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CoCシナリオ「焦がれ逝く願い」

「焦がれ逝く願い」(こがれゆくねがい)シナリオ概要ページへ戻る
※死亡探索者用のシナリオです※

01:はじめに


このシナリオは「クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPGー」に対応したシナリオです。
舞台は見知らぬ学校、推奨人数はKPとPLのタイマン方式。
簡単な探索をする程度で、推奨技能はありません。

<※注意※>
本シナリオはロスト探索者の復活シナリオではありません。
あくまで一時的に再会するシナリオです。
推奨は死亡した探索者同士。少なくとも片方は死亡していることが前提です。
なお、作者はこのシナリオを通過した後に継続させることを想定していません。
よって両者とも死亡していることが望ましいです。
どこかに魂が囚われてしまっている探索者は、本シナリオには投入できません。

アニメ「Angel Beats!」の二次創作的パロディ要素を含みます。
原作のアニメを見なくても進行可能ですが、ネタバレを含むのでご注意ください。
時間軸は作品の最終回から暫くした後、世界観はほぼそのままです。
Angel Beats!」の主人公が、世界に招かれた新人死者への説明役としてシナリオ背景に登場します。


__________<※開始前に共有する情報※>__________
1)事前注意
KPは死者しか投入することができません。
PLは死者と生者、どちらでも投入可能です。
死者の場合、SANゼロ以下の状態であっても問題はありません。
ただし生者を投入する場合は、クリア後にそれなりのペナルティが発生します。
正気度の残存量によっては探索者の引退も覚悟してください。
並びに、正気度ゼロ以下の期間があまりに長いキャラクターも投入は出来ません。

2)投入する探索者の変化
探索者は13~18歳までの学生となって行動します。年齢と学年は任意の値でかまいません。
技能値の変動はなく、学生化による能力値の変動はSTR、CON、SIZのみです。
SIZの変動値はPLがこの年齢ならこの程度だったと思うSIZです。
年齢が大きく変化しないのであれば、元の値でも構いません。
STR、CONは上昇はしませんが、元の値か任意の値まで減少できます。
40歳以上の探索者だったならば、減らした能力値を元の値へ戻しても構いません。

3)開始前に決めておくこと
KPとPLは最初に、死んだ探索者が【死期に相手に対してPCが後悔したこと】を書き出してください。
まだ生者の探索者を投入するPLは【相手の死を知った事でPCが後悔したこと】を書き出してください。
小さな紙に簡潔に書く程度で、長くても【30字前後まで】でお願いします。簡素な分には構いません。
書いてもまだ相手には見せず、提示を求める場面が来たら相手へ提示してもらいます。
(例)「○○ともっと話したかった」「○○に××を渡したかった」など)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

02:あらすじ


誰が作ったかも分からない、存在が曖昧な奇跡の世界。
そこに紛れ込んだのは、思い果たせなかった者たちだった。
彼らは抱えた思いを胸に、願いの種を芽吹かせるべく日々を重ねる。
芽吹き開くものが、美しい花とは限らない未来を抱えながら。

 

     ( 目 次 )

     01:はじめに
     02:あらすじ
     03:背景
     04:導入
     05:初対面の再会
     06:学校探索
     07:真実の記憶
     08:干渉者の選択
     09:世界の選択
     10:生者の生還
     11:プロット
     12:その他補足や裏話
     13:参考・引用(敬称略)


 

03:背景


●世界観
二人が招かれた場所は、報われなかった人たちの願いと奇跡から生まれた世界。
そんな人たちが居る限り、存在、再構築され続ける。
死も老いも、終わりもない。あるのは魂持つ人々の願い。
そしてこの世界の存在理由は、生前の後悔した無念を晴らす事にある。
本来であれば無念が晴れることでこの世界を卒業できるが、現在は状況が変わっている。
更に探索者たちは記憶を失った状態でこの世界を探索することとなる。

ここでの「死」は「かなり苦しい」と言うだけで本当に死ぬということはない。
2、3回の死を体験する頃には存外慣れてしまう、ある意味で恐ろしい世界だ。
逆に気軽に死ぬ事で、後に自分の死の理由を受け入れやすくなるかもしれない。

世界を構成する一つとして、「魂なき人間」が居り「NPC」と呼ばれている。
NPCたちは生活を彩るのに必要な人間関係を築いてくれるが、行きすぎた平凡さは刺激を生まない。
基本舞台は「学校」なので、NPCは所謂「一般生徒」「一般教師」ともされる。
全員が「魂なき人間」と言うわけでなく、「魂ある人間」もおり、探索者はこちらに分類される。
この世界の体は記憶を鋳型にして構成されているため、経験していない年齢の姿にはなれない。
ただし、経験したシナリオで性転換や年齢変化などをした探索者であれば、その時の姿で投入可能である。

「魂ある人間」と「魂なき人間」は見るだけでは判別が着かない。
顕著に違う点は、「自ら協調性を乱そうとしない事」と「死に対して無関心」という性質だ。
前者は、魂ある人間は校舎の窓ガラス全部を割ろうと思えば割れるだろう。
それに対して、魂なき人々は自発的には絶対にできない。
後者は誰かが車で跳ねられても、当たり前のように復活するとして大騒ぎしない。
自殺したものがいても、そんな時もあるよねと軽く流す。
なお操られでもしない限り、自らの意志で自殺しようとする事もないだろう。
自発性がなく協調性しかない、まさしくなNPCだ。
逆に協調性を乱すものがいれば、多少の抑止力として教員や生徒指導員が介入したりもする。



