまだ使える拳銃やナイフが見つかるかもしれない。
ただ服だけは各部屋に1着あるかないかだ。


<過去の犠牲者が残した服>
殆どは溶けて無くなっているが、着替えとして持ち込まれた場合は残っている。
とは言え数は少なく、必ずしもちゃんとした服である可能性は低い。
(※新たに入手した服も、着始めてから技能に失敗すれば溶解を始めるので注意されたし。)

シンボルが存在する部屋で棚や箱を探すと、一箇所にだけ服が一人一着発見できる。
意外にも、その服は見つけ出した探索者のSIZに合っている。
服の種類は入手した探索者が(1d20)ロールでランダム決定する。
(※種類も数もKPの好みで変更して構わない。以下は茶番成分を強くした例。)
 01:顔だけは出るきぐるみ
 02:ツナギ
 03:執事服
 04:クラシカルなメイド服
 05:着流し
 06:巫女服
 07:学ラン
 08:セーラー服
 09:あずき色のジャージ(○○部と刺繍付き)
 10:1-3と書かれた体操着(肌色スパッツ付き)
 11:きわどいスリット入りチャイナ服
 12:ロボアニメで出てきそうな体にピッタリのパイロットスーツ
 13:ゴスロリ
 14:猫耳つきパーカー
 15:バニー服
 16:白衣のみ
 17:大きなワイシャツのみ
 18:赤いマントのみ
 19:エプロンのみ
 20:仮面のみ



●探索者の目的
脱出には各部屋に1つだけあるシンボルの描かれたアイテムを探し、破壊することが目的となる。
シンボルは全て無機物に描かれており、その無機物は知能を有している。
ある物は香水瓶、ある物はティーポットなど、いずれも液体を溜めて置けるような小物だ。
全部で4体、彼らは中央から伸びる4本のトンネルの先に1体ずついる。

<各部屋にいる無機物NPC
(1はマンホールに書かれている。)
2の部屋 ティーポット「ノリー」 自堕落なのんびり屋
3の部屋 ワインボトル「グレイ」 せっかちな気取り屋
4の部屋 置き時計「クック」 泣き虫の照れ屋
5の部屋 香水瓶「シャル」 神経質な自惚れ屋



NPCたちについて
彼らから探索者たちに攻撃を仕掛けることは滅多にない。
それは空間に仕掛けた魔術的呪いが、勝手に探索者を死に至らしめることを知っているからだ。

彼らは探索者の今の不幸な境遇は全てマンホールの下の怪物のせいだとのたまう。
だが聞けば聞くほどちぐはぐな点が感じられ、本当に怪物のせいだろうか?と疑いたく成るだろう。
KPが一つ注意する点として、彼らはあることは絶対に言わない。
それは「自分たちが探索者たちをここに引き入れた張本人」であること。
これに起因する以外のことならば、多少口を滑らしても構わない。

探索者が目的のために破壊すると言っても、彼らは無力ではない。
下手に攻撃すれば返り討ちにあってしまうだろう。
それを避けるために、探索者は彼らが隠している弱点を知らなければならない。
そこを突けば狼狽えたり、パニックを起こすなどして彼らの思考に隙ができる。
弱点はそれぞれ違い、一体ずつ嫌いな相手の弱点を知っている。
全員がみな仲良しというわけではないのだ。
また一体は好いている相手がおり、対象の好物を知っている。
タダでは教えてくれないが、好物を持ってきて機嫌を取れば教えてもらえるかもしれない。


 <NPCたちの関係性>
     嫌悪対象 / 好意対象
2.ノリー: シャル / クック
3.グレイ: ノリー / シャル
4.クック: グレイ / ノリー
5.シャル: クック / グレイ

 <NPCたちの弱点と好物>
      弱点 / 好物
2.ノリー: 香水 / 目玉
3.グレイ: 紅茶 / 髪の毛
4.クック: お酒 / 骨
5.シャル: 水  / 血液


 

08:2の部屋


(2の部屋には【ティーポット】の「ノリー」が隠れている。)
部屋というには不釣り合いなほど広々とした空間は、美しい花畑に囲まれた庭だ。
生け垣に囲まれた一本道、脇にはかかしが立ち、中央には綺麗な水が湧き出る噴水がある。
一本道の先には小さなレンガ造りの小屋がある。
太陽のような光も照っているので周囲は昼間のようだが、空を見上げれば全く動かない雲と青空が見える。
まるで作られた箱庭のようだと感じるだろう。
じっと辺りを観察すれば、動物や虫の気配が全くないことも分かる。

カカシに対して《目星》に成功すれば
<カカシの足元に大量の手斧が置かれており、中には血痕がこびり着き錆びているものもある>と分かる。

噴水に対して《知識》や《博物学》などで成功するば
<ここの水は大変綺麗で、飲料水としても使用できるほどだ>と分かる。


●2の部屋に隠された犠牲者
花畑に対して《アイデア》に成功すると
<綺麗な花畑には死体が埋まっている>という噂まがいの話を思い出す。
イデア情報が浮かんでから臭いをかぐと、花の香りに混じって腐臭がすることに気づく。

花畑を掘り返すと沢山の【人骨】が出てくる。
大量の白骨死体を目撃した探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(0/1d4)である。
死体からは【骨】が入手できる。
(※【骨】は4の部屋「クック」の好物である。)


★花畑に存在するトラップ
花畑には【かかし】が立っており、無断で掘り返そうとすると襲ってくる。
【かかし】が受けた命令は「花畑を無断で荒らす者を追い返せ」なので、逃走すれば何もしなくなる。
そこを逆手に取れば、花畑を荒らさずに燃やしてしまえば反撃を受けること無く掘り返せる。
燃やす際は以下の様な現象を起こす。
『錆びついた金属のローラーを回したような金切り音を鳴らしながらカカシは燃え尽きていく。
 まるでカカシに込められた僅かな精神の叫びのようだ。』

因みに命令主である「ノリー」が花畑を荒らす許可を出すことはない。
カカシ自体へ与えられた1ポイントのPOWがなくなる
若しくは、体が修復できない状態にならない限り命令主を殺してもカカシは動き続ける。


★「スケアクロウ」花畑を守るかかし(マレモンP.265)
STR:9   DEX:3   INT:該当なし
CON:22  POW:1  SIZ:12
HP:17   回避:なし  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[武器]絡みつき 25%:ダメージ 窒息
    手斧 20%:ダメージ 1d6+1+db
[装甲]2ポイントの藁と木
    スケアクロウは貫通する武器からのダメージを全く受けない。
    鈍器や切り刻むような攻撃はスケアクロウに1/2のダメージを与える。
    火には極端に弱く1ラウンドにつき[1D6+2]ダメージを受ける。
    POWを吸収されるか、完全に焼却されない限り、[SIZ×10]分間で再生する。
[正気度喪失]目撃した場合(0/1d4)



