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CoCシナリオ「夢結ぶ結晶」

本題「夢結ぶ結晶(ゆめむすぶけっしょう)」シナリオ概要ページへ戻る
仮題「町観光」※セッション終了前はこちらをPLに伝える
こちらは【修正版】の「夢結ぶ結晶」です。

01:はじめに


このシナリオは「クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPGー」に対応したシナリオです。
本シナリオは情報管理がやや複雑であり、探索者の動きによって進行が変化しやすい傾向にあります。

*推奨技能
 <目星><交渉技能><鍵開け><図書館><精神分析
 <地質学>or<博物学
*使い所の有る技能(使う場面が少ない・使わない可能性アリ)
 <化学><天文学><ナビゲート>

*その他補足
<地質学>持ちは少ないでしょうから、<博物学>で代用しても構いません。
回復技能は<精神分析>があれば充分であると想定しています。
交渉技能は<信用><説得>よりも<言い包め>の方が有利です。

舞台は「日本の観光客が来るような町」です。推奨人数は3~5人程度。
よって日本人か、日本語技能のある探索者が望ましいでしょう。
導入は観光目的が主ですが、事件性を絡めて参加したい場合にも対処できます。
(ただし事件は行方不明者についてとなります。)
ゲーム時間で2泊3日ほど滞在してもらいます。



●本文の表記について
各単語や文章によっては以下のように括弧表記を使い分けています。
少々の抜けや誤表記があっても各自で対応して頂くようお願いします。
重要アイテムや特記事項などの単語:【】
特筆する文章情報:<>『』
技能や呪文に関する単語:《》
補足説明やPL・KPへの特記事項:()※
NPCの台詞や名前など:「」

 

02:あらすじ


それぞれの理由でとある町を訪れた探索者たち。
この町は最近になって観光事業が賑わってきたという。
ところが、町でのひと時を楽しむ裏で不穏な気配が町を覆い始めていた。
探索者たちは迫り来る恐怖から逃れてもらうこととなるだろう。

 

     ( 目 次 )

     01:はじめに
     02:あらすじ
     03:背景
     04:導入
     05:町観光
     06:鍾乳洞付近
     07:異変の開始
     08:点在する罠
     09:異変後の町探索
     10:町外れの館
     11:異変後の鍾乳洞
     12:廃坑道
     13:結末
     14:クリア報酬
     15:NPCステータス一覧
     16:その他補足や裏話
     17:参考・引用(敬称略)


 

03:背景


●神話生物「キーザ」
このシナリオの核となる神話生物は、グレート・オールド・ワン「キーザ」(マレモンP.157)である。
「キーザ」は地球に顕現するために、ある光景を町に居る人間たちの意識に刷り込んでいる。
光景とはキーザの住処である異世界【ムトゥーラ】の風景。
キーザの思考は鉱物組織を通じて、素質の有る人間たちに送り込まれている。
刷り込まれた人間たちは、やがてムトゥーラの世界を夢に見るようになる。
この夢を見るようになった人間は、キーザに精神力を奪われやすい状態となっている。つまり生け贄だ。
生け贄が十分な量に達すれば、キーザは生け贄たちの精神力を使い現実世界にムトゥーラを呼び出す算段だ。
これはキーザ顕現のための条件が、地球の地平線上にムトゥーラが見えるようにする必要があるためである。



●鍾乳洞から結ばれる夢
舞台となる【亜月(あづき)町】には鍾乳洞がある。
鍾乳洞は町の地下まで伸びており、鍾乳洞特有の結晶体を通じて住人たちはある夢を見させられている。
夢の内容は、「キーザ」と【ムトゥーラ】を彷彿とさせるような内容だ。
本格的な探索が開始される舞台は、住人たちこと生け贄たちの夢が統一された世界である。
統一されているのはムトゥーラがあるという点のみであり、他はとても曖昧な世界だ。
あるものは犠牲者たちの記憶が混ざっていたり、またあるものは探索者の記憶が投影されている。
この世界が構成されているということは、ムトゥーラを現実世界に呼び出される直前であることを示す。
探索者がこの世界に紛れ込んだのは全くの偶然となる。
しかし、キーザの目論見を阻止しなければ探索者たちもろとも、亜月町は滅びる運命にある。



●異形頭の人物「風船男」
探索者たちが異変後に必ず出会うであろう人物は、人間の頭部の代わりに3つの風船が首から生えている。
「風船男」は「キーザ」を神として崇め、この異世界の管理者を自称している。
実際はキーザにこき使われているだけでこの世界でなんでもできるわけではない。
とは言え探索者を死に近づけるくらいはできる。

「風船男」は現実世界では「玉泉 結(ぎょくせん ゆい)」と言う名の一般人女性である。
疎遠だった両親が鍾乳洞の調査中に落下事故で亡くなり、遺品整理にとこの町に帰郷したのがはじまりだ。
彼女は実家である【町外れの館】に数日滞在しながら整理を行っていた。
ところが館で過ごしているうち、次第に不可思議な夢を視るようになっていった。
館には地質学者の父が集めた鉱石が数多く保存されており、中には【キーザの結晶】が混じっていたのだ。
その結晶から発せられた精神感応と運悪く合致してしまい、狂信者となってしまったのである。
彼女はキーザから力を借り与えられ、鍾乳洞を開拓することで町にキーザの精神感応を広げやすくした。
町興しを先導した人物として慕われ始めていたが、最近は家にこもり他者との交流を拒絶するようになる。
本格的に町をキーザへ捧げるための準備を開始したからだ。
シナリオ開始時には彼女自らキーザに吸収されることを望み、全身の結晶化が進行している。
【キーザの結晶】は町に精神感応を広げるための触媒として、神社に【ご神体】扱いで奉納されている。


★「玉泉 結(ぎょくせん ゆい)」女性/20代後半/地質学者
STR:07     DEX:06     INT:14     EDU:18
CON:10     POW:16     SIZ:10     APP:11
HP:10     MP:16     SAN:5     db:0
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:70% 幸運:80% 知識:90% クトゥルフ神話:10%
*現実世界では自室のベッドの上で深い眠りについており、体は結晶化が進行している。
*異世界では「風船男」となってキーザの下僕と化している。


 

04:導入


●舞台となる【亜月(あづき)町】について
土地は山内で坂道が多く、周囲は稜線ばかりの土地である。
最近一般公開が開始された【鍾乳洞】により注目を集めだし、観光地整備が始まっている。
町へ行くためには車か事前予約制のバスのみ。
町内の交通機関は観光用の巡回バス、宿泊施設は小さな旅館が数軒。
【鍾乳洞】の他に、天然石のアクセサリー店や山々が望める温泉が観光資源となっている。
(※架空の街なので地域や月日は指定なし。KPにとって探索者の導入がしやすいよう設定してください。)



●探索者導入
休暇や取材に研究など、各自の理由から少し山奥の観光地【亜月(あづき)町】に来た探索者たち。
(※宿泊期間は二泊三日程度が望ましい。日帰りは非推奨。)
この町は最近になって一般公開が開始された鍾乳洞で観光客が賑わっているという。
他の土地では見られない天然石が注目を浴び、それを使ったアクセサリーなどが人気を集めている。
初日は特筆してやることはないため、観光中や宿で鉢合わせるなどして事前合流をしておくといいだろう。
合流を省略するならば、旅館の送迎バスでたまたま乗り合わせたことにするといい。
本番は就寝後、起きてからである。



●追加導入案
(※ゴシップ記事目的の記者や、事件を求める刑事・探偵と言った探索者を導入したい場合の案です。)
観光地化が進む一方で、この町にはひとつよくない噂が立っている。
それは「この町に行くと言って以来、戻らなくなった者がいる」という噂だ。

  <※KP情報※>
 町では神話生物の精神感応により観光客が戻らずその場でとどまっている場合がある。
 行方不明者は鍾乳洞の観光用ルートから外れた地下に軟禁されている。
 (※【町外れの館】の地下道から繋がる場所。)
 世話は「玉泉結」が行っていたが、ここ最近は全身の結晶化に伴い犠牲者たちの元へ食料は届けていない。
 水は備蓄されているものの、そう長くは保たないだろう。
 異変前にはこの場所へは行けず、異変中は救いだしても意味はない。
 真に救うならば、キーザを退散させた結末へと向かうことで唯一の救出ルートへと繋がる。


 

05:町観光


 <町に存在する施設一覧>
 ・宿泊施設(温泉有り)
 ・土産屋
 ・町役場
 ・資料館
 ・駐在所
(↓【06:鍾乳洞付近】に記載)
 *神社(鍾乳洞の入り口前)
 *鍾乳洞
(↓異変前では情報が無いため行けない場所)
 ×町外れの館



●日中の町観光(宿泊施設、土産屋)
探索者たちは宿でのんびりすることも、土産屋で買い物も行える。
宿ならば温泉もあり、季節の山々に囲まれた風景を堪能しながらゆっくりできる露天風呂を楽しめる。
土産屋なら切子面に加工された【青い天然石】のアクセサリーが買える。
ただしこの天然石のアクセサリーは少し値が張るため、大量には買うことが出来ない。

 【青い天然石】の見た目
 外殻の透明度は高いが、中心内部が蛍石のような深い紺色をしている。
 中心からは、星が瞬くように青白い光がほのかに輝いて見える。
 《博物学》か《地質学》に成功すれば
  <自然界でこのような鉱物があった覚えがない>と分かる。
 《化学》に成功すれば
  <人工的に加工してもこのような鉱石ができるか怪しい>と分かる。
(※店員に天然石について聞いたなら「貴重な観光資源だから企業秘密」と跳ね返され何も得られない。)

  <※KP情報※>
 この【青い天然石】は、キーザの精神感応を受けやすくする能力が備わっている。
 異変後に身につけていると、鍾乳洞に入った際にキーザに操られる可能性が上がってしまう。
 一方で、マジックポイントの代替可能という利点も有る。
 なお、身に付けられる青い天然石が購入できるのは異変前のみである。
 異変後に店先の青い天然石を手に取ると、ある罠が発生してしまう。




●町役場
町中を歩き回れば随所に町の公式ゆるキャラ「あづっきぃ」の姿が見られる。
三日月が突き刺さったようなフォルムに、恐竜めいた姿をしている黄色いナイスガイだ。
土産菓子やキーホルダーもあり、町役場に行けばきぐるみの「あづっきぃ」に会える。
出で立ちは仁王立ちに両腕を組み、とてもゆるくは見えないきぐるみ姿である。
「中に人がいる」などと言うと、渋くて低いダンディな声で「中に人など居ない」と答える。
しかしあづっきぃは人気キャラなのか、なかなか近くにいけない。

対してふと見回すと端のほうでポツンとしているきぐるみがもう一体いる。
もう一体の亜月町公式ゆるきゃら「ハッコパトラ」だ。
納豆が発酵しすぎて紫色になった体に、クレオパトラごときオカッパ頭をしている。
アイラインのきつい目が宙を見つめ、手には納豆が絡まった箸を釣り竿のように構えた姿だ。
「ハッコパトラ」はあづっきぃのゆるきゃらショーで敵役を務めている。
話しかけると最初は聞こえていないのか、アメリカ映画の悪役風の声で「もてたい」と呟く。
「ハッコパトラ」は暇らしく、質問すれば存外様々な事を答えてくれる。
中の人は役場の職員「赤五 鶇(あかご つぐみ)」と言う名のNPCだ。
彼は異変後にも普通に話せる数少ない人物である。


★「赤五 鶇(あかご つぐみ)」男性/30代半ば/役場所員
STR:14     DEX:10     INT:14     EDU:12
CON:14     POW:12     SIZ:14     APP:10
HP:14     MP:07     SAN:60     db:+1d4
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:70% 幸運:60% 知識:60%
    登攀:70% 跳躍:60% 図書館:50% 鍵開け:40%
*亜月町出身の町役場職員。
 20代の頃は都心部へ状況していたが、都会は面倒くさいと思うようになり帰郷して公務員になった。
*かわいい女の子の相手ができるかもしれないと企て、「ハッコパトラ」の中身を担当し始める。
 しかし相手どころか全く人気が出ないため、寂しく嘆いていることがしばしばである。
 趣味は表向きはロッククライミングで、あづっきぃの中の人「上坂一郎」とは仲が良い。
 鍵開けは邪な感情ではないと断言はできない。
 おじさんと言われると少しへこむ。カッコイイお兄さんと言われると喜ぶ。ちょろい。
*たまたま神話生物の精神感応との相性が最悪だったせいか異世界の夢など視たことがない。
 廃坑道は昔からあった記憶はあるが、鍾乳洞の存在が気がかりとなっている。