●背景
とある騒ぎがきっかけで、この世界に住まう魂ある人々が一斉に消える事件があった。
奮闘の末に事件は収束を迎えるも、魂ある人々も最後の一人だけになっていた。
そんな折りにやってきたのが、現世でロストしてしまった探索者である。
この時点では探索者は全ての記憶があったのだが、後に別の件で記憶を失ってしまう。
最後の一人だった青年は、探索者へ簡単に状況を説明した後に安心するように消えていった。

青年は新人の行く末を安じて、一番無念に思っている事や願いを紙に書いておくように提案している。
ここでは長い時間を過ごす人間も少なくないため、記憶が薄れてしまう危惧も考えたからだ。
彼はロケットペンダントを渡し、無くさないよう書いた紙はその中へ入れておくように教えた。
探索者はその通りにしたが、このペンダントは現在手元にない。



●創造する力
ここは無生物の創造が容易い世界であり、唯一作れないものは命のみである。
物質に対してのノウハウがあれば土塊から銃でもナイフでも作れる便利仕様だ。
青年が用意の良すぎるロケットペンダントを渡せたのもこの力の賜物である。
とは言え万能と言う訳でもなく、全く分からないものはハリボテ程度にしか作れない。

判定を行うならば、日用品なら《知識》、専門用具ならそれに応じた技能をロールする。
ナイフ程度なら特殊な形でなければ《知識》ロールで構わない。
拳銃を作るのであれば《拳銃》でロールする。
専門書籍を見てロールするならプラス補正を加えることも可能である。



●干渉するもの
神様の仕業かどうかも怪しいこの世界は、あまりに曖昧で、普通の次元的認識とはずれた場所にある。
(世界の構成についての詳細は【07:真実の記憶―●「神の子」との遭遇】にて)
干渉できる唯一と言える存在は、次元その身の一部とせしもの「ヨグ・ソトース」
奇妙な世界の存在を観測した外なる神は、一粒の魂をこの世界へ落とした。
魂は一つの存在となり、ヨグ・ソトースの分身でもある「神の子」となった。
分身と言っても細胞の一部を切り離した、微細な切れ端程度の存在にすぎない。
万能な力を持つわけではないが、人間からみれば万能に見える力を有している。

神の子による世界への干渉方法は、「魂ある人間」を殺しては記憶を奪うと言うものだ。
記憶を奪う度合いは様々で、すべて奪うこともあれば、一部を残して記憶を改竄することもある。
世界を構築した原因の一端であろう魂ある人々に変化を起こし、世界の変化を見届けようとしているのだ。
探索者は最後の青年が居なくなった後に、神の子によって殺され記憶をいじられている。
(詳しい流れは【11:プロット】にて記載)



●神の子の姿
神の子はシナリオ内では主に「魂なき者」のふりをして世界に潜んでいる。
魂を自由に移動できる能力があり、この世界に来たときからNPCの体を奪って行動している。
また、用途に合わせて新しい入れ物を入手しては、魂の入れ代わりを行っている。
NPCこと魂なき人々は元より魂がないため、入れ代わるには扱いやすい。
反面、一度でも体を奪ったNPCは再び動き出す事がない。
そのため新しいNPCの姿を使う度に、前のNPCの存在は空席になってしまう。
NPCと言えど表面上は普通の人間と変わらない。
入れ代わったばかりのうちは、一般生徒たちは噂を立てる。
「最近○○を見かけなくなった」「最近の○○は雰囲気が変わった」といった風にだ。



●探索者の姿
KP探索者はこの世界において生徒か先生、どちらかを選べる。(PLの探索者は生徒で固定)
生徒側にするならば若返らせる必要があるだろう。
中・高校生までで、13~18歳まで選べる。学年は混じっても構わない。
ただし知らない未来を形にはできないため、加齢させることはできない。
先生とするには若すぎる場合は教育実習生でも構わない。十代ならば生徒で固定だろう。
能力値の変動は混乱を防ぐためSTR、CON、SIZだけである。



●記憶と正気度の扱い
開始時のこの世界での経験差は、KP探索者は1ヶ月以上、PL探索者は初日となる。
開始時の記憶は、KP探索者はほぼ喪失、PL探索者は相手か自分がロストしたシナリオ直前までしかない。
正気度はKP探索者は初期値、PL探索者は該当シナリオ開始直前まで回復する。
記憶が戻った時に大きなSAN変動があるならば、場合に応じて[POW対抗]などで狂気判定すれば良いだろう。


▼正気度ゼロ以下の場合
シナリオ中に正気度がゼロ以下になった場合、一度心停止してしまうが暫くすると再び生き返る。
生き返れる安堵感から(1D6+4)の正気度回復が行える。
そのため、シナリオ進行中に正気度がゼロ以下になることはない。

シナリオ開始前より正気度ゼロ以下であった場合、記憶が戻る事で正気度がゼロになる場合がある。
正気度喪失したきっかけが自分や相手の死によるものであったなら、上記と同じく回復が行える。
神話生物の目撃やその他の要因であるならば、心停止後に目覚めるときっかけとなった記憶だけが抜け落ちている。
よって正気度ゼロになる直前のSAN値までで刺止められる。
ただし、代わりにPOWが(1D3)減少する。このPOW減少が回復することはない。
もし違和感を感じて本人が思い出そうとしたなら、[POW×1]が行える。
成功するとトラウマを思い出し、正気度ゼロ以下となって狂気で苦しんだ後に心停止して倒れる。