●レンガ造りの小屋
小屋にはドアが一つ、窓が2箇所。窓を覗けば<全く人の気配がない>と分かる。
裏へ回ると無造作に置かれた鞄や小物があるだろう。
これらは過去の犠牲者の遺品の一部だ。ここに服はない。
《幸運》に成功すれば、その中から探索者が欲するものが手に入るかもしれない。

小屋の中は芳醇な紅茶の香りで満たされ、無造作に置かれた缶詰には紅茶の茶葉が詰められている。
木製のテーブルやイスには人の気配を感じない。
小屋の中で《幸運》に成功すると<棚に置かれた箱の一つから【服】を発見する。>
服がどんなものかは(1d20)でランダムに決定する。
失敗後に再度チャンレンジすることは可能だが、失敗する度に服は粘液化を加速させる。
成功後にどうしてももう一着欲しい場合は《幸運》は半分の値になる。


ティーポットのノリー
小屋の中で《目星》に成功すると
<食器類に紛れてシンボルの描かれた【ティーポット】が置かれているのを見つける。>
<シンボルはマンホールで見たものと同じようだ。>

ティーポット】を持ち上げればのらりくらりとした声が聞こえる。
「おやまあ、お客さんですか」

ノリーは自己紹介などをすると、自分から何かを話すつもりはない。
聞けば簡単なことは答えてくれるだろう。


★「ノリー」自堕落なのんびり屋
嫌悪対象:シャル  弱点:香水
好意対象:クック  好物:目玉
――――――――――――――――――
反撃方法:狙い撃つ食器
部屋に置かれたフォークやナイフが襲い掛かってくる。しかも無限湧きである。
DEXは総じて探索者たちよりも遅いが、ノリーを壊そうと動いても必ず前に出て阻止してしまう。
KPは(3d6)を振って探索者たちへ狙いを定める食器の数を決定する。
逃走するならばDEX対抗が発生することなく自動成功で逃げれるだろう。
探索者が1ラウンド目で逃げなければ、出た目の本数だけ探索者へ同時に攻撃を仕掛けてくる。
攻撃はとても的確であり、この場面で必要なロールは探索者の回避のみだ。
回避できるのは一人3本まで、まだ攻撃できる食器類が残っているならば自動成功で命中する。
ダメージは1本につき(1d2)の耐久ダメージだ。


●ノリーから聞き出せる情報
 *シンボルについて
  「これは僕らを繋ぎ止める印さ。考えたのも僕らなんだよ、すごいでしょう?」
 *マンホールの先について
  「恐ろしい怪物が居るんだ。怖くて口にだすのも恐ろしい。」
  「怪物は僕らが封印してるんだよ。なんでって、放っておくと僕らを殺してしまおうとするからさ。」
 *花畑について
  「あそこは僕の自慢の花畑なんだ。荒らしたりしないでおくれよ」
 *白骨死体について
  「さあ?勝手に埋まっていたんだよ。養分になるから放ってあるんだけどね。」
 *探索者同士は運命共同体であり、一人が死ねばみな道連れである。
  「君らは運命共同体だ。せいぜい仲良くするんだよ。」
  「死人が出れば怪物の手先が出てくるんだ。」
  「つまり僕らが封じている怪物が、死体を持っていくついでに他の人間も持って行ってしまうんだ。」
  「僕らは封印で手一杯、紛れ込んでしまった君らの面倒までは見れないよ。」

一通り聞き出してから《アイデア》に成功すると
<怪物は封印しているというのに、手先まで彷徨っているのはおかしいのでは?>と感じる。
この事をノリーに聞くと「きっと手先は僕らを恐れて来れないのさ。だから気にしてない。」と冷たく答える。

上記以外、答えたくないことや分からないことに対しては誤魔化すか口を閉ざしてしまう。
「さあねえ、僕にはわからないなあ」

<《交渉技能》に成功すると聞き出せる情報>
 *自分はシャルが嫌いであること
  「5の部屋の住人はね、高飛車で品のない馬鹿が居るよ。」
 *自分はクックと友好的であること
  「4の部屋はとてもいい子がいるんだ。繊細だから傷つけてはいけないよ。」
  「そう言えばあの子(クック)は骨が好きだったなあ。」
 *グレイの事は何も知らない
  「3の部屋はどんな奴だったかな。どうでもいいから忘れちゃったなあ。」


●好物【目玉】を見せると
探索者の目玉を繰り抜いても構わないが、ノリーは2つセットでないと満足しない。
ノリーに目玉を見せると欲しいと騒ぎ立てる。
探索者が許可すれば以下の様な事が起こるだろう。
『ノリーの注ぎ口から湧き立つ蒸気が手のようになって目玉を奪い取った。
 どうやって吸い込んでいるのか、目玉は注ぎ口からティーポットの中へ取り込まれてしまった。
 ティーポット中からは水風船が潰れるような音と咀嚼音が混ざり合って聞こえてくる。』
食べ終わったらしいノリーは「感謝の印にいいことを教えてあげよう」と言う。
 *シャルの弱点
 「シャルの馬鹿は【水】が大嫌いなんだ。自慢の香りが駄目になるとか?馬鹿だよね。」



●弱点【香水】へのノリーの反応
ノリーの前で香水を使うと、自分の紅茶がダメになると大慌てし出す。
「なんて気持ちの悪い臭いだ!悪臭だ!ああ僕の紅茶が!紅茶がダメになってしまうよ!!」
換気しなければと窓のところまで飛び跳ねて移動するノリー。
ところが勢い良く窓を開いた瞬間、身を乗り出し体勢を崩してしまう。
探索者が軽く押して殺れば、窓の外へ真っ逆さまに落ちてしまうだろう。
あっという間に地面に叩きつけられたティーポットは粉々に砕け、シンボル破壊も成し遂げられる。
中から溢れるように流れでた赤い液体は、蒸発するかのように消えていく。


 

09:3の部屋


(3の部屋には【ワインボトル】の「グレイ」が隠れている。)
ワインセラーのようで沢山の背の高い棚が並べられており、様々な酒が揃っている。
壁際には大きな酒樽が置かれ、酒瓶以外にも鞄やら貴金属が棚に整頓されて置かれている。
《幸運》に成功すれば、その中から探索者が欲するものが手に入るかもしれない。