●資料館
鍾乳洞へ向かうシャトルバス停留所の前に建っている。
現在は「改装工事のため閉館中」となっている。
この時点で《鍵開け》などで侵入しようとすると、警報が鳴って強制的に駐在所の警官に捕まる。
お縄になった場合は初日に行動はここで終了となるので注意。
ちゃんと入るならば、異変後に町役場の職員と知り合いになれば開けてくれるだろう。
探索者が思いつきそうにない場合は《アイデア》等で「役場に鍵があるかも」と誘導しても構わない。




●駐在所
警察官が2名居るが、異変後に無事なのは婦警の「三葉 サキ(みつば さき)」だけだ。
彼女は度々町の外へ行く機会があったため、精神感応の影響をあまり受けていない。
異変後も普通に話のできる数少ないNPCとしての立ち位置に着く。


★「三葉 サキ(みつば さき)」女性/20代後半/警察官
STR:11     DEX:11     INT:13     EDU:16
CON:11     POW:11     SIZ:11     APP:14
HP:11     MP:11     SAN:50     db:0
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:65% 幸運:55% 知識:80%
*亜月町出身の婦警。
 表情がころころと変わる明るい人物で親しみやすい。今は心配事があるため暗い表情が多め。
*事件のきっかけである「玉泉 結」とは幼馴染である。
 他の住人は全く気にかけていないが、三葉だけは身を案じている。
(※SANは異変後の一時的発狂の状態を考慮して減らしてあります。)


 

06:鍾乳洞付近


鍾乳洞への道のりは坂道が多く町から少し離れているため、無料のシャトルバスで向かう必要がある。
バス無しで向かうならば《ナビゲート》が必要となり、徒歩ならばバスの3倍の時間がかかるだろう。

大きな立て看板に鍾乳洞の地図が貼りだされている。
その横には「ご自由にお持ち下さい」と表記されたパンフレットが置かれている。
パンフレットには鍾乳洞見学の注意事項や【鍾乳洞の観光用地図】が記載されている。
(※MAPをPLに配布する際には、地図をみた探索者のPLに限定して下さい。)
注意事項は「ゴミはお持ち帰り下さい」「未整備の道へは入らないで下さい」と言った当たり前のこと。
並びに「高温多湿な環境になっているため、体調不良を感じたらすぐに外へ出て下さい」ともある。



●神社(鍾乳洞の入り口前)
鍾乳洞の入り口前には神社が建てられている。鍾乳洞は町では神聖な場所とされているからだ。
そこまで大きいものではなく、人が数人入ればすぐに一杯になってしまいそうな程度だ。
住人に神社について聞き込みをすると
「神社は町が管理していて、神主はおらず祭事を行う場合は外部から呼んでいるらしい。」
「古くから祀られているが、伝承は風化してしまい実はよく知らない。」
「ただ、誰一人としてご神体に触れてはならないとされている。」といったことを話す。

 神社に対して《目星》に成功すると
  <建て直されたばかりなのか、随分と新しい>と分かる。

中へ入るには《鍵開け》に成功する必要がある。
神社を監視するものは居ないが、他の客に不審がられないよう注意は必要だろう。

さほど広くはない社の奥には【上質な木箱】が置いてある。
形は正方形で、サイズは腕を一周させても囲えきれないほど大きい。
【上質な木箱】には鍵がかけられているため、開くならば《鍵開け》が必要となる。
木箱の中身は【ご神体】らしき大きな水晶体が祀られている。
【ご神体】の見た目は【青い天然石】と同じであるが、中心の紺色部分はより深く先が見えない。

 【ご神体】に対して《目星》や《知識の半分》に成功すると
  <ダイヤモンドのような切子面で、まるで人工的に加工されているようだ>と分かる。
 また《地質学》か《博物学》に成功すると
  <なんの鉱物か分からない>と結果が出る。

なお【ご神体】に触れたり破壊しようとすると、唐突にひどい頭痛に襲われて気絶する。
これは木箱に入った状態でも、素の状態で移動させようとした場合でもだ。
鍾乳洞にいたスタッフにも見つかって厳重注意を受けるため、その後の初日探索は行えなくなるので注意。


  <※KP情報※>
 【ご神体】はキーザが精神感応を強めるため、信者になりかけの住人たちに設置させたものだ。
 設置されたのはつい最近、そのため神社も真新しい。
 住人たちはキーザのことを話すことができないので、代わりに刷り込まれた適当な伝承を話す。
 古くからという割に建物が新しいと言う事などから、この場所に違和感を持つきっかけになるだろう。
 【ご神体】は異変後に夢を発生させる”アンテナ”の役割をしており、破壊すれば異変は終わる。
 探索者たちはこれを破壊することが最終的な生還条件となる。

 因みに、異変後もご神体との接触による頭痛と気絶は変わらず発生する。
 その際は1時間程度で目覚めるものの、「キーザの呪い」進行も同時に発生してしまう。 
 (※「キーザの呪い」については【08:点在する罠】を参照)




●鍾乳洞
入って正面には「整備中」の張り紙がされた工事用のフェンスとブルーシートが掛けられている。
先は落石跡になっているらしく行き止まりだ。
(※鍾乳洞からは入れないが、異変後に聞き込みによって入れる場所がわかる。)
鍾乳洞の中へ進んでいくと、他では見られない光景が観光客を待っている。

『結晶の中で乱反射し舞う光に合わせ、涼やかな青と蠱惑的な紫がゆらぎ波打ち、彩り踊る。
 ライトアップによって燦然と輝く宝石の舞台が、訪れるものを待っていた。
 すべては鍾乳洞内の一面を見事なほどに覆う、大小様々な【霜状の結晶体】が成せる神秘的な光景だ。』

異変前の鍾乳洞はそこそこ距離のある一本道を歩けるだけだ。
道は人工的に設置されたステップなので、直接鍾乳洞の表面を歩くわけではない。
入り口以外から光が入らないため、奥へ進むほどに設置された照明がなければ足元すら危ういほど暗い。
また蒸し暑く、長時間居続けると熱中症になりかねないほどだ。
スタッフも詳細は知らない。
誤魔化す程度に「海外の結晶の洞窟みたいなものではないか」と答えるくらいだ。


 【霜状の結晶体】に対して《地質学》か《博物学》に成功すれば
  <他の鍾乳洞でも霜状の結晶体はあるが、ここのものはどこか違う>と感じる。

 道の途中で《目星》に成功すると
  <結晶組織の内側に金属製や布製の何かが見える。>
 目星成功後に《アイデア》成功で
  <線路やロープといった人工物のようだ>と分かる。
 更に《博物学》か《知識》に成功で
  <鍾乳洞は何百年かけて出来上がるのだから、人工物が埋まっていることはありえない>と分かる。

 ある程度進んでから《地質学》に成功すると
  <鍾乳洞にしてはまるで繰り抜いた道のようだ>と感じる。
 地質学成功者がアイデアをするか、《地質学》の出目がよかったならば
  <鍾乳洞と言うよりまるで鉱山道のようだ>と察する。

 鍾乳洞の奥で《目星》を行い成功すると
  <とても狭く人が通れるのか怪しい【鎖の張られた脇道】がある>のを発見する。

▼<【鎖の張られた脇道】>
朽ちかけた鎖が貼られていることから立入禁止だと分かるだろうが、看板などは何もない。
地図を所持しているならば、この脇道は記載されていない事がわかる。
無理に通ろうとする場合は《アイデア》をさせ、成功すれば以下の注意喚起が過ぎる。
<未整備の鍾乳洞を装備もなしに通ろうとすれば、足を滑らすなどで最悪死亡事故に遭いかねない。>
それでも先に進む場合は、鍾乳洞の監視スタッフに見つかり追い返されることになる。
その日は注意を受けて初日の探索は強制終了となるので注意。


  <※KP情報※>
 この鍾乳洞もこの地域に存在してなかったものであり、元々は廃坑道である。
 廃坑道に残っていた鉱石からキーザが侵食領域を伸ばし、小動物などを片っ端から補食し広げた結果だ。
 侵された土地は霜状の結晶体で覆い尽くされ、生物の体内のように熱を持つようになった。
 地球にはない結晶体で廃坑道を埋め尽くした結果、鍾乳洞のような状態へと至ったのだ。
 ムトゥーラが現実でも見えるようになれば、ここはキーザにとって地球での住処となる。

 【鎖の張られた脇道】は異変後に訪れる可能性のある場所である。
 ここはまだキーザの侵食影響が薄いので、側面に結晶がこびり付いていない。
 しかし何も起きていな現状では行く必要はないだろう。
 (詳しくは「12:廃坑道―●廃坑道の地図に記載された”×印”」参照)



★鍾乳洞探索の時間制限
ここに長く留まるようならば、謎の眠気と気だるさに襲われる。通常ならば蒸し暑さのせいだと思うだろう。
しかしこの場所はキーザの体内も同然であり精神感応をじわじわ浴びせられているのだ。
KPが身体的異常を喚起しても留まるならば[POW×5]を行う。
成功すればまだ動くことは可能である。

失敗した場合は<歌のような囁きが聞こえると同時にその場で意識を失う。>
『脳が揺れ、膝が崩れた。暗闇が広がる。
 暖かく心地よい暗闇が、魂の闇へ誘うように。』
気絶した探索者は底知れぬ何かに触れた気がし(0/1)のSANチェックが発生する。

動けるものが一人もいなくなったら、鍾乳洞の観光スタッフが宿まで運んでくれる。
同時に、初日の探索は強制終了となるので注意。
(※異変後の鍾乳洞は何故か涼しくなっており、この時間制限がなくなります。)


 

07:異変の開始


観光2日目、宿で就寝した探索者たちは日が差さぬうちから目を覚ます。
ところが窓の外から日中と全く変わらぬ町のにぎわいが聞こえ不審に思うだろう。
時計を見れば時間は”6時”を指している。(24時間表記でも6時、つまり早朝の午前6時。)
宿の従業員とすれ違えば「おはようございます」と挨拶をし、「朝食はどうなさいますか?」と返される。
しかし何度見返せど外の景色は夜そのものだ。



★見覚えのある他人
外の暗さ以外は一見して何も変わらない世界だが、じわりじわりとすれ違う人々に違和感を感じる。
 《アイデア》をさせ、成功すれば<何人かが見覚えのある顔をしている>と気づく。
それらはバラバラのようだが、過去に会ってきた知り合いを彷彿とさせる見た目をしているのだ。
よくよく他者と会話を続ければ、挨拶や同じ言葉しか繰り返さなくなっている。
まるでゲームの据え置かれた駒のようにだ。

  <※KP情報※>
 ここは目が覚めている人物の意識が強く反映される。他者の顔への既視感はそれによるものだ。
 探索者が継続投入しているならば、過去に会ってきたキャラクターに似せると面白いだろう。
 もし死亡した人物と遭遇してしまったなら(1/1D4)程度のSANチェックを挟んでも良い。
 探索者同士の同行者がいるなら、その人物は何も変わっていない。
 他にも何人か変化していない人物はいるが、当人に出会うまでそれは知ることはない。
 各人の記憶から適当に生成された顔になるため、特定NPC以外は同じ人物を見ても見る人それぞれ異なる。
 因みにこの異世界で一人殺すと、現実での町の住人が一人死亡する。
 結末後に殺人を犯した事実を知ることがあればSANチェックするといいだろう。



★見慣れない風景
不可思議さに外へ向かえば、ほの暗さの中で日中と同じように賑わう人々を目にする。
彼らは昨日と変わりない、寧ろ全く同じと言っていいほどに日常を送っているように見える。

そして探索者たちは、雲ひとつなく晴れ渡った夜空に浮かぶ”見慣れないもの”を目にするだろう。
『頭上へ目をやれば見慣れない黒い円が、太陽の光に照らされることもなく月の如く空に浮かんでいる。
 日食や月食とも違う暗闇を作り出しながら、星の光すらのみ込んで夜空ににぽっかり穴を開けている。
 深い深い先の見えない暗闇は、精神もろとも飲み込んでしまいそうな恐ろしさを感じさせた。』
空から漂う不気味な力によって、捻じ曲げられた世界に放り込まれたことを知るだろう。
探索者たちは(1/1d6)のSAN値チェックが発生する。