ワインセラーの中で《幸運》に成功すると
<棚に置かれた鞄の一つから【服】を発見する。>
服がどんなものかは(1d20)でランダムに決定する。
失敗後に再度チャンレンジすることは可能だが、失敗する度に服は粘液化を加速させる。
成功後にどうしてももう一着欲しい場合は《幸運》は半分の値になる。


●3の部屋に隠された犠牲者
端に置かれたワイン樽を調べると、何かが詰まって中身が出てきそうにない。
棒状の道具で詰まっているものを掻きだしてやれば、溢れんばかりの内臓と血液が溢れ出してくる。
異常な量のむき出しの臓物を目撃した探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(0/1d4)である。
ワイン樽からは【血液】が入手できる。
(【血液】は5の部屋「シャル」の好物である。)


●ワインボトルのグレイ
ワインセラーの中で《目星》に成功すると
<シンボルの描かれた【ワインボトル】が置かれているのを見つける。>
<シンボルはマンホールで見たものと同じようだ。>

【ワインボトル】を持ち上げれば早口にまくし立てる声が聞こえる。
「なんだい君たちは? 気安く触らないでくれたまえ!」

グレイは探索者たちが自己紹介すれば彼も答えてくれる。
自分から何かを話すつもりはないが、聞けば簡単なことは答えてくれるだろう。

★「グレイ」せっかちな気取り屋
嫌悪対象:ノリー  弱点:紅茶
好意対象:シャル  好物:髪の毛
――――――――――――――――――
反撃方法:窒息の酒
探索者頭部を球状に浮かぶ液体が覆い窒息させようとする。
液体は全て酒であり、窒息ロールに失敗すると息が続かず多量の酒を飲み込んでしまう。
(窒息ロールはルールブック(P62)を参照。)
失敗して耐久(1d6)を一度減らした所で探索者は開放される。
同時に急性アルコール中毒(酩酊期程度)のような症状に陥るだろう。
よって真っ直ぐ歩けることが出来なくなり、全ての技能ロールに(-10%)の補正が入る。
窒息ロールに失敗する前に離脱するためには、DEX×5に成功して振り払わなければならない。
対象者以外からの《医学》が成功すれば、歩行に関しては元に戻しても良い。



●グレイから聞き出せる情報
 *シンボルについて
  「これは我々にとって大切なものだ、気安く触らないでくれたまえ。」
 *マンホールの先について
  「恐ろしくも美しい怪物があそこにはいるんだ。我々はそれを封じているのだよ。」
  「美しすぎて我らでは殺せないんだ。それ以上に気性が荒くて困るんだがね。」
 *お酒について
  「私のコレクションさ。分けてあげてもいいが、了承くらいは願い給えよ。」
  →交渉技能に成功すればお酒は好きなだけ持って行っていいと許可してくれる。
 *酒樽について
  「秘蔵のワインさ。僕の恋しい子はあのワインが大好きでね。」
  「思い人は誰かだって? それは内緒さ。」
 *酒瓶の臓物について
  「さあな、たまたま落ちていたから集めただけだ。」
 *探索者が何故ここにいるのか
  「もしかしたら怪物の封印が弱まっているのかもしれない。」
  「君らを呼んだのも怪物かもしれない。何を言われても決してそそのかされるんじゃあないぞ。」

ひと通り聞いてから《アイデア》に成功すると
<その姿でどうやって片付けたというのだろう。もしかして他に動ける人物でもいるのだろうか?>と思う。
この事をグレイに聞くと「教える義理はない」と冷たく言い放つ。

上記以外、答えたくないことや分からないことに対しては誤魔化すか口を閉ざしてしまう。
「何でもかんでも知っているわけじゃない! あまり私の時間を使わせないでくれたまえ!」

<《交渉技能》に成功すると聞き出せる情報>
 *自分はノリーが嫌いであること
  「2の部屋はいけ好かないのろまがいるだけだ。」
 *自分はシャルと友好的であること
  「5の部屋には私の思い人がいるのさ。失礼をしてはならんぞ、彼女は高潔だ。」
 *クックの事は何も知らない
  「4の部屋? あそこは誰が居たかも忘れてしまったな。」



●好物【髪の毛】を見せると
これは探索者自身が長髪で、刃物で切って渡しても喜ぶ。
ただし短髪では効果がなく、量はカツラが作れるほど無ければならない。
グレイに髪の毛の束を見せるとまくし立てるようにもっと近くで見せてくれと興奮しだす。
『ワインボトルのコルクが小気味いい音を立てて抜け落ちた。
 するとコルクが独りでに動き出して髪の毛に絡みつきどんどん巻き取っていく。
 強い力で巻き取られた髪の毛は塊となってコルクと一緒にワインボトルへと吸い込まれてった。
 「こんな沢山の毛髪は久しぶりだ! ああ美味しいなあ 美味しいなあ」
 ワインボトルの中からは引きちぎられる音と一緒に、すりこぎのような咀嚼音が聞こえた。』
コルクが宙を浮いて元の位置に戻ると、食べ終わったらしいグレイは「礼にあることを教えてやろうじゃないか!」と言う。
 *ノリーの弱点
  「あのノロマだがな、どうも香水の香りが大嫌いらしい。
  「私の思い人であるシャルの香りが気持ち悪いなどとぬかしおって、忌々しい。」



●弱点【紅茶】へのグレイの反応
奇声を上げながら怒りに声を荒らげだす。
「ノリーめ!いつの間に私の部屋へ紛れ込んだ!?忌々しい!!忌々しい!!」
暴れるようにガタガタとワインボトルである自分の身を動かしていると、ふとした拍子に棚から転がり落ちる。
叫びを上げる間もなくそのまま地面に叩きつけられ、呆気無く彼は粉々に砕けてシンボルも破壊されるだろう。
中から溢れるように流れでた赤い液体は、蒸発するかのように消えていく。


 

10:4の部屋


4の部屋には【水時計】の「クック」が隠れている。
三畳分ほどしかない小さな部屋には、ところ狭しと様々な時計がかけられている。
唯でさえ狭いのに、ショーケースまで置かれているため身動きもしづらい。
他にもお馴染みのカッコウ時計から日時計に砂時計、線香を使って測る火時計まであるようだ。
奥には一際大きな柱時計が置かれており刻々と時間を刻んで入るが、どの時計も時間はバラバラだろう。
ここには鞄などはないようだが、ショーケースには沢山の腕時計や懐中時計が並べられている。
これは過去の犠牲者たちの遺品である。