 【空に浮かぶ穴】に対して《天文学》に成功すれば
  <確かに星であるが、地球から観測できる位置にあのような衛星や惑星があるはずがない。>と分かる。
 異世界であることを知ってから《アイデア》に成功すれば
  <セオリー的に町を出ようと車を走らせても、再び町に戻ってきてしまうだろう>と察する。



★タイムリミット
ここでは月や星が移動しないが、【空に浮かぶ穴】だけが通常の星と同じよう軌道を描いて動いている。
12時間後(午後6時)にはその穴、つまり【ムトゥーラ】が稜線の向こうへ沈む。
沈みきったところでシナリオは【13:結末―●キーザの顕現】へ移行する。
つまり探索者に残された時間は12時間ということになる。
探索者には《天文学》か《知識》に成功させることで、軌道上の位置から残り時間を伝えるといいだろう。


 

08:点在する罠


町中に出ると風景に違和感が混じりだす。
見た覚えのない【鉱石のオブジェ】のようなものがあちこちから生えているのだ。
事前に町を散策した探索者なら<昨日はこの場所にこんなものは無かった>と察するだろう。
また、店で【青い天然石】を見た探索者であれば
 <大きさは明らかに巨大化しているが、あの天然石とよく似ている>事がわかるだろう。

 <※KP情報※>
 町に現れた結晶鉱物は、罠を発生させる起爆装置だ。
 この罠は人間を細胞から結晶化してしまう恐ろしい呪いである。
 呪いは時間経過と、キーザの影響を強く受けている物質によって進行する。

<呪い進行の発生ポイント>
*初期段階発生後の時間経過
*触れると発生するもの
 ・異変後の【青い天然石】(異変後の町の商店)
 ・【鉱石のオブジェ】(廃坑道以外)
 ・【ご神体】(異変後の神社)
 ・鍾乳洞内の巨大化した結晶体
 ・【コレクションルームの石】(町外れの館)
*特殊な発生
 ・風船男の風船が割れる(異変後の鍾乳洞)



★「キーザの呪い」
上記の該当鉱物に直接触れた場合
 <結晶体に内包された10マジックポイントとの”MP対抗ロール”を行う。>

・対抗に成功
 <触れた部位が氷のように瞬く間に体温を失い、ろくに動かせなくなる。>
 鉱石の異様な効力を体験した探索者は(0/1d3)のSANチェックが発生する。
・対抗に失敗
 『鉱石に触れた部分が動かせなくなったかと思うと、そこは人としての感触を失いだしている。
  みるみると組織は変質していき、血管や筋肉すら瞬く間に結晶化してしまった。』
 この現象を目の当たりにした探索者は(1/1d4)、
 探索者本人が結晶化したならば(1/1d6+1)のSANチェックである。

この呪いは初期段階の対抗ロールが発生した時点で侵食を開始している。
進行の開始は成功者も同様だ。
初期段階後、KPはゲーム時間内で【1時間毎に<1D100>を探索者に振らせる。】
これは結晶化の進行ロールである。
以下の表記された出目の範囲以内ならば次の進度段階へ進み、範囲以外ならば進度は進まない。
しかしロールが成功して進度を留められるのは、1つの段階につき2回まで。
同じ進度段階で3回目に入ると、強制的に次の段階へ移行する。
次の段階へ移行したならば、再び2回までロール成功で悪化を防げる。


  <呪いの段階>
▼初期段階 結晶の蓄積MP10と探索者のMPによる対抗ロール
 <成功・失敗に限らず呪いの進行が始まる。>
 (結果は上記を参照)

▼第1段階:成功目標値90 91~100 以内の出目で呪い進行
 <体の一部が結晶化する。既に結晶化しているならば範囲が広がる。>
 (結晶化が初めてならば、MP対抗ロールの失敗時SANチェックを行う。)
 同時に<全身の体温が下がりだすも本人は何も感じず、他者が触ると人の体温とは思えない。>

▼第2段階:成功目標値80 81~100 以内の出目で呪い進行
 <全身の動きが鈍くなる。体を動かすロールに常に(-10%)の補正が入る。>

▼第3段階:成功目標値60 61~100 以内の出目で呪い進行
 <全身を軋ませる痛みにもがき苦しみ吐血する。>
 『全身の内部から鋭い痛みが走り、画鋲が体中に流れているかのごとき激痛にその場で崩れた。
  苦しさに咳き込み吐血する。吐かれた血は液体でなく個体へと凝固していた。』
 (1d6)の耐久ダメージ、並びにおぞましい体の変調に(1d3/1d8)のSANチェックが発生。

▼第4段階:成功目標値20 21~100 以内の出目で呪い進行
 <意識を失い夢を視る。>
 『光のない真っ暗な場所に、浮き上がるようにして輝く巨大な結晶体がそびえ立っている。
  彼から伸ばされた霜状の結晶触肢があなたに触れると、あなたの体は人の温かみを失い結晶となった。』
 夢を通じて接触してきた、人智を超えた生命体の脅威を感じ(1d3/1d8)のSANチェックが発生。
 意識を取り戻すのは(1d6)×10分間後となる。

▼第5段階:成功目標値05 06~100 以内の出目で呪い進行
 <対象は苦しみながら(1D6)ラウンドの間に細胞が結晶構造へと変化し、永遠に死ぬ。>
 『体が動かず、硬化した全身に亀裂が走る。
  血すら流れない裂傷の隙間からは、堅い鉱物が覗いていた。
  限界を迎えたことを悟らざるを得なかった。』
 限界を悟った探索者は(1D6/2D10)の正気度喪失を起こす。

 『視界が白んでいく。意思が消えていき、声も失った。
  倒れた探索者の全身から幾重もの結晶が生え伸びる。
  結晶が全身を覆うと粉々に砕け散り、後には死体も残らなかった。』
 もし結晶化への変化を目撃した場合は(1/1D10)の正気度喪失が起こる。


  <※KP情報※>
 第4段階まで進行が進んだ探索者は、自身のマジックポイントが一時的に2倍になる利点がある。
 PLに伝えるかはKPの意志で決定してもらう。
 直接的な方法でないなら《魔力の感知》を使えば分かるだろう。
 もし結晶化した部位が折れた場合は、断面は結晶化したままで出血などは起きない。
 また結晶化した場所は感覚が完全になくなるため、痛みは全くないが何も行えなくなる。
 話のできる固定人物以外のNPCは、この呪いの変調に対して何のリアクションも取りはしない。

(※呪いの進行例)
12:00 PC1がご神体に触れる
 ↓
PC1は初期段階発生でPOW10との対抗ロール
成功・失敗で即効性の症状がでるかどうかの決定。
 ↓
13:00 PC1は時間による進行ロール
 ↓
第1段階の条件は出目91~100以内で進行
1d100ロールで50を出して進行を阻止
 ↓
13:20 PC1が鍾乳洞で結晶体に触れる
 ↓
第一段階の条件は出目91~100以内で進行
1d100ロールで40を出して進行を阻止
 ↓
14:00 PC1は2回進行阻止したので強制的に第1段階の症状発生
次回の進行ロールは第2段階へ
 ↓
15:00 PC1は時間による進行ロール
 ↓
第2段階の条件(出目81~100以内で進行)を行う


 

09:異変後の町探索


町自体は前日通りに機能しているので、宿泊施設、バスやタクシーは通常通り使える。
宿のフロントや案内所などで観光用の地図を求めれば貰えるだろうし、行き方を聞けば教えてくれる。
この町の住人で、普通に会話のできるNPCは2名いる。町役場に1人、駐在所に1人だ。
それと鍾乳洞前にも「風船男」はいるが、まともな会話になるかどうかは探索者次第である。
KPが望むなら会話可能な住人・観光客NPCを追加しても構わない。
(例:シナリオ進行上の都合、追加導入案を使用した場合など)



●土産屋
変わらず【青い天然石】のアクセサリーが陳列されている。
しかし異世界のものに触れると【鉱石のオブジェ】と同様の「キーザの呪い」が発生する。
一方、事前に購入して身につけていたものなら呪いは発生しない。

  <※KP情報※>
 事前に購入した【青い天然石】のアイテムは、装着すれば以下の効果がある。
 *20ポイント分の蓄積マジックポイントが使える。
 (※呪いの初期段階であるMP対抗ロールに蓄積MPは反映できない。)
 *風船男の案内なしに「キーザ」の元へ辿り着ける可能性がある。
 *一度だけ呪いに対して反発を起こし、呪いの進行を打ち消す。




●町役場
町役場へ向かうと、昨日と同じく写真撮影で仁王立ちしているあづっきぃ。
そしてしゃがみ込んで頭を抱えている「ハッコパトラ」のきぐるみがいる。
他の職員は繰り返すように前日と同じ行動をしているが「ハッコパトラ」だけはどこか違う。
話しかければやや挙動不審気味に探索者たちへ「お前らは普通に話せるのか!?」と食いついてくる。
曰く「気づいたらここで呆然と立ち尽くしていた」と答える。
平常心を取り戻すと着替えてくると言い、きぐるみを脱いだ姿で「赤五鶇」として現れる。
彼は至って一般人なので、真相に近づけるような情報は知らない。
とは言えこの異常事態を抜け出したい気持ちがあるので、探索者たちには協力的である。



*「赤五鶇」が協力できること
 ・非常用の懐中電灯を人数分持ち出してきてくれる。
 ・鍾乳洞の話題を出すと「あそこは本当に鍾乳洞だったろうか」と訝しげになる。
 ・町役場に公開文献がるとの助言
  →役場の資料は浅い内容のため<昔は坑道があったが現在は閉鎖されている>ことだけが分かる。
 ・坑道について知るなら【資料館】がいいだろうとの助言
  →【資料館】の鍵を開けて欲しいと願えば同行して開けてくれる。

*「赤五鶇」から聞き出せること
 幼少時に資料館の裏手に忍び込んで、館長のお爺さんに叱られた過去がある。
 探索者が廃坑道の事を知ってから資料館の話を振れば、当時のことを思い出すだろう。
 その時に「資料館の裏側には”立入禁止のロープが貼られた場所”がある」ことを思い出し話す。




●資料館
資料館の入口には鍵がかけられている。
「赤五鶇」に協力してもらい鍵を開けるか、今なら《鍵開け》を使っても誰も咎めることはない。
中は改装中というよりは、暫く放置されて埃が被りかけたような状態だ。
展示用の大きなパネルに【廃坑道の拡大地図】が展示されている。
(※MAPをPLに配布する際には、地図をみた探索者のPLに限定して下さい。)

図書館》に成功すれば<【坑夫の日誌】を見つける。>
文章はそこまで古くもなければ、汚くもないので1時間もあれば情報は取得できる。

▼<【坑夫の日誌】要約内容>
 ・作業場へ繋がる道の一本が落石により塞がってしまった。
  よって入り口の一つが役立たずとなったものの倉庫代わりとする。
 ・広い自然空洞を発見したが、地盤の不安定さから立ち入り禁止とした。
  道は表記するが立ち入らないよう”バツ印”を表記する。
 ・坑道に見慣れない鉱石は発見するようになる。
  それが原因かは不明だが、工員たちに精神的不調を来す者が増加してきた。
 ・上層部の協議の結果、近々この坑道を閉鎖することと相成った。


  <※KP情報※>
 資料館は玉泉結が鍾乳洞観光を広げるには不都合だと考え、精神操作の呪文などを使って閉鎖していた。
 見慣れない鉱石とは、キーザの影響を受け始めた結晶体である。
 工員の中には多少なり影響を受けた人物もいたが、精神感応に合致する者はおらず当時は難を逃れている。
 ところがその後に越して来た玉泉夫妻は、運悪くキーザの精神感応に反応してしまった。



▼地図の相違
 <※KP情報※>
これは【廃坑道の拡大地図】と【鍾乳洞の観光用地図】が必須となる。
PLがMAPからリアルアイデアで気づいた場合、探索者が両方の地図を見ていなければ反映させてはならない。
因みに鍾乳洞地図はキーザが広げた道もいくばくか含まれているので、完全な一致はしない。
気づきそうにない場合は《アイデア》などで気づかせてしまおう。

<地図に記載された出入り口と通路>
 両地図記載
  *神社前の出入り口
  *観光順路
 廃坑地図のみ
  *寂れた入り口(資料館裏手)
  *×印がついている場所
 地図に無記載
  *黒幕へ続く通路
  *町外れの館へ繋がる出入り口

 《アイデア》成功で
  <坑道の古い地図と、鍾乳洞の地図を照らし合わせると道順がやけに似ていることに気づく。>
 (※【鍾乳洞の観光用地図】は鍾乳洞前で入手できます。)

 鍾乳洞で【鎖の張られた脇道】を見つけた探索者ならば《アイデア》成功で
  <廃坑道の地図の×印と鍾乳洞で見つけた【鎖の張られた脇道】の場所は一致するのではと気づく。>

資料館の裏手へ回ると、ロープの張られた立ち入り禁止の道を見つける事ができる。
そこから先へ進めば【12:廃坑道―●寂れた入り口】へ辿り着く。




●駐在所
探索者が向かう様子がなければ《アイデア》などで「ダメ元でも警察を頼ってみよう」と思わせてしまおう。
駐在所に行くと他の町の住人と同じ様な警官とは別に、「夢だ夢だ……」と繰り返す女性を見つける。
女性は《精神分析》を行えば元に戻る。彼女の名前は「三葉サキ」だ。
「赤子鶇」と同じく気づけばここにおり、異様な光景に一時的発狂をしていたらしい。
訳の分からないこの状況に怯えており、何かを聞き出すには《交渉技能》が必要になる。

*「三葉サキ」から聞き出せること
 幼馴染だった「玉泉結」の事を気にかけるフシが有る。
 そわそわとしており、どこかへ向かいたそうにしている。
 探索者が聞いてみれば「少し幼馴染の様子が気がかりで……」と答える。
 次いで「こんな時なのにすみません。」と口をつぐんでしまう。
 ここからは少し話しにくそうにしているため《交渉技能》が必要になる。
 成功すれば以下の様な内容を話す。

*<幼馴染の話>
「結ちゃんは……幼馴染の名前です。玉泉 結(ぎょくせん ゆい)って子で。」
「あの子は町の外に住んでいたけれど、一年ほど前にご両親が亡くなって帰郷してきたんです。」
「随分と塞ぎこんでいたんですが、暫くしてから鍾乳洞の観光開拓に乗り出して。」
「元々、彼女のお父さんが鍾乳洞の研究をする地質学者でした。」
「だから夢半ばで亡くなったお父さんのことを思っての行動だったんじゃないかと。」
「その頃の結ちゃんはとてもイキイキしていて、引っ込み思案だった昔の頃とはまるで違ったな……。」
「けれどついに鍾乳洞が観光地として活かせるってなったら、家から出てこなくなってしまったんです。」
「町の人は気にすることはないと言うばかりで、なんだかどんどん結ちゃんが忘れられていくようでした。」
「それでこんな時になっても心配になってしまって……大切な幼馴染だから……。」

三葉サキは玉泉家へ尋ねたこともある。
しかし幼なじみは家の中から出てくる様子もなく、「放っておいて欲しい」の一点張りだったと答える。
探索者が玉泉結の家を知りたいと聞けば【町外れの館】について教えてくれる。
三葉は同行を希望したいが、本人からは言い出さない。探索者が誘えば喜んで同行してくれる。
因みに、駐在所にはミニパトカーが設置してある。
館の位置を遠目に設定することで、パトカーの運転手として三葉を同行させる手もある。


 

10:町外れの館


館につくと手入れがされていないのか、中庭の生け垣が無造作に伸びきっている。
玄関は鍵がかかっているため《鍵開け》が必要になる。
窓があるので割って入ってもいいが、館の周囲を調べれば裏庭の勝手口から中へ入ることができる。
裏庭の勝手口はキッチンへと繋がっている。

  <※KP情報※>
 「玉泉結」こと「風船男」の実家である。
 この世界では「玉泉結」の体は「風船男」として行動しているため館には誰もいない。
 現実世界では自室のベッド上で結晶体に蝕まれながら深く眠っている。



●1F「リビング」「浴室」「トイレ」、2F「客室」「寝室」
これらの部屋には何も情報はない。
ドアが開いていたり、半開きのため最初から中が見える。
いずれも生活感の跡がなく、家具は埃が被っている
リビングにには机いっぱいに広げられた観光業の書類が、日光焼けて変色するほど放置されている。
浴室・トイレも水が乾いて暫く使った痕跡がない。



●1F「コレクションルーム」
部屋はぐるりと棚が囲んでおり、中央には大きな台座が鎮座している。
棚には様々な鉱石が展示されている。
【コレクションルームの石】は掘り出されたままの鉱石であったり、宝石の原石などである。
よく目を凝らせば、それらの石からは【青い天然石】と似たような結晶が生え出ている。
つまり罠となる鉱石が所狭しと並べられているため、呪いの進行や発生に注意が必要になる。
ここの鉱石は1個につき1回の進行が発生する。つまり一度触ればその次は呪いが発生しない。
一方で、どの石も5ポイント分のマジックポイントが貯蔵されている。
(※初期段階のMP対抗は5MPとの対抗になります。)

 《目星》に成功すると
 <中央の台は何か大きな物が置いてあった跡がある>のを発見する。
 また、積もっている埃の量から最近ではないが昔でもないと分かる。
 神社の内部を見た探索者ならば《アイデア》成功で
 <神社の【上質な木箱】(【ご神体】)と丁度同じくらいの大きさだと気づく。>



●1F「キッチン(地下への通路)」
キッチンとリビングは直接繋がっている。
綺麗に整頓されたキッチンも使われた跡がない。
コンロの近くには【ライター】が置かれている。
裏庭に繋がる勝手口扉の傍らには【オイルランタン】が一つ置かれている。

 《目星》に成功すると
 <床の中心部あたりに収納用らしき開き戸があるのを発見する。>
 開いてみると<狭く急勾配な地下へ続く長い階段が見つかる。>

階段を降りると照明のない長い一本道で、先へ進むと広間のような空間に出る。
そこには何人もの人が床に倒れている。みな意識を失っているが息はしているようだ。
ここにいる人物たちは、探索者から見て全く知らない顔をしている。
また、広間の奥に目をやれば【鉄の扉】が見えるだろう。


  <※KP情報※>
 彼らは本来は普通に話せる人物たちだが、風船男によりキーザの元へ導かれて失神している。
 現実では観光客であったり、住民であったり、行方不明者もいる。
 追加導入案を使用したならば、きっかけのNPCをここに配置するといいだろう。
 起こそうとしても現段階では起きる様子は皆無である。
 館から連れだしても構わないが、救出は異世界脱出後でなければ意味が無いため時間の無駄となる。
 (※時間的余裕が危ういと思うならば《アイデア》などで示唆することをオススメします。)



★黒幕遭遇の危険
更に奥へ続く【鉄の扉】があるものの、施錠されて開くことは出来ない。
《鍵開け》で開き奥へ向かおうとしてもいいが、開いた瞬間そこには「風船男」が立っている。
彼は嬉しそうな声で「おお客人よ! 我らが神に面会にいらしたのですね!」と仰々しく喜ぶ。
すると眼前に居る人物の腕を掴んで進むよう促す。
既に遭遇していようと、初対面でもどちらにせよ奥へ進むよう促す。
「さあさあどうぞ! さあさあどうぞ!!」
進もうとしなくても無理やり探索者たちをキーザの元へ連れて行こうとするだろう。
逃げるには<交渉技能>でかわすか、DEX対抗である。
(詳細は【11:異変後の鍾乳洞―●黒幕へ続く通路】を参照)




●2F「書斎」
ところ狭しと本棚が並んでいる。
 机に対して《目星》に成功すると<【研究ノート】を発見する。>
 書斎で《図書館》に成功すると<【題名のない冊子】を発見する。>


▼<【研究ノート】要約内容>
文章が汚い字で走り書きされているため(1d3)時間を要する。
読んだ者は突飛でオカルティックな内容によりSANチェックが発生する。
正気度喪失は(1/1d3)である。同時に《クトゥルフ神話》が2%与えられる。

*資料書物の入手
 「Visions of Yaddith」という詩集の写本を入手する。
 内容が欠けているようだが、例の鉱物について多少なり情報を得られそうだ。

*「鉱物生命体」について
 ・水晶のようでありながら、地球にない物質で構成されているらしい。
 ・彼らは一見無機物のようだが、人間と同等かそれ以上の知識を有している。
 ・地球外生命体の可能性がある。
 ・形容しがたい未知の光を放っている。
 ・歌のような美しい声で意志を疎通すると考えられる。
 ・この生命体は夢から意思の疎通を図るようだ。
 ・夢は常に晴れており、夜空に黒い惑星が見える。
 ・この件に関して実験を行う準備をする。

*収集された鉱石について
 鍾乳洞で採掘された鉱石の中には未知の力を有する代物もあるため、怪しき場合は検査を行う。
 電磁波のようではあるが、電子機器による測定で識別できない。
 よって検査方法は非科学的な方法を取るしか無い。方法は別紙に示す。

 この内容を読んでから《アイデア》に成功すると
  <常に晴れていることが条件ならば、天気が崩れた場合はどうなるのだろう?>
  <もしかしたらこの異様な力を妨げる要因になるかもしれない。>と思いつく。
 また《クトゥルフ神話》に成功すると
  <異変の原因はこの鉱物生命体によるものであり、空に浮かぶ黒い星はそいつの住処だ>と気づく。
  <一連の異変はあの黒い星を現実世界へ顕現させるための儀式のようなものなのでは>と察してしまう。
 クトゥルフ神話による冒涜的事実に気づいた探索者は(1/1d6)のSANチェックが発生する。



▼<【題名のない冊子】要約内容>
ノートと同じく文章が汚い字で走り書きされている。
さらに一部が暗号化された文章になっているため《日本語》に成功する必要がある。
解読には(1d3)時間を要する。
記述されているのは2種類の呪文、《魔法の感知》と《天候を変える(劣化版)》についてだ。
ただしこの冊子を読む者は、怪異なる世界を覗いたことによりSANチェックが発生する。
読んだ者への正気度喪失は(1d4+1)である。同時に《クトゥルフ神話技能》が2%与えられる。
一人が呪文を修得し、それを誰かに教える場合は所与時間を1時間に固定して構わない。
ただし[INT×数値]ロールに成功しなければ習得できないことは変わらない。


*《魔法の感知》(ルルブP.284)
 (※この呪文を修得するためには[INT×4]に成功しなければならない。)
 呪文の使い手は、物体にかけられている有害な呪いが放つ悪意に満ちた輝きを感知することができる。
 この呪文をかけるためには6MP(マジックポイント)のコストがかかるが、正気度の喪失はない。

  <※KP情報※>
  シナリオ内で対象となるもの。
 【鉱石のオブジェ】【鍾乳洞内の結晶】に使用する
   <人間を結晶化させる呪いが掛けられていると分かる。>
   <呪いはこの異世界全体を覆っており、この鉱石はその呪いの噴出口のようだと感じる。>
 【青い天然石(異変前の購入物)】に使用する
   <鉱石のオブジェと似た魔術がかかっているが、反発しているように感じる。>
   <20ポイント分の魔力が付与されている。>
   <強い力に惹き寄せられるような流れを感じる。>
 【コレクションルームの石】
   <呪いの気配はあるが、道ばたで見たものより微弱だと感じる。>
   <5ポイント分の魔力が付与されている。>
 【ご神体】に使用する
   <呪いを強化しているように感じる。>
   <強い力の影響を受けているため、人間には触れない魔術がかけられている。>
   <この魔術を解くためには強い力の源を断つしか無い。>

 強い力を断つ=「キーザ」を弱体化させることを意味する。
 強い力が何を示すのか不明瞭な場合は、風船男と上手く会話すれば口を滑らすだろう。
 風船男「ご神体は主様が守っていらっしゃいます。」といった具合だ。



*《天候を変える(劣化版)》(元の呪文はルルブP.273)
(※この呪文を修得するためには[INT×3]に成功しなければならない。)
 天候を悪化させる呪文。
 複数人で呪文を掛けて、大きな効果を得ることもできる。
 コストは1正気度喪失が発生し、MP(マジックポイント)の使用量に応じた結果を出す。
 呪文の使い手、呪文を知っている参加者たちは可能な限りのマジックポイントを提供できる。
 呪文を知らない者が参加する場合は、提供できるMPは1だけである。