この部屋で《幸運》に成功すると
<積み重ねられた箱の一つから【服】を発見する。>
服がどんなものかは(1d20)でランダムに決定する。
失敗後に再度チャンレンジすることは可能だが、失敗する度に服は粘液化を加速させる。
成功後にどうしてももう一着欲しい場合は《幸運》は半分の値になる。


●4の部屋に隠された犠牲者
一際大きな柱時計の前で《目星》に成功すると
 <柱時計の向こうにまだ空間がありそうだと分かる。>

柱時計を横へずらすには、柱時計のSIZ18と探索者のSTRで対抗ロールをしなければならない。
縄を括りつけて引っ張り倒すならば、探索者の対抗ロールに+30%の補正を入れても構わない。
背面の壁には身を乗り出せそうなほどの穴が開いている。
覗きこんで光で照らしてみれば、そこには丸坊主の人間の頭部が整然と並べられている。
それらは未だに生々しさを残しており、表情は苦悶と絶望に彩られている。
大量に並べられた人間の頭部を目撃した探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(1/1d6+1)である。
人間の頭部からは【目玉】が入手できる。
(【目玉】は2の部屋「ノリー」の好物である。)


●置き時計のクック
部屋に対して《目星》に成功すると
<完全に止まっている、シンボルの描かれた花瓶型の置き時計があるのを見つける。>
<シンボルはマンホールで見たものと同じようだ。>

【花瓶型の置き時計】を持ち上げれば、弱々しく震える声が聞こえる。
「だ、だれですか? クックを持ち上げているのはだれですか?」

クックは自己紹介するまでもなく自分で名前を言っている。
怯えてなかなか話してくれないが、優しく聞けば簡単なことは答えてくれるだろう。

★「クック」泣き虫の照れ屋
嫌悪対象:グレイ  弱点:お酒
好意対象:ノリー  好物:骨
――――――――――――――――――
反撃方法:幻覚の砂
突然、探索者の目に砂のようなゴミが入り、クックの姿が見えなくなる。
クックが喋れば声は聞こえるかもしれないが、攻撃直後に話してはくれないだろう。
更にこの砂はとても精密な幻覚を見せる効果もある。
ふとした時に恐ろしい怪物が目の前に現れSANチェックが発生する。
怪物とは「アーガルグ・リーオニス」の姿だ。
彼女の姿を目撃した探索者は(1/1d10)SANチェックが発生する。
SANチェックが済んだ所で、襲いかかるような素振りと共に幻覚は消え去る。
この砂は水で洗い流せば効果は消える。
もし二度目の幻覚の砂を受けたならば、次はKPが望む神格の精密な幻覚を見せて構わない。




●クックから聞き出せる情報
 *シンボルについて
  「これは大きな力を吸い取っちゃうためのものなんです。クックたちは吸いとった力を蓄えているんです。」
 *マンホールの先について
  「こわいこわい怪物さんがいます。恐いけれど綺麗なんです。」
  「クックたちが閉じ込めてるけど、とっても強いから閉じ込められながら何をするか分からないです。」
 *時計について
  「時計はずっと見ていて飽きないのです。壊したりしないで下さいね?」
 *柱時計の裏について
  「そんな隙間ありましたか? クックは知りません。」
 *赤い粘液について
  「たぶん、怪物さんが仕掛けた罠かもしれないよ?」
  「怪物さんの恐ろしい力は、クックたちが知らないことも多いんだ。」

ひと通り聞いてから《アイデア》に成功すると
<怖いが綺麗という話から、恐怖より所有しているような愉悦感を感じる。>
この事をクックに聞くと「意味がわからないです。クックは、正直に言っただけですよ?」とぎこちなく答える。

上記以外、答えたくないことや分からないことに対しては誤魔化すか口を閉ざしてしまう。
「えっと、クックにはわからないです。ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

<《交渉技能》に成功すると聞き出せる情報>
 *自分はグレイが嫌いであること
  「3の部屋のあいつ嫌いです。イチイチ煩いんです。」
 *自分はノリーと友好的であること
  「2の部屋のノリーは優しいですよ!のんびり屋さんでクック好きです!」
  「ノリーはお目目が好きなんですよ。ツヤツヤしてるからかな?」
 *シャルの事は何も知らない
  「5の部屋ですか? 誰がいたんだっけ……。」



●好物【骨】を見せると
『骨を見せると大喜びで置き時計の体を揺らしだした。
 すると止まっていた時計の針が手足のように伸び、探索者から骨を奪い取ってしまった。
 奪い取られた骨が秒針や分針によって粉々に砕かれると、白い文字盤の中へ吸い込まれていく。
 止まっていた置き時計は喜ぶかのように動き出した。一定の方向でなく、右へ左へ慌ただしく。』
食べ終わったらしいクックは「美味しかったー!そうだ、お陰でこんな事を思い出したよ!」と言う。
 *グレイの弱点
  「小煩いグレイはねー 紅茶が嫌いなんだよ!」
  「美味しいのに変だよね、舌が死んでるんじゃないかな。」



●弱点【お酒】へのクックの反応
「あれ、これお酒? おさけ おしゃけはだめ…」
呂律が回らなくなり黙ってしまったかと思うと、耳を澄ませば酔っ払って眠りこけているのが分かる。
この間ならばクックに反撃されることなく破壊することが出来る。
中から溢れるように流れでた赤い液体は、蒸発するかのように消えていく。


 

11:5の部屋


(5の部屋には【香水瓶】の「シャル」が隠れている。)
綺羅びやかな円形の部屋で、入った瞬間から華やかな香水の香りで溢れており、壁は鏡張りになっている。
天井から紐で吊るされるように設置された台には様々な形状の香水瓶が置かれている。

鏡に対して《目星》に成功すると
<鏡が一枚回転式になっており、その先にはクローゼット程度の空間があるのを発見する。>

鏡裏のスペースには鞄などが置かれている。
《幸運》に成功すれば、その中から探索者が欲するものが手に入るかもしれない。

鏡裏のスペースを見つけてから《幸運》に成功すると
<置かれた箱の一つから【服】を発見する。>
服がどんなものかは(1d20)でランダムに決定する。
失敗後に再度チャンレンジすることは可能だが、失敗する度に服は粘液化を加速させる。
成功後にどうしてももう一着欲しい場合は《幸運》は半分の値になる。