 天候の変更1レベルごとに3分間の歌のような詠唱を行う必要がある。
 基本的な呪文の効果範囲の半径は3.2kmである。半径を1.6km広げるごとに10MPが必要となる。
 効果時間は10MPで30分間だが、気象レベルが上がるごとに効果時間は短くなる。
 レベルは1段階上げるごとに10MPが必要となる。

 雲量のレベル:(1)晴れ、(2)薄曇り、(3)ところにより曇り、(4)曇り、(5)厚い雲


  <※KP情報※>
  元の呪文は曇だけでなく、晴天にしたり雷雲を呼ぶこともできる。
  今回は混乱を避けるために雲を呼ぶだけの呪文に改良している。

  空の黒い穴を隠すにはレベル5の厚い雲でなければならない。
  よってこの呪文を使うならば、必要となる最低でも[50MP]をまかなう必要がある。
  本シナリオでは、レベル5厚い雲を呼ぶのに合計50MPを呪文に注げば[6分間]は天候変化が続く。
  並びに10MP追加ごとに3分間ずつ追加される。(⇒合計60MPにすれば9分間、70MPで12分間になる)

  効果範囲はキーザからムトゥーラが見えなくなれば有効なので、鍾乳洞近くで行えば充分だろう。
  その際「風船男」をどう言い包めるかも考えておく必要がある。
  時間は探索者たちの行動によるものの、呪文発動中に【ご神体】を破壊できれば問題ない。
  (言い包め案などは【12:廃坑道―●キーザを弱体化させる】に記載。)




●2F「玉泉結の部屋」
書斎ほどではないが本棚がズラリと並んでおり、ほとんどは地質学研究についての本である。
奥のベッドの傍らには机があり、卓上には【手帳】が置かれている。
簡素な内容で読むのにはさほど時間はかからない。
これを読んだ人物は、未知の存在へと虜になっていく人物の異様さを感じSANチェックが発生する。
正気度喪失は(1/1d4+1)である。


▼<玉泉結の手帳>
『両親が事故で死んだと連絡が入り帰郷する。
 葬儀は一段落したが遺品整理をしなければならない。』

『アルバムを整理していたら遊園地に家族で行った写真があった。
 風船を無くして大泣きしている私の写真がある。いつの間に撮ったんだ……。』

『サキと久しぶりに再会した。相も変わらず明るく元気である。
 彼女は何も変わりない。私も昔と変わらない。』

『父は廃坑に残された鉱石に夢中だったらしい。
 分からなくもないが、山のように残された石ころの処理は骨が折れる。』

『特に大きな水晶体は一体どこから持ってきたのだろうか。
 しかし面白い鉱物だ。組成物はどうなっているか気になる。』

『夢を見た。よく覚えていないがまた視そうな気がする。』

『歌を聞いた 不思議できれいな歌
 けれどあれを歌と表現していいのかわからない。』

『歌を広めなければならない。何故かはわからない。
 私にできることは何か考える。』

『父の収集物である大きな水晶体が歌を大きくしている気がする。
 こんな所で埃を被らせるべきではない。移動させよう。』

『あの歌を聴くようになってから、人に慕われるようになった。
 私でも変われたことが嬉しい。』

『あの結晶は彼の一部だ。決して壊されてはならない。
 けれど大丈夫だろう。彼が健在な限り彼自信があれを守るのだから。』

『もっとあの歌を聴きたい 彼の声が私を変えてくれた 昔の私には戻りたくない』

『あの方の声を 声を もっと近くで
 変わらなければ 私ではない私に』
(手帳の内容はここで途切れている。)


 読み終わった探索者が【ご神体】の存在と頭痛現象を知っているならば《アイデア》をさせる。
 成功すると次のことを察する。
 <あの方と呼ばれている者を弱らせれば、ここに記されている結晶体に触れられるのでは?>


 

11:異変後の鍾乳洞


神社の様子は異変前と何も変わっていない。
鍾乳洞は異変前に一度来ているのなら、明らかに様相が違うことに驚くだろう。
道のあちこちに不自然なほど大きな結晶がむき出しになって生えているのだ。
転けたり走ろうものなら《幸運》に成功しなければ「キーザの呪い」が発生するので注意。


★神社の【ご神体】
【ご神体】は変わらず神社の中に祀られている。
異変前は「動かそうとする」「直接触れる」「破壊しようとする」などの行動を行うと気絶だけで済んだ。
しかし、異変後は【ご神体】に対して上記のことを行うと、頭痛と一緒に「キーザの呪い」が発生する。
無茶をすれば、瞬時に呪いの第5段階まで進行しかねないほどの恐ろしい力を秘めている。
他の結晶体と違う点は<箱越しでも呪いが発生する>という点だ。
なお、キーザを弱体化させて上記の行動を行う場合ならば、頭痛も呪いも発生しない。



●風船男との遭遇
異変後の鍾乳洞を訪れると、入り口にある神社を通り過ぎた所で
探索者たちは背後から「お客人ですか?」と言う男の声がかけられ、肩を掴まれる。
 『そこには異形頭の人物が佇んでいた。
  彼はスーツ姿で、人間の頭部の代わりに3つの風船が襟ぐりから生え出ている。
  風船には油性ペンで描かれた下手くそな笑顔が仲良く並んでいるようだ。』
人間らしからぬ人間を目撃した探索者はSAN値チェックが発生する。
正気度喪失量は(0/1d4)である。

風船男の役割は客人(意識の有る人物)をキーザの元へ誘導することだ。
ところが基本的に馬鹿であり、言われたことをすぐ信じてしまう。
いくら彼を罵倒しようが暴力を浴びせようが変わらずひょうきんな態度を崩さない。


▼<頭の風船の役割>
風船男はキーザを唯一神とする狂信者であることから、彼に対して言ってはならない禁句がある。
それは「キーザ以外の神の存在」「神を否定する言葉」「キーザを貶す言葉」と言った内容のものだ。
禁句を言うと頭の風船が1つ割れる。
するとその場に居合わせた探索者全員が<「キーザの呪い」の第2段階までロールなしに進度が進む。>
これは【鉱石のオブジェ】に触れていない探索者も含めた全員である。
2つ目が割れると<呪いの進行が一段階分、ロールなしに発生する。>
そして風船は全部で3つ、仏の顔も三度までというやつである。 
3つ目が割れると<呪いの進行が第5段階へと強制的に移行する。>
呪いを受けている人物が少ないならば、最初に少し意地の悪い質問をするといいだろう。
例えば「我らが崇拝せし神の名をお答え下さい。」と言ったものである。


★「風船男(ふうせんおとこ)」キーザの下僕
STR:40     DEX:10     INT:14
CON:19     POW:16     SIZ:15
HP:17     MP:16     db:2d6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]結晶の槍 100%:ダメージ 結晶の大きさにより異なる 
[装甲]キーザが存在する限り何度でも蘇る。
[呪文]《キーザの呪い》:風船が割れると発動
*風船男から攻撃することはほぼない。目的は神のもとへの案内ただ一つだからだ。
 武器を使うと地面から槍のような結晶体を伸ばして破壊してしまう。
 その際はひょうきんな笑い混じりに「危ないじゃないですか」などと言う。
*彼はキーザに生命を委ねているため、キーザが地球から退散しない限り何度でも蘇る。
 骨を折るような攻撃をされれば、部位が折れようとそこから結晶が伸び出して破損した部位が修復される。
 風船も針で刺そうが、拳銃で撃ち抜こうが、禁句を言わない限り割れることはない。
*行動範囲は【霜状の結晶体】が生えている場所とその付近のみ。




●黒幕へ続く通路
鍾乳洞・廃坑道の両方の地図に記載されていな道がある。
鍾乳洞順路の最奥一歩手前あたりに別の道へ繋がる入り口が、魔術によりカモフラージュされている。
その入り口は風船男に案内されなければ見つけることは出来ない。
もしくは事前に購入した【青い天然石】を所持中ならば、穴が見える位置からの《目星》成功で発見できる。
奥は創りだされた天然の広い吹き抜け広場になっている。
その先に、知性を持つ結晶体「キーザ」が居る。



★黒幕遭遇の危険
風船男と遭遇してから暫くすると、探索者たちを力づくでキーザの元へ連れて行こうとする。
「是非とも主とお会いになってください。その素晴らしさに胸を打ち震わせること間違いなしですよ!」
彼は背後から追い立てるように探索者たちを前へ進むように促す。

辿り着くまでには猶予時間があり《説得》《言い包め》で同行を拒否することができる。
風船男は馬鹿なのである程度の事情は信用するが、それが拒否する理由に値するかは別である。
技能の効果時間からして《言い包め》ならば2回、《説得》ならば1回のチャンスだろう。

最終手段は[DEX対抗]による逃走だ。
もしキーザがいる洞の手前まで来ているなら、鍾乳洞の順路に戻れるかの《ナビゲート》も必要になる。
成功できなければ、さまよった後に風船男に捕まる。
DEX対抗に失敗すると体を捕まれてキーザの元まで引きずられていく羽目になる。
抗うならばSTR対抗になるが、能力値の差的に絶望的である。
或いは複数人で抵抗をすれば引きはがせるかもししれないが、可能にするかはKPに委ねられる。
因みに逃げてからまた会いに来ても彼は何も気にしていない。

 <※KPへの注意※>
 KPはほどよく探索者たちの交渉理由を汲んで技能をふらせて下さい。
 この罠の重要な点は”探索者が力で敵わない存在を口車で対処すること”に有ります。
 よって、なんでもかんでも否定することは絶対にしないで下さい。
 (※風船男を完全にかわす方法は【12:廃坑道―●キーザを弱体化させる】を参照)

<交渉に成功した場合>
 風船男は残念そうに肩をしょげながら一旦は諦めるだろう。
 「そうですか…とは言え我らが神は人間の想像など超越したお姿です。」
 「驚いて気を失ってしまっては大変ですからね。」
 (※KPがその場その時の理由に合わせて対応して下さい。)
 成功しても、探索者が再度会いに来た場合は諦めずにまた連れて行こうとする。
 その時には違う理由を使わなければ納得しなくなっているので注意。

<交渉に失敗した場合>
 キーザ目撃によるSANチェックと、キーザに認識されたことによる戦闘ラウンドが始まる。
『暗い道が途切れた先を行くと、山を直接繰り抜いたかのような吹き抜けに出た。
 巨大な結晶の連なりが高くそびえ立ち、この世のものならぬ内なる光できらめいている。
 切子面を呈する巨大な結晶体は、高くそびえる塊から花のように芽吹き更に大きさを増している。
 色と光の頭がおかしくなりそうな誇示が、不気味な半透明の存在を透過してきらめき、またたく。
 その構造体からとび出た細い結晶の長い触手が、辺りをさっとなでる。
 結晶の触手になでられた場所は、霜のようなものをそこいらじゅうに広げていった。』
 知性を持つ結晶体を目撃した探索者たちはSAN値チェックが発生する。
 正気度喪失量は(1D8/5D10)である。


SANチェックが終了したら「キーザ」と「風船男」との戦闘ラウンドが開始される。
この異形たちの目的は探索者たちの無力化であり、殺すことではない。
探索者たちが全員気絶するか、逃げおおせれば戦闘ラウンドは終了する。
気絶した場合は(1d4)時間後に【町外れの館】の地下で目覚める。


★「キーザ」知性を持つ結晶体
STR:200     DEX:6     INT:15
CON:95     POW:25     SIZ:115
HP:105     MP:25     移動:0     db:+19D6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]触手 90%:ダメージ 結晶体への変化
    押しつぶし 80%:ダメージ dbと同じ
[装甲]15ポイントの硬い結晶。
    加えて、キーザは毎ラウンド耐久力を1D10ポイント再生させる。
[呪文]《精神的従属》や《魅了》などの精神に影響を与える呪文を使用するが、
    それ以外にもKPが望む呪文を全て知っている。
[正気度喪失]目撃した場合(1D8/5D10)
*PCが【青い天然石】のアクセサリーを身につけているならば、強制的に《魅了》状態となる。
*呪いをその身に受けている者には先制して《魅了》が行える。
 (魅了については《犠牲者を魅了する》ルルブP.255参照)
*《セイレーンの歌声》(ルルブP.267参照)を使える。

《犠牲者を魅了する》(ルルブP.255)
対象を催眠状態に陥らせる呪文である。
呪文の使い手にはSAN(1D6)、2MPのコストがかかる。
呪文が効果を表す前に、呪文の使い手は対象とおだやかに話すことが出来なければならない。
1ラウンドかそこらの時間を話し合ったのち、MP対抗ロールを行う。
・呪文の使い手が勝つ
 犠牲者は突然動かなくなり、体が麻痺した状態で口も聞けなくなる。
 これは肉体的ダメージを受けたり、それに類した恐ろしい目に合って目が覚めるまで続く。
・犠牲者が勝つ
 次ラウンドにもう一度かけ直してみることができる。

《セイレーンの歌声》(ルルブP.267)
(※この呪文を使うならば、目撃前に《聞き耳》をさせてラウンド数を稼いでおくといいだろう。)
呪文の使い手は呪文の文句を歌として歌う。
成功すれば、対象は呪文の使い手のことを自分の求める全てだと信じてしまう。
呪文をかけるためには2ラウンドの時間がかかり、1MPとSAN5がコストとしてかかる。
呪文の効果が続くのは(4D10)時間。
犠牲者ははPOW対抗で抵抗ロールを行うことができる。
犠牲者が成功すれば、呪文は何も効果は示さない。
《セイレーンの歌声》は何人でも聞いた者すべてに影響を与える。


 

12:廃坑道


●寂れた入り口
資料館の裏手にある立入禁止のロープの先へ行けば【寂れた入り口】がある。
ここはキーザの影響が薄いので生えている結晶は少ない。
因みに奥の空間は神社側の入口で「整備中」の張り紙から先にある場所でもある。
通路に照明があった形跡はあるものの、とうの昔に機能しておらず暗い。
先へ進むと倉庫を兼用していたのか錠前の掛けられた扉が有る。
錠前はだいぶ古く錆び付いているため、石や工具で殴れば壊すことが可能だ。
勿論《鍵開け》で解錠することもできる。

扉を開くと真っ暗で何も見えず、空気は冷えびえとしている。 
手持ちの照明で照らしながら探せば<空間の角に密閉された木箱と錆びた工具が置かれている。>
工具は【バールのようなもの】【錆びついたピッケル】の他に【くたびれたロープ】等がある。
木箱は釘でがっちり密閉されているので、その場の工具でこじ開けるといいだろう。
木箱の中身は【ダイナマイト】がある。数は(1d10+4)本。
 《化学》に成功すれば<密閉されていたからかまだ使えそうだ>と分かる。
 <「ダイナマイト」耐久:1 使い捨て ダメージ(5d6) 射程:2m 技能《投擲》>




●廃坑道の地図に記載された”×印”
鍾乳洞奥の目星で発見可能な【鎖の張られた脇道】のことだ。
道というにはあまりに狭くて傾斜もきつく、体を寝かせて潜り込むようにしなければ通れそうにない。

 ここを通る探索者には《幸運》をさせる。
 ・成功→<無事に開けた通路まで下りられる>
 ・失敗→<滑り落ちて耐久に(1d3)ダメージ>

天井は低いが【広い空洞】に繋がっている。
 キーザのいる吹き抜け広場の近くにまで行ったことがある探索者なら《アイデア》成功で
 <風船男の言っていた神とやらがいる場所の丁度真下に当たると分かる。>
 【広い空洞】へ《地質学》か《(目星+知識)÷2》に成功すれば
 <この空洞の天井と地面は脆く、下はさらに広い空間へと繋がっているのでは>と察す。

  <※KP情報※>
 ここは坑道開拓中に発見された自然の空洞だ。
 広い空間ではあるものの、作業をするには地面が陥没しそうなほど脆く危険なため封鎖されていた。
 この大きな空洞はキーザがいる場所の真下である。
 シナリオの使用目的はここに爆発物を設置し、キーザを地面ごと落盤させて耐久を減らすことにある。




●キーザを弱体化させる
▼<風船男をかわす>
以下の2つの方法は、両方とも風船男をなんとかしてかわす必要が出てくる。
【町外れの館】で情報を入手した探索者ならば、自ずと風船男が玉泉結であることを察してくれるだろう。
風船男に対して「自分が玉泉結であることを自覚させる」ようなRPを行うと混乱させることができる。
その際には《説得》や《言い包め》に成功する必要がある。
更に三葉サキの手助けがあれば、技能にプラス補正をかけるといいだろう。

 ・交渉技能を失敗
  風船男はひどく狼狽した様子で呻いたかと思うと突然叫び出す。
 「違う!ちがう!チガウチガウチガウ!!」
  更に叫びながら闇雲に《結晶の槍》を使う。
  本数は(1d4)本、対象は(探索者+NPC+外れ)からランダム
  回避は可能で、ダメージは(1D6)である。

 ・交渉技能を成功
  風船男は混乱した様子で頭を振り乱し、「私は……ワタシは……」と呟きながらその場でうずくまる。
  その後は暫く放心状態のようになるだろう。触れても縛っても何も抵抗は起こさない。
 


▼方法1<空の黒い星を隠す>
【町外れの館】で入手できる《天候を変える》呪文を鍾乳洞の入り口付近で使えば効果が出る。
(※詳細は【10:町外れの館―●2F「書斎」】参照)
呪文により厚い雲を呼び出し【空の黒い穴】が、キーザの頭上から見えなくなれば弱体化する。
弱体化した時点で<あちらこちらから生えていた鉱物が共振するように震えはじめている。>
謎の共振現象は【空の黒い穴】が厚い雲で覆われている限り続く。
並びに、この間はどの鉱物に触れても呪いが発生しなくなっている。



▼方法2<神話生物爆発計画>
察しが良ければ”ダイナマイト”と”神話生物の真下に地盤の弱い空洞”で気づいてくれるかもしれない。
気づかなければ《アイデア》で以下のように示してしまって構わない。
<地盤が弱い空洞で爆発物を使って落盤を起こし、未知の生命体を倒せないだろうか?>

実のところダイナマイトのダメージだけでは耐久を削りきれるか怪しい。
なので【広い空洞】内で爆発を起こし、派生する落盤のダメージでキーザの耐久を削るといいだろう。
ただし、同時に落盤に巻き込まれないための<DEX対抗>が発生するので注意。

*<爆破から退避までの流れ>
 ダイナマイトと火種を持った人物が空洞の中まで入る。
 点火した【ダイナマイト】を【広い空洞】へ投げ込む。
 爆破から落盤までのカウントは[1d6+4]ラウンド
 空洞内にいる人物は決まったラウンド数以内に[DEX×4]に【2回成功】しなければならない。
 (爆破の衝撃と、落盤の衝撃があるので2回)
 この時《登攀》やロープで補助をするなどのRPをしたならば、DEX対抗時に補正を追加するといいだろう。
 誰かが待機する場合、脇道の入口前ならば落盤には巻き込まれない。

 ・2回成功した場合
  鍾乳洞の基礎順路まで来ることができる。ここまで来れば一先ず安全圏である。
  しかし留まるのは得策ではない。

 ・1回成功した場合
  【広い空洞】からは抜け出すことができるが、狭い道に体が半分埋まってしまう。
  誰かの協力がなければ[2D4]分後に圧死する。
  協力者が近くにいるならは、被害者が抜け出すための救出ロールが行える。
  その際は瓦礫による圧迫(STR18)とのSTR対抗ロールとなる。
  救出ロールも失敗すれば被害者はその場で息絶える。
(失敗した探索者の絶望の色が濃いならば、死亡RPをしてもらい場を盛り上げても構わない。)

 ・2回とも失敗した場合
  《幸運の半分》に連続で2回成功すれば、僅かな隙間ができたことにより即死は免れる。
  ただしこの状態で他者が救う手立てはなく、[1d6]分間後には出血や圧迫により死亡する。
  幸運にも失敗した場合は落盤に巻き込まれてほぼ即死する。

上記の探索者が失敗してかろうじて生存している場合。
時間内に【ご神体】の破壊に成功すれば、落盤に巻き込まれた探索者も目覚めた時には無事生還できる。
そのためには上記で決定された時間内に、他の探索者たちが【ご神体】を破壊しなければならない。
該当探索者が生還した際は、死を間近に感じた恐怖により(1/1D4)のSANチェックが発生する。
なおここで死亡したとしても、他探索者が生還する条件を揃えると死亡以外の結末になるので注意。



▼爆破(方法2)の別ルート
【広い空洞】でなくキーザと対峙する場所で爆破を行う場合である。
こちらの段取りを踏むのであれば、かなりのリスクを背負うことになる。
必ずキーザ目撃によるSANチェック処理を挟む上に、キーザとの戦闘ラウンド中に爆破を行うためだ。
並びに、風船男をかわしていない場合はこの戦闘に参加するため逃走の難度が上がる。

*爆破する
 点火したダイナマイトをキーザの洞へ投げ入れると、導火線の影響で直ぐには爆破しない。
 爆破するのは投げ入れたラウンドの終了時だ。

 キーザの手番が終わっているならばそのまま爆発する。
 まだの場合は、KPはキーザに《アイデア:75%》を振らせる。
 アイデアに成功したならば、投げ入れられた物体が危険だと判断でき《触手:60%》で阻止を図る。
 (触肢ロールはアイデアの直後なので90%から-30%補正を加えている。)
 この触手ロールが成功すると、触手の結晶化によりダイナマイトは不発にされてしまう。

 探索者は再びダイナマイトを投げ入れるならば、キーザより後の手番に行うべきだ。
 (キーザはDEX6なので手番はほぼ最後だろう。)
 再び投げ入れたとしても、キーザにより今度は《触手:90%》による阻止を行われてしまうからだ。
 後の手番にする場合は、キーザの手番を消費させるため攻撃を1回は耐えなければならない。
 因みに、風船男はダイナマイトを阻止することまで頭が回らないので普通の攻撃のみ行う。


*発破後の避難
 ラウンド最後の爆発後、落盤までのカウントは[1d6+4]ラウンド
 探索者はこの間にキーザの洞を抜け出し、安全な通路まで出なければ、落盤に巻き込まれてしまう。
 このラウンド数は【広い空洞】を使った際と同様だが、必要とされるDEX対抗が変わってくる。

①風船男とのDEX対抗
 相対している敵がキーザだけれあれば、そのまま直ぐに洞は抜け出せる。
 この場に風船男がいるならば、風船男(DEX10)との[DEX対抗]に勝たなければ避難を開始できない。
 成功すればキーザの洞からは抜け出せる。
 DEX対抗に失敗してしまうと、結晶の槍を生やされ退路を塞がれてしまう。
 洞を抜け出せなかった探索者はキーザと同様の爆破&落盤ダメージを受けることとなり即死するだろう。

②安全な通路までの避難
 洞を抜け出してからは、安全圏である鍾乳洞の基礎順路まで避難しなければならない。
 【広い空洞】からの脱出と違い安全な通路まで距離があるため、そこまで全力で移動できたかを試される。
 よって避難するには[(DEX+CON)×2]に残りのラウンド以内に1回成功しなければならない。
 失敗してしまった場合は【<爆破から退避までの流れ>~2回とも失敗した場合】と同様の結果になる。


▽爆破からの落盤ロール
探索者たちの退避ロールが済んだ所で、KPは落盤によるダメージを決定する。
(これは演出程度の設定なので省いて構わない。)
 <落盤ダメージ算出法>
 1)落盤による落下ダメージ(10D10)
 2)落石数(10D6)の決定
 3)落石数の数だけ(1D20)を振る
以上の合計ダメージがキーザの耐久を削る。(※目標ダメージ120(キーザは耐久105+装甲15))




●最後の仕上げ
キーザを弱体化するだけではこの異世界は脱出できない。
この隙に神社に祀られた【ご神体】を破壊する必要があるのだ。
【ご神体】は(耐久20)あるので、武器で殴りまくるか、なんなら爆破しても構わない。
キーザが弱体化中ならば、破壊しようとしても頭痛は起きることはない。
心配ならば【町外れの館】で見つかる呪文《魔法の感知》で確認できる。
因みに、風船男はキーザ弱体化中は死にかけの魚のように痙攣しているので邪魔しに来ることはない。

【ご神体】を破壊すると以下のイベントに入る。
 『美しい歌のような声が聞こえたかと思うと、それは段々と強烈な耳鳴りとなる。』
 『やがて声は脳が破壊されそうな超音波となって、探索者は気を失うだろう。』
 『最後の音の余韻は、まるで泣き叫ぶ子供の悲鳴のようであった。』
この時点で【13:結末―●ご神体を破壊して生還】へ移行する。


 