●5の部屋に隠された犠牲者
紐をよく調べると全て人間の髪の毛を結ったものだと分かる。
そして紐が繋がれているであろう天井を見上げると
『首も手足もない人間の胴体が、髪の毛に雁字搦めにされながら逆さまに吊るされている。』
天井に並ぶ狂気的な光景を見た探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(1/1d4+1)である。
台を吊るしている紐からは【髪の毛】が入手できる。
入手するためには丈夫な刃物が必要だろう。例えば鎌やナイフ、剪定用のハサミなどだ。
(※【髪の毛】は3の部屋「グレイ」の好物である。)



●香水瓶のシャル
部屋に対して《目星》に成功すると
<沢山の香水瓶の中から、ブランドのロゴのようにシンボルが描かれた【赤色の香水瓶】を発見する。>
<シンボルはマンホールで見たものと同じようだ。>

赤色の香水瓶を手に取ると、甲高い声で不機嫌そうな声が聞こえる。
「ちょっと、汚い手でアタシに触らないで下さる?」

シャルは自慢気に自分のことを話して、探索者たちのことはろくに聞かない。
一方的に自分のコレクションの香水は素晴らしいだとか、この瓶のシルエットは美しいだとか
探索者が止めるまで彼女は自慢話ばかりしようとするだろう。
お世辞を言えば、簡単なことは答えてくれるかもしれない。

★「シャル」神経質な自惚れ屋
嫌悪対象:クック  弱点:水
好意対象:グレイ  好物:血液
――――――――――――――――――
反撃方法:瞬間移動
攻撃しようとした瞬間に、探索者の足元に穴が開いて真っ逆さまに落ちてしまう。
地面に叩き落とされ痛みに顔を歪ませ落ちた場所を確認してみれば、マンホールがあった舞台上だと分かる。
落下により探索者たちは(1d6)の耐久ダメージを負う。
もし《跳躍》に成功すればダメージを(1d6)減少させることができる。



●シャルから聞き出せる情報
 *シンボルについて
  「綺麗でしょ? 力の分散と実体化を象徴するように出来てるのよ。まあアンタには分からないでしょうけど。」
 *マンホールの先について
  「彼女はとっても綺麗だけれど、同時にとっても恐ろしわ。」
  「アタシたちが封印してなかったら、あなた達なんて簡単に八つ裂きよ。」
 *香水について
  「いい香りでしょう? アタシの自慢なの!」
  「勝手に持ちだそうものなら殺しちゃうわよ。」
 *天井の死体について
  「邪魔だからどかしただけよ。上に吊るせば邪魔じゃないでしょ?」
 *様々な場所にある死体について
  「前にもあなた達みたいな人は居たのよ。その成れの果てってとこじゃないかしら?」
  「アタシたちは封印で手一杯だから、助けろなんて言われても何も出来ないわよ。」

ひと通り聞いてから《アイデア》に成功すると
<死体となった過去の犠牲者たちは、コイツらに殺されたのでは?>と疑いを感じる。
この事をシャルに聞くと「なんのこと? ま、別にアンタたちが死んでもアタシは困らないし。」と嘲るように答える。

上記以外、答えたくないことや分からないことに対しては誤魔化すか口を閉ざしてしまう。
「しつこい奴は嫌いなのよね、どっか行って下さらない?」


<《交渉技能》に成功すると聞き出せる情報>
 *自分はクックが嫌いであること
  「アタシあの愚図が嫌いなのよね。4の部屋にいるあのオドオドしてる奴よ。」
 *自分はグレイと友好的であること
  「グレイは紳士的で好感が持てるわ。確か3の部屋にいるわね。」
  「彼ったら女性らしさが好きなのかしら、長い髪が好きなのよね。」
 *ノリーの事は何も知らない
  「2の部屋? アタシの記憶にはもう誰が居たかなんて覚えないわね。」



●好物【血液】を見せると
シャルは探索者が怪我をして出血していても反応する。
しかし探索者の血液を渡すとCONを(1d3)一時的に減少させられてしまうほど吸血されるので注意。
「なんて芳しい香り!」などと絶賛しながら血液を欲しがる。
『血液を近づけてやると天井から触手のような赤い蔦が降りてきた。
 蔦は血を含むそれに巻き付くと、みるみる吸い取っていく。
 赤い香水瓶を見れば、その赤は更に濃くなってやがてはどす黒い紅にまで変色してしまった。』
満足するほど吸血したらしいシャルは「満足させてもらったし、あることを教えてあげるわ」と言う。
 *クックの弱点
  「あの泣き虫のグズはお酒が大の苦手らしいわ。」
  「いっそ死ぬまで飲めばいいのよ。」



●弱点【水】へのシャルの反応
水が赤い香水瓶にかかると甲高い声悲鳴をあげる。
「やだ!ヤダヤダ!!アタシの美しい香りが消えてしまうわ……!」
シャルは早く拭ってくれと探索者たちへ懇願し触らせてくれるように成るだろう。
持ち上げた所で地面に叩きつけて殺れば、香水瓶は粉々に砕けてシンボルも破壊される。
中から溢れるように流れでた赤い液体は、蒸発するかのように消えていく。


 

12:シンボル破壊後


一番最後のシンボルを破壊した際には、重々しい黒さの【鍵】が落ちている。
この鍵はマンホールの先にいる神様を拘束している錠前の鍵だ。
並びに、この時点で【13:結末の選択―●探索者が一人でもSANか耐久が0以下になる】は完全に回避される。

1つ破壊するごとに、マンホールのシンボルに変化が現れる。
赤い箇所が黒い色に変わり、破壊するごとに黒い面積が増えていくのだ。

全て破壊すると赤い部分はなくなり黒色だけになっている。
並びに、最後のシンボルを破壊した時点でマンホールの蓋は独りでに開いている。
穴には下へと続く長い長い梯子がかけらている。
石版を見れば、元の詩を塗りつぶしたように新たな詩が浮き出ている。

 <新しい詩>
『おいで おいで 穴の中
 願いを一つ 叶えよう
 怪物一匹 ご満悦』

 <※粘液毒について再掲※>
粘液毒の発生元は魔術師たちなので、彼らを全員破壊した時点で毒の効果は消える。
効果が消えた時点で赤い粘液は全て蒸発してしまう。
また、探索者のSANは回復しないが、耐久を(1d4+1)回復することが出来る。



●マンホールの奥
梯子を降りて行くと、広々とした空間の中央に柱が立てられ、鎖で磔にされている女性がいる。
鎖には黒い錠前がかけられている。それ以外には何もない、殺風景な場所だ。