13:結末


●異世界での死亡
主にキーザの呪いが第六段階まで進んでしまったり、爆発後の逃げ遅れなどである。
現実世界で目を覚ますものの、SAN0のキーザを崇める狂信者となる。
イムリミットを超えた場合ならば、そのままキーザに吸収されるため留まるだろう。
ご神体を破壊した場合は、平常を装って【町外れの館】へ赴き、文献を持ち逃げして雲隠れする。




●キーザの顕現
異変開始から12時間経過した場合である。
まず、呪いを受けた者は強制的に第5段階へ移行する。
住人たちが夢遊病者のように鍾乳洞へ向かい、キーザの餌となるべく歩を進める。
意識がある人物すら大勢の人物に無理やり連れて行かれる。
勿論探索者たちがいくら抵抗しようと足掻くだけ無駄である。
鍾乳洞のキーザがいる広間に到着すると、結晶体の触手が次々と人間を覆い尽くして結晶化していく。
結晶化された人間たちはキーザに吸収され姿を消していくのだ。
キーザの餌になると、現実世界では精神が全て食いつくされ、体も結晶体となってキーザに吸収されている。

現実世界ではムトゥーラが地球上に見え続け、キーザも地球に顕現し続ける。
ご神体に蓄積された魔力が無くなるまで、亜月町周辺の空は全く雲がかからなくなる。
魔力は吸収された人間のMPの総計だ。
町一つ飲み込んだほどの量はそうそう無くなることはないだろう。
顕現し続ける限り、周囲のあらゆる生命体を結晶化して吸収し続ける。
キーザの触肢が町の地下全体まで伸びているため、亜月町にいる人間は全て犠牲者となる。
期間は夜間のみだが、朝が来る頃には無人の亜月町だけが残るだろう。




●ご神体を破壊して生還
耳鳴りによる失神から意識を取り戻すと、そこは宿の布団の上だった。
あれはただの悪夢だったのかと周囲の様子を伺えば、時刻は旅行3日目の早朝だ。
部位が結晶化した探索者は、結晶化は解除されるものの(1d100)日間はその部位が動かしづらくなっている。
所持物は夢で入手したものは全て失われている。
(※事前購入した天然石のアクセサリーもただの水晶になっています。)

町を散策してもあの妙な鉱物は見る影もなく、住人たちに話を聞くと揃って前日の記憶を失っている。
ところが、異世界で普通に会話した人々は違ったらしく同じような記憶を留めていた。

鍾乳洞へ向かうと神社の周りで人だかりができている。
なんでも「倒れている人々が突然鍾乳洞の中に現れた」と言う。
これは館の地下で倒れていた人々が、キーザの束縛が無くなったことにより可視化されたからだ。
また「ご神体が粉々に砕けている」とざわついている声も聞こえる。
鍾乳洞内部は結晶は残っているものの、中心部の深い紺色は無くなっている。
並びにキーザへ続く横道は無くなっており、地盤の弱い空洞もない。
住人たちは暫くの間、鍾乳洞だったのか廃坑道だったのかがあやふやになる。


三葉サキと知り合いになっているならば、彼女から探索者たちへコンタクトを取ってくる。
「よかった!あなた達が居るってことはあれは夢じゃなかったんですね……!」
そう言いながら、彼女は変わらず幼馴染の安否を気にするだろう。
心配ならば一緒に町外れの館へ行き、気にしないならばそのまま帰ればシナリオ終了である。

<※以下分岐アリ※>


▼方法1<空の黒い星を隠す>でキーザを弱体化させた
町外れの館では、結の部屋のベッド上で大きな結晶体が砕けたらしき跡がある。
これを見た三葉はひどく動揺するだろう。
(※三葉は近親者を失った事を察して(1/1d6+1)のSANチェックが発生している。)

ベッドの残骸を見た探索者には《アイデア》をさせる。
成功すると<大きさと推測できる形から人が結晶体になり、砕けて死んだものだと分かる。>
普通の人の死とは思えない惨劇を目にした探索者はSANチェックが発生する。
正気度喪失量は(1/1D8)である。
(※キーザの呪いの第6段階を目にしたものならば、このSANチェックを省いても構わない。)

ベッドの脇にはアルバムが置いてあり、手に取ると2枚の写真が落ちてくる。
1枚目は<空を指さし大泣きしている少女の写真>
2枚目は<父親らしき人物から風船を3つ渡され喜んでいる少女の写真>
2枚目の裏には以下の文章が書かれている。
『私も主様の元へ行こう きっと父さんと母さんもそこにいる』

結の部屋で《目星》に成功すると<ベッドの下からもう一枚写真を見つける。>
3枚目は<二人の少女が笑い合っている写真>
裏には以下のことが書かれている。
『サキちゃん わたしのともだち ありがとう ごめんね』

その後、玉泉結の姿を見たものは居らず、空に浮かぶ黒い星の夢を視るものも居なくなるだろう。



▼方法2「神話生物爆発計画」でキーザを弱体化させた
キーザの耐久を削りきったことにより、玉泉結の完全な結晶化を妨げることができる。
よって町外れの館へ向かい結の部屋に入れば、元の姿で深く眠っている女性が居る。
彼女は衰弱してはいるものの、生きている。直ぐに病院へ搬送すれば生命は確保されるだろう。

三葉サキは全てを理解はできないが、奔走していた探索者たちを見ていたことから感謝をのべる。
「深くは分からないけれど、あの夢みたいなことは現実……だったんでしょうね。」
「私には何もできなかった。結ちゃんに嫌われたくなくて、心配しかできなかった。」
「もし何もできずにいたら……結ちゃんは…………。」
「でも、よかった……! 結ちゃんは生きて ちゃんとここにいる。」
「私も両親がもう居ないから、結ちゃんまでいなくなってしまっていたらと思うと……」
「ありがとう きっとあなた達のお陰です。本当にありがとうございます」
連絡先を交換したならば、数カ月後には探索者たちの元へお礼の手紙が届く。
手紙には「笑顔で写る二人の女性の写真」と「亜月町旅館 優待券」が同封されている。
またあの町へ旅行へ行くかは、探索者たち次第だろう。

見上げた視界に広がる晴れやかな青空には、煌々と世界を照らす太陽が浮かんでいた。


 

14:クリア報酬


(以下の報酬はSAN0以下の探索者は正気度回復のみ行えず、回復以外は得られます。)

●異世界からの脱出
 ご神体を破壊して生還した探索者は(1d6)の正気度回復が行えます。
 全員が正気のままならば(1d10)の正気度回復が行えます。
 並びに《クトゥルフ神話》技能が3%与えられます。

●危険を冒しながらも神話生物を爆破した
 最奥の空間へ入って爆破を実行し、無事生還を果たした探索者が対象です。
 該当探索者は1d100で[POW×3]以下を出せばPOWが1ポイント付与されます。
 POW18まで達している場合は、代わりに(1d6)の正気度回復が行えます。

●玉泉結を生還させた
 爆破によってキーザを弱らせ、玉泉結の完全な結晶化を阻止した探索者が対象です。
 正気の探索者ならば(1d3)の回復が行えます。
 キーザの狂信者になった者は《クトゥルフ神話》技能が(1D10)%与えられます。


 

15:NPCステータス一覧


★「玉泉 結(ぎょくせん ゆい)」女性/20代後半/地質学者
STR:07     DEX:06     INT:14     EDU:18
CON:10     POW:16     SIZ:10     APP:11
HP:10     MP:16     SAN:5     db:0
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:70% 幸運:80% 知識:90% クトゥルフ神話:10%
*現実世界では自室のベッドの上で深い眠りについており、体は結晶化が進行している。
*異世界では「風船男」となってキーザの下僕と化している。



★「風船男(ふうせんおとこ)」キーザの下僕
STR:40     DEX:10     INT:14
CON:19     POW:16     SIZ:15
HP:17     MP:16     db:2d6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]結晶の槍 100%:ダメージ 結晶の大きさにより異なる 
[装甲]キーザが存在する限り何度でも蘇る。
[呪文]《キーザの呪い》:風船が割れると発動
*風船男から攻撃することはほぼない。目的は神のもとへの案内ただ一つだからだ。
 武器を使うと地面から槍のような結晶体を伸ばして破壊してしまう。
 その際はひょうきんな笑い混じりに「危ないじゃないですか」などと言う。
*彼はキーザに生命を委ねているため、キーザが地球から退散しない限り何度でも蘇る。
 骨を折るような攻撃をされれば、部位が折れようとそこから結晶が伸び出して破損した部位が修復される。
 風船も針で刺そうが、拳銃で撃ち抜こうが、禁句を言わない限り割れることはない。
*行動範囲は【霜状の結晶体】が生えている場所とその付近のみ。



★「キーザ」知性を持つ結晶体
STR:200     DEX:6     INT:15
CON:95     POW:25     SIZ:115
HP:105     MP:25     移動:0     db:+19D6
――――――――――――――――――――――――――
[武器]触手 90%:ダメージ 結晶体への変化
    押しつぶし 80%:ダメージ dbと同じ
[装甲]15ポイントの硬い結晶。
    加えて、キーザは毎ラウンド耐久力を1D10ポイント再生させる。
[呪文]《精神的従属》や《魅了》などの精神に影響を与える呪文を使用するが、
    それ以外にもKPが望む呪文を全て知っている。
[正気度喪失]目撃した場合(1D8/5D10)
*PCが【青い天然石】のアクセサリーを身につけているならば、強制的に《魅了》状態となる。
*呪いをその身に受けている者には先制して《魅了》が行える。
 (魅了については《犠牲者を魅了する》ルルブP.255参照)
*《セイレーンの歌声》(ルルブP.267参照)を使える。



★「三葉 サキ(みつば さき)」女性/20代後半/警察官
STR:11     DEX:11     INT:13     EDU:16
CON:11     POW:11     SIZ:11     APP:14
HP:11     MP:11     SAN:50     db:0
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:65% 幸運:55% 知識:80%
*亜月町出身の婦警。
 表情がころころと変わる明るい人物で親しみやすい。今は心配事があるため暗い表情が多め。
*事件のきっかけである「玉泉 結」とは幼馴染である。
 他の住人は全く気にかけていないが、三葉だけは身を案じている。
(※SANは異変後の一時的発狂の状態を考慮して減らしてあります。)



★「赤五 鶇(あかご つぐみ)」男性/30代半ば/役場所員
STR:14     DEX:10     INT:14     EDU:12
CON:14     POW:12     SIZ:14     APP:10
HP:14     MP:07     SAN:60     db:+1d4
――――――――――――――――――――――――――
[技能]アイデア:70% 幸運:60% 知識:60%
    登攀:70% 跳躍:60% 図書館:50% 鍵開け:60%
*亜月町出身の町役場職員。
 20代の頃は都心部へ状況していたが、都会は面倒くさいと思うようになり帰郷して公務員になった。
*かわいい女の子の相手ができるかもしれないと企て、「ハッコパトラ」の中身を担当し始める。
 しかし相手どころか全く人気が出ないため、寂しく嘆いていることがしばしばである。
 趣味は表向きはロッククライミングで、あづっきぃの中の人「上坂一郎」とは仲が良い。
 鍵開けは邪な感情ではないと断言はできない。
 おじさんと言われると少しへこむ。カッコイイお兄さんと言われると喜ぶ。ちょろい。
*たまたま神話生物の精神感応との相性が最悪だったせいか異世界の夢など視たことがない。
 廃坑道は昔からあった記憶はあるが、鍾乳洞の存在が気がかりとなっている。




(おまけNPC
★「四条 千秋(しじょう ちあき)」男性/20代後半/人間の姿をした無貌の神
STR:12     DEX:19      INT:89
CON:19     POW:100      SIZ:11      APP:18
HP:15     MP:100      db:0
――――――――――――――――――――――――――
*眼鏡をかけた女顔の男性。
 蒸し暑い鍾乳洞内でも汗ひとつかいていない。

正体は狂気の匂いを嗅ぎつけて見学に来ただけのナイラトテップ様。
このシナリオ内では鍾乳洞の観光スタッフをしていらっしゃいます。
希望とあらば亜月町の3体目のゆるきゃら「ズッキーニ」のきぐるみを着ていただいても構いません。
(出で立ちはクレーターだらけの三日月が真横に突き刺さり、小豆枕を常に持ち歩いている。)
「ズッキーニ」姿の場合は、頭のバランスが悪すぎて倒れてしまうことがしばしばあります。
鍾乳洞前で倒れて困っているところを、探索者に助けてもらうと上手く油断させられでしょう。