鎖には【錠前】がついており、これを外せば拘束は解けそうだと分かる。
女性には黒い角が生えており、体には目を表すかのような紋様が刻まれている。
相貌を伺い見れば大変美しく、この世ならざる存在とすら思うだろう。

この人物が探索者たちをここへ呼び出した元凶でも有り、魔術師たちが崇めた神様だ。
この後をどうするかによって結末が分岐する。


 

13:結末の選択


●探索者が一人でもSANか耐久が0以下になる
その時点で魔術師たちにより、対象の探索者のPOWは全て吸われてしまう。
犠牲となる探索者に異常事態が発生する。
『赤い粘液が皮膚下の毛細血管から侵入し、全身の血液と同化をはじめた。
 痛みはないにも関わらず、言い様が無い恐怖が全身を取り巻くだろう。
 視界は濁り 色彩を失い 声は遠退き 思考は停止していく。
 自分が何に変化させられているのか理解する間もなく、人間としての尊厳は奪われていった。』
参加している探索者の人数により以下は分岐する。


*探索者が一人だけ
探索者が一人だけならば以下のようになる。

『さっきまで無かったはずのトンネルが新たに開いている。
 だが今のあなたが理解することは叶わない。
 トンネルからは不穏な空気が漂っていることも
 その奥には自分と同じ運命を辿った仲間たちがいることも
 自分が今からその仲間に加わることも。』

その後、探索者を見たという者は現れないだろう。
次にこの生贄場の犠牲者以外には、誰も。



*探索者が二人以上
まだ耐久とSANが残っている探索者が同行しているならば以下のようになる。

『狂気に侵され顔を歪めた仲間が、焦点が合っているのかも怪しい瞳をこちらに向けた。
 相手はあなたへ狙いを定めている。
 まるで壊れた人形のよう、それとも仲間を欲するかのように、手をこちらに伸ばしている。』

同じ探索者がゾンビ化してしまったことにより、残された探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(1d3/1d6+1)である。

以降はゾンビ化した探索者との戦闘ラウンドが開始される。
生きていた探索者が殺されたならばそれまで。
殺したならば、血の匂いを嗅ぎつけたゾンビたちがトンネルから湧き出てくる。
彼らは魔術師たちによって、過去の犠牲者の死体をベースに作られたゾンビたちだ。
残された探索者は、最後にはゾンビたちにより取り囲まれて食い殺されるだろう。

★ゾンビ化した探索者
STR:元値×1.5   DEX:元値  INT:0
CON:元値×1.5  POW:1   SIZ:元値
HP:―   回避:―   db:―
――――――――――――――――――――――――――
[武器]噛み付く 50%:ダメージ 0d0
[装甲]貫通する武器は1ポイントのダメージ
    その他の武器は半分のダメージ
[正気度喪失]目撃した場合(1/1d8)
[技能]命令に従う:99%
    人間の肉を追いかける:99%




●神様にお願いする
【鍵】を使い磔をといてやれば、宝石の輝きにも負けない麗しい笑顔で感謝を述べるだろう。
「あの不届き者たちを始末してくれたようだ、謝恩を申す。」
「面白い見世物にもなった。そなたらには褒美を与えよう。」と怪しげな笑顔を向けて言う。
ここで《アイデア》や《心理学》に成功すると
<彼女はいつでも脱出できる余裕があったにも関わらず、現状を見物して楽しんでいたのでは>と分かります。

特に文句も言わず、褒美を所望すれば以下のように答える。
「望んでここに来たのではないだろう? なればここから出すことに助力をすれば十分かえ?」

このまま神様に出してくれとお願いすれば脱出できるだろう。
脱出時には彼女が他の神と接触し、脱出に相応しいであろう神の力を借りて開放してくれる。
また、質問をすれば少しは答えてくれるかもしれない。
しかし途中で神様の機嫌を損ねるような真似をすれば話は変わるので注意が必要となる。


『美しき神が宙空に向かって何かを唱えている。
 それは歌のようでも有り、詩のようでもあった。
 聴き惚れるほど、我々の理解を超えた言葉だと感じるだろう。』
『ふと視界が暗がりに落ちていく
 目の前の女性はどこか畏ろしさを孕んだ笑顔で見送っている。
 自分たちが暗闇に溺れゆく様を眺めながら……。』

探索者たちを元の場所へ戻す仲介役をする神は、次元を移動させる能力を持った神格なら誰でも構わない。
多くはナイラトテップ、その他は大いなるもの、選ぶのはKPの自由だ。
望むならば《幸運》でも振らせて神格を見てしまうかどうかの運試しをしてしまっても良いだろう。


『重い瞼をやっとのことで開けば、体に外傷はないようだ。
 目覚めた場所は、どうやら探索者の一人がよく知る場所だった。』

真摯にお願いされたわけでもないため、かなり雑な現実世界への帰され方をされてしまう。
まず溶けた服が帰ってくることはなく、あの世界で得た着の身着のままとなる。
複数の探索者が居るならばうち誰か一人の家で、全員が雑魚寝するかのように目覚めての帰還となる。
互いの出身国が違ったならば、元の自宅へ戻るのは一苦労と成るだろう。




●神様の怒りを買ってしまう
神様に対して
・攻撃行動を行う
・罵倒する
・愚痴のような事を数回言う
以上のような行動を取ると、本来気の短い彼女は直ぐに機嫌を損ねてしまう。
(もしカウンタールールを適用して互いが庇い合うような行動をしたならば、《幸運》をふって成功すれば難を逃れる。)
彼女はクリーチャーへと変貌し、探索者たちを容赦なく嬲り殺しすべく身を構えるだろう。

『女の肌に刻印されていた瞳を表す刺青がギョロリとこちらへ視線を向けた。
 刺青はエメラルドのごとく深い緑の輝き放ちながら、生々しさを増して浮き上がる。
 肌は硬質化し鱗となって体を覆っていく。表面に輝く瞳はこちらを捉えて話さない。
 骨格は人間の面影がないほどに激しい音を立てながら変形していた。
 黒々と輝く歯が鋭い音を鳴らし、黒曜石の鉤爪が地面を抉る。
 美しき女性の影はすっかりない。
 そこに居たのは、獲物へ狙いを定める爬虫類のような穢らわしい巨大なバケモノだ。』

待ち構えるものを目撃した探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(1/1d10)である。


この後は「アーガルグ・リーオニス」との戦闘ラウンドに入る。
(※この戦闘で死んだとしても、シナリオはまだ終了しないので注意)
戦闘中に条件を満たすと次のイベントへ移る。


★「アーガルグ・リーオニス」待ち構えるもの(マレウス・モンストロルム:P.123参照)
STR:35   DEX:35   INT:15
CON:32  POW:20  SIZ:33
HP:33   MP:20   移動:15  db:+3d6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]かぎ爪 90%:ダメージ 1d4+db+POT12の毒液
    噛みつき 70%:ダメージ 1d8+db
[装甲]10ポイントの角質のうろこ
[呪文]仲間のすべての大いなるもの、およびニャルラトテップとの《神格との接触
[正気度喪失]目撃した場合(1/1d10)
攻撃する時には、彼女は前脚のかぎ爪と噛みつき両方を同時に使うことができる。
彼女のかぎ爪は普通とは違う毒液を注入する。
彼女の犠牲者が毒液のPOT12に対する抵抗ロールに失敗すると、1D6時間ぐっすり眠り込む。
成功すると、対象は次の1D6時間気分が悪くなり、すべての肉体的技能が10%減少する。
犠牲者が何度もかぎ爪の攻撃を受けると、不快感による損失は累積し、効果が続く時間も累積する。



◎アーガルグ・リーオニスとの戦闘中イベント
このイベントの発生条件は以下の2点どちらか
 ・探索者が一人でも耐久2以下になる
 ・アーガルグ・リーオニスの耐久が5以下になる

条件が一致すると、彼女は怒りを露わにした化物らしい声でこう叫ぶだろう。
「この怒りは現し世の者共すら蹂躙せねば治まらん!!」

すると探索者はふと『冷たい風を感じるだろう』

『気がつけば、どこからともなく黒い霧が立ち込み始め部屋全体を覆っている。
 霧は口を塞げど、息を止めようと、勝手に体内へ侵入していく。』
『体は凍え、皮膚から目から口から、血液混じりの体液が溢れ出てくる。
 全身を激痛が襲い、吐き出せども吐き出せども止むことがない嘔吐感に息もできない。』
『ついには動くことも、叫ぶ力も嘔吐と一緒に吐出され、その場で息絶えるだろう。』

探索者には《アイデア》をしてもらう。
失敗すればただの毒霧だと思うだろう。
成功した場合<霧の中に紛れる、底知れない恐怖と狂気を体現したかのような存在を感じ取ってしまう。>

イデア結果を出した所で
探索者は拷問すら生やさしく感じる苦しみを与えられた事により、SANチェックが発生する。
正気度喪失量は(2/2d10+1)
更にアイデアに成功してしまった者は(0/1d8)のSANチェックが追加される。

<※KP情報※>
この風は大いなるものを保護、あるいは殺しに来たナイラトテップの化身だ。
ナイラトテップは覚醒の世界へ手を伸ばそうとする大いなるものを軽蔑している。
傍観者でいた外なる神も、彼女の言葉でついに動き出したのだ。
なお上記の姿は「黒い風」をモチーフとしてはいるが、ハッキリとし作品モデルはない。

SANチェックが終了すると次のシーンへ移る。


目覚めた場所はどことも知れぬ山中の廃墟だ。
アーガルグ・リーオニスによって殺された探索者がいたならば、その人物は息を吹き返している。
死んだはずの者に出会った探索者は(1/1d6+1)のSANチェックが発生する。
一度死んだ者も、死を体験したことにより(0/1d6)のSANチェックが発生する。

この時すでに、探索者は強制的にある精神疾患(下記参照)を患っている。
言うなれば、世界へ還すための神へ捧げさせられた代償だ。
服は元の姿に戻っているが、持ち物は全てなくなっている。
廃屋を出て山の麓に降りれば人里に出るだろう。どこの国かは運次第。

<記憶喪失(記憶の欠如)>
このシナリオ内で得た以外のあらゆる記憶が欠如してしまう。
正確には、技能的・教養的知識などは失われていない。
しかし、自分の名前、家族や近親者と言った親しい人物たちの顔と名前、更には居場所の記憶がなくなっているのだ。
この点に関しては、シナリオ内で自分が話したことも忘れている。
つまり人脈がほぼゼロになってしまったと考えるといいだろう。
自分が何者なのかすら分からなくなってしまった探索者は(1d6/1d10+1)の正気度喪失が発生する。


精神疾患の特殊な克服方法>
同行している探索者がいるならば、その人物とシナリオ内で共有した思い出は聞いた側に残っている。
相手が自分の素性について知っていれば、教えてもらうことにより精神障害を克服するチャンスが与えられる。
最低限の情報として、相手の本名くらいは知っていることが条件である。
自分についての話を聞かせてもらった所で[POW×4]をD100以下で出せば成功だ。
情報量によってはKPは[POW×5~8]まで変化させて構わない。
一人だけの生還や、失敗したならば(1d4)週間後にもう一度チャンスが与えられるだろう。
その際には[POW×6]でロールが行える。
失敗した場合、二度目のチャンスは(1d6)ヶ月後となる。
これが最後のチャンスであり、ロールは[POW×8]で行える。
それでもダメならば、その人物は永久的にシナリオ前までの素性の記憶を失ってしまうだろう。


 

14:クリア報酬


●神に願い脱出生還した
(1d6+1)の正気度回復が行えます。
更に<クトゥルフ神話>が(1d4)%与えられます。


●一人でシンボルを全て破壊した
魔術師たちを全員殺した強さから(1d3)の正気度回復が行えます。


●全裸で生還した
新しい扉が開いたような度胸強さが身につき(1d6)の正気度回復が行えます。


●神に抗おうとして脱出生還した
探索者が瀕死になってイベントが発生したならば(1d3)の正気度回復が行えます。
もしアーガルグ・リーオニスを追い詰めたならば(1d10+1)の正気度回復が行えます。
更に<クトゥルフ神話>が(2d4)%与えられます。
記憶を戻した時点で(1d6)の正気度回復が行えます。


 

15:NPCステータス一覧


★ゾンビ化した探索者
STR:元値×1.5   DEX:元値  INT:0
CON:元値×1.5  POW:1   SIZ:元値
HP:―   回避:―   db:―
――――――――――――――――――――――――――
[武器]噛み付く 50%:ダメージ 0d0
[装甲]貫通する武器は1ポイントのダメージ
    その他の武器は半分のダメージ
[正気度喪失]目撃した場合(1/1d8)
[技能]命令に従う:99%
    人間の肉を追いかける:99%