異変後は探索者たちが詰まったり、KPが困った時の引率NPCの係をしていただきます。
探索者の様子を面白おかしく眺めつつ、気まぐれに何かしてくれるかもしれません。
当たり前ですがキーザの呪いに影響されません。
退場させる際は頃合いを選び、忌まわしき狩人(ルルブP.169)にでも乗って空に消えてもらいましょう。
登場させるかどうかはKP次第です。

▼「黒い鍵」助力アイテム
 鍵開けが上手く行かない時に探索者へ渡す助力品。
 鍵穴の大きさや種類に問わず、どんな錠前も開いてしまう不思議な鍵だ。
 渡した後は「○○へ戻しておけば大丈夫ですよ」と伝え、どこかへ行ってしまう。
 だが、黒い鍵の正体はショゴスが変形したものである。
 言いつけ通りの場所へ返すか、四条千秋へ直接渡せば何も起きない。
 返さずに所持し続けると、鍵は主を探しに勝手にショゴスに戻る。
 『鍵が……いや、粘液質の何かがベシャリと地面へ落ちた。
  粘液質の何かは、その容積からは想像できないほど膨らんでいく。
  悪夢のような、黒ずんだ玉虫色の悪臭を放つ細胞の塊が、滲み出るように這い出てきた。
  不定形の柱状の巨体は、体全体から明滅する微光を発している。
  点滅する緑色の光は、無数の目が形成され、飲み込まれていくのを繰り返す様だった。
  突如現れた玉虫色の悪臭は、奇怪なあざけるような叫び声をあげる。』
 『テケリ・リ! テケリ・リ!』
 ショゴスを目撃した探索者は(1D6/1D20)のSANチェックが発生する。
 元の姿へ戻っても攻撃行為はしない。主の元へ帰るだけである。
 ただし探索者が追いかけたり、攻撃行為を行えば、軽く反撃くらいはするかもしれない。

▼狩人退場
 舞台からの退場ついでに忌まわしき狩人を召喚して軽率に探索者のSANを削るイベント。
 『上空に巨大なクサリヘビのような生き物がいた。
  奇妙に歪んだ頭と、グロテスクな巨大な鉤爪のついた付属器官がついている。
  黒いゴム状の恐ろしく大きな翼で、やすやすと空中に浮いているのだった。』
 巨大な飛空する、忌まわしき蛇のような怪物を目撃した探索者はSANチェック
 正気度喪失は(0/1d10)である。

▼狂気のお礼
 四条にとって面白いものが見れた場合に、お礼と称してSANを削りつつ何かしてくれる。
 ①狩人さん送迎
  時間が危うければ、忌まわしき狩人で適当な場所に送迎してくれる。
  その際は、探索者が起きていると面倒だと思い《クトゥルフのわしづかみ》もどきで全員気絶させる。
  次に目が覚めた時には、呪文による末恐ろしき体験に苛まれSANチェックが発生する。
  正気度喪失は(1/1d6)である。
 ②プレゼント
  簡単なものであれば、手紙と一緒に用意しておいてくれる。
  手紙は二つ折りの便箋に『面白い見世物のお礼だよ』と簡素な一文。
  それと【(欲しいもの)】が同封、あるいは近くに置かれている。
 (ライターやロープ、簡単な武器、MPが付与された結晶など)


 

16:その他補足や裏話


●玉泉結という人物について
元々は研究者気質の頭でっかちなため、親しい人物が少ない女性である。
普通に会話しようとするだけで冷や汗をかくほど、コミュニケーションが苦手だ。
苦手は劣等感となり常に彼女を苦しめ続けた。
また、彼女の一番の仲良しでもある幼馴染の三葉サキは、誰とでも親しくなれる人柄だ。
そんな人物を近くで見続けた結果、玉泉結の劣等感は更に積み重なっていった。

コンプレックスを抱えたまま年月は経過していき、キーザの出会いの時まで至る。
そして魅了の魔術を与えられ、観光地化の作業に追われながら様々な人たちに慕われる日々が始まった。
過去の辛さを一気に払拭できる力をくれたキーザに、彼女が心を委ねるのには時間の問題であった。
因みに、風船男はスーツに男性の体格、声をしており、何よりひょうきんなお喋り屋である。
この状態はそういった交流ベタの裏返しであり、彼女の憧れ体現したような存在と言える。
更にキーザの信者らしく異様であり、本心は見えないよう顔のない頭部になった。
風船なのは両親とのかすかな思い出からである。
結末の一つである最後の死に様は、キーザを地球に顕現させようとした代償だ。



●玉泉結の両親
結の父親は表向きには地質学者、裏の顔は魔術師である。
とはいえ魔導書の劣化写本を見たことがある程度で、神話生物との接触はしたことはない。
人間の理解を超えた存在がいることを知りながら、未知の存在を解明したがる研究者といったところだ。
書斎に怪しげな書籍が存在したのはそのためである。
母親は娘は巻き込まないことを約束させ、夫の意志を理解しつつ助手をしていた。
二人はキーザの精神感応の影響により亜月町へと拠点を移し、研究を開始した。
しかしキーザに巡りあうよりも前に、廃坑道内で事故に遭って死亡してしまった。
こんな両親だったためか、結はよく一人きりにさせられることが多かった。



●玉泉結と三葉サキの関係
二人は幼なじみであり、互いに両親を亡くしている。
三葉夫妻が亡くなったのはサキが高校生の頃、夫婦で旅行に行った際に事故に遭った。
祖父母に預けられていたサキは無事であったが、喪失の衝撃は凄まじいものである。
悲しみの中に捕らわれていたいたサキに対し、周囲の大人は迂闊なことはできなかった。
ただ一人、幼なじみの結だけは彼女のそばに居続けた。
明るく振る舞うことも、励ますようなことも言わず、いつも通り近くにいた。
サキにとってはその行為が大きな支えになり、やがて明るさを取り戻した。
そのことから、サキにとっては結は恩人であり、姉妹のような親友だと思えるようになった。

一方の結は「サキちゃんは自分で立ち直れてすごいな」と思う程度で、全く無意識の行為であった。
元からの無口で寂しがり屋な結の一面が、偶然にも功を奏したのである。
結からすればサキは憧れの存在であり、唯一自分が一緒にいても嫌がらない良い人認識である。
サキへの劣等感はあれど、喋りやすく一緒にいてくれるのは素直に嬉しかっただろう。
奇しくもその嬉しさが、より長く自分とサキを比較する期間を長くしてしまったわけである。
互いに自分の思いを伝えあっていれば、今回の事件は起きなかったかもしれない。
結を生存させられたなら、二人の幼なじみはちゃんと思いを伝えられるようになったかもしれない。



●ご神体の結晶について
キーザ招来のためには魔力を込めた水晶が必要となる。
それがキーザの一部や、キーザによって結晶化された者の一部ならば招来する際の成功率が上がる。
ご神体は遠い過去にキーザによって結晶化された犠牲者の末路だ。この犠牲者が人間かは定かではない。
元は地盤の弱い空洞に隠されていたものを、玉泉夫妻が発見し持ちだし、館へ運び込んだのが始まりである。
因みに、青い天然石などは廃坑道に生息していた生物などが結晶化した成れの果てだ。
そのため鍾乳洞内には生態系が築かれていない。



●神話生物爆発計画について
神格に相当する神話生物を物理で解決するにはどうすれば良いかと考えた結果です。
このシナリオ自体、元々は「神話生物を爆破したい」という願望から生まれました。
異世界もどきなのは爆発させても問題のない場所を作るためです。
キーザを選んだのはマレモンを無作為に開いたら出てきたからです。
こんなにややこしくなるなんて全く思っていませんでした。



●移動時間の参考例
シナリオ製作者がテストプレイで設定した移動時間。
・町のバス停~鍾乳洞:バス20分
・鍾乳洞入口~最奥:徒歩30分(往復1時間)
・駐在所~町外れの館:車30分

探索者5人、常に2手以上に分断、追加NPC四条千秋の助力あり。
これで制限時間ギリギリでした。
よって探索者の人数が少ないほど、移動時間は減らすことを推奨します。



○ゆるきゃらの設定(とてもどうでもいい内容)
*仁王立ちダイナソー「あづっきぃ」
亜月町の初代ゆるきゃら。亜月町を復興させるために三日月の夜に復活した恐竜。
発注ミスで言葉に出来ない目をしているがそれが人気らしい。
中の人の仁王立ち癖がそのままチャームポイントになった。
必殺技は「ギガムーンスラッシュ」、突き刺さっている三日月で敵と一刀両断する。
中の人NPCは「上坂一郎」、町役場職員。
(「上坂一郎」は、シナリオ旧版にて赤五鶫と同じ立ち位置で登場します。)
イメージボイスは大塚明夫氏風の渋いダンディな声。

*黄金の発酵大豆マン「ハッコパトラ」
発酵のしすぎで黄金とは程遠い紫になってしまった哀れな大豆の妖精。
その発酵力を示すかのように、両手には大量の糸引く納豆が絡みついた巨大な箸を携えている。
必殺技は「ソイ・スティック・ニードル」、両手に携えた納豆まみれの箸で突き刺し敵を発酵させる。
町的には大豆にも納豆にも恨みはないが、小豆がいるなら大豆でいいかとなった。
大豆といえばなんとなく黄金というイメージからクレオパトラっぽさをいれた。
中の人NPCは「赤五鶫」、町役場職員。
イメージボイスは大塚芳忠氏風のアメリカ映画の悪役的な吹き替えの声。

*月まくりマン「ズッキーニ」
たぶん月の妖精なので、みんなをやすらかに寝かしつける為に枕をもっている。
敵が来たらこれで殴る。
必殺技は「月抜けまくら」、小豆枕を宇宙的速度で打ち出し敵を突き抜く。
町としては小豆枕を売りたくなり作られた。作成時期はハッコパトラと同時期。
中の人NPCは「四条千秋」、何しているんですがニャル様枠。
イメージボイスは緒方恵美氏風の中性的で透き通った怪しさのある声。

実は3体のゆるきゃらは元々兄弟。
長男「あづっきぃ」、次男「ハッコパトラ」、三男「ズッキーニ」だ。
3体とも亜月町を守り、発展するべく生まれた
ところが、同じ亜月町をまもるべく生まれたハッコパトラだったが、大豆が発酵しすぎてアクに染まってしまった!
この事実を知っているのは兄のあづっきぃのみ。あづっきぃは単身でハッコパトラの離反を引き留めようとした。
しかし、ハッコパトラの発酵力は凄まじく、あづっきぃは力届かず、ズッキーニも片目を失ってしまう。
弟を失い敵対され、それどころかズッキーニまで守れなかった。絶望に三日月が食い込むあづっきぃ。
そんな兄を見てズッキーニはある行動をとった。
真横に突き刺さる三日月のクレーターで目を模して平静を装い、健気に立ち上がったのだ。
弟の力強い生き様に元気づけられたあづっきぃ。共に手を取り立ち上がる。
そうだ、まだ終わっていない……俺たちの戦いはこれからだ!
行けあづっきぃ! お前がやらなきゃ誰がやる!

「ボクにハ…もう殴れないヨ…きぃ兄…」
真実を知った時、ズッキーニのあずき枕が地に落ちる。

(ゆるきゃらショー「あづっきぃ&ズッキーニ ~立ちはだかる黄金の発酵大豆マン~」より)

▽修正にあたり(2016/03/20)
今回の修正で追加されたゆるきゃらについて。
「ハッコパトラ」と「ズッキーニ」のデザイン案はコトナさんに依頼して作成して頂きました。
イメージ画像はデザイン案を元にシナリオ製作者kaninが描いたものです。
コトナさん、素晴らしく最高なゆるきゃらデザインをありがとうございました!
書き出しておいてなんですが、作者自身が一番わけがわからなくなっています。


 

17:参考・引用(敬称略)


クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPG
マレウス・モンストロルム
LA BIBLIOTECA DE PNAKOTOS:http://labibliotecadepnakotos.blogspot.jp/

 <地図参考>
龍河祠:http://www.ryugadou.or.jp/index.html
洞川温泉http://www.dorogawaonsen.jp/
FF12シナリオアルティマニア


***ここまで読んで頂きありがとうございました。***
(2014/05/20) シナリオ製作:kanin(http://kanin-hib.hateblo.jp/
(2014/06/05)テストプレイ修正
(2016/03/20)追記・修正(NPCの変更アリ)