★「アーガルグ・リーオニス」待ち構えるもの(マレウス・モンストロルム:P.123参照)
STR:35   DEX:35   INT:15
CON:32  POW:20  SIZ:33
HP:33   MP:20   移動:15  db:+3d6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]かぎ爪 90%:ダメージ 1d4+db+POT12の毒液
    噛みつき 70%:ダメージ 1d8+db
[装甲]10ポイントの角質のうろこ
[呪文]仲間のすべての大いなるもの、およびニャルラトテップとの《神格との接触
[正気度喪失]目撃した場合(1/1d10)
攻撃する時には、彼女は前脚のかぎ爪と噛みつき両方を同時に使うことができる。
彼女のかぎ爪は普通とは違う毒液を注入する。
彼女の犠牲者が毒液のPOT12に対する抵抗ロールに失敗すると、1D6時間ぐっすり眠り込む。
成功すると、対象は次の1D6時間気分が悪くなり、すべての肉体的技能が10%減少する。
犠牲者が何度もかぎ爪の攻撃を受けると、不快感による損失は累積し、効果が続く時間も累積する。




(おまけNPC
参加する探索者が心もとない場合にご利用下さい。
★「潮見さん」偶然巻き込まれた一般人
STR:11  DEX:11  INT:11  EDU:14
CON:13  POW:11  SIZ:13   APP:1d6+12
HP:13   MP:11  SAN:55  db:0
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:55% 幸運:55% 知識:70% クトゥルフ神話:0%
    目星:50% 聞き耳:50% 言い包め:50% 応急手当:50%
[持ち物]コンビニ袋、水のペットボトル、シュークリーム
[人となり]
コンビニ帰りに運悪く巻き込まれてしまった、ただの一般庶民。
年齢は20~30代。性別は指定なし
全体的に平均ちょっと上の能力値、顔だけはいい。


 

16:その他補足や裏話


●無機物NPCについて
簡単に殺せ、かつ生物を殺すほどの罪悪感を与えないためにガラスや陶器の小物にしました。
会話をする分には最初こそ普通そうですが、結局はまともな振りをした狂信者です。
なので一番最後に残った無機物NPCはいくらでも口を滑らしてゲスくするといいでしょう。
例えば「まだくたばってなかったのか」「どうせ死ぬのにしぶといな」などと言った事です。
ゲスくした分だけ、探索者が破壊した際にはスッキリすることでしょう。



●コスプレ案の追加表
20種類でなく50種類にしてみました。20種類にないものや、省いたものもあります。
 <衣装の種類(1D50)>
01:大きさは自分にピッタリの他の探索者の服
02:セーラー服
03:学ラン
04:ブレザー
05:ジャージ
06:1-3と書かれた体操着(ブルマか肌色スパッツ付き)
07:スクール水着
08:顔だけは出るきぐるみ
09:ツナギ
10:執事服
11:メイド服(1D2:1クラシカルロング 2ミニスカロリータ)
12:ウェイトレス
13:スーツ
14:軍服礼装(1D2:1アジア風 2西洋風)
15:キャビンアテンダント
16:シスター服
17:神父服
18:ライダースーツ
19:魔女っ子服
20:囚人服
21:拘束衣
22:ぴったりとした黒のハイネックノースリとダボッとしたズボン
23:全身を覆えるゆったりとしたローブ
24:ロボアニメで出てきそうな体にピッタリのパイロットスーツ
25:ロリータ系統服(1D6種類:1クラシック、2甘ロリ、3和ロリ、4中華ロリ、5ミリタリー、6ゴシック)
26:パーティードレス
27:ウェディングドレス(1D8形種類:1プリンセスライン 2Aライン 3マーメイド 4スレンダーライン 5エンパイア 6ペルライン 7ミニ 8アンクル)
28:新郎服(1D2:1白 2黒)
29:着流しとサラシ
30:巫女服
31:東南アジア系の民族衣装
32:カントリーな北欧民族衣装
33:西洋貴族的な豪奢な衣装
34:中華服 or きわどいスリット入りチャイナドレス
35:リブ生地のロングセーター
36:ケモ耳つきパーカー
37:ビキニアーマー
38:ネグリジェ
39:バニー服
40:ボディストッキング(オプションで縄付き)
41:白衣のみ
42:ロングコートのみ
43:大きなワイシャツのみ
44:翻せそうなマントのみ
45:エプロンのみ
46:長いマフラーのみ
47:ニーソックスのみ
48:水色縞パン
49:葉っぱ1枚
50:本人にしか見えない自分が着て来た服(本人は着ているつもりでも他人からは見えない)



●おまけ茶番イベント
5の部屋(シャルの香水部屋)にて追加可能。完全に茶番だけが目的の部屋です。
幸運の成功確率が低く、服がなかなか見つからない探索者たちへの救済措置やただの茶番としてご使用ください。

鏡に対して《目星》に成功すると
<鏡が一枚回転式になっており、その先にはクローゼット程度の空間があるのを発見する。>
――――――――ここから追加――――――――
鏡を片っ端から探索するか、追加で《目星》に成功すると
回転式鏡を見て他にも無いか試してみると<もう一箇所開く場所があることに気づく。>

開いてみると
<丸い大きなベッドに何故かピンクの照明がついたいかがわしい場所に繋がってた。>
ベッドには膨らみが有るのが分かる。人間二人分はありそうだ。

捲ってみた結果は2種類から選べる。
(1)<新郎新婦の格好をしたマネキンがまぐわうような体勢でねそべって居る。>
(2)<探索者が元来ていた服にそっくりの服装をしたマネキンたちが、まぐわうような体勢でねそべって居る。>

マネキンから剥いてしまえば、探さずとも自動で新しい服がゲットできる。
――――――――――――――――――――――――



●あとがき
今回は茶番成分を多めにしたつもりで制作しました。
最初のコンセプトは「コスプレさせよう」でしたが
気づいたら全裸にさせるのが目的になった気がしないでもないです。
面白ければなんでもいいと思い、露出狂が紛れ込んだ発狂表もつけてみました。
ふざけた箇所が多いシナリオとなりましたが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 

20:参考・引用(敬称略)


クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPG
マレウス・モンストロルム



***ここまで読んで頂きありがとうございました。***
(2014/07/15) シナリオ製作:kanin(http://kanin-hib.hateblo.jp/
(2014/07/20) テストプレイ後の調整
(2014/10/18) 再調整、一部追記
(2015/08/16) 1D50コスプレ表や茶番部屋の追加
(2021/10/19) データの記載修正、簡易版の罠要素を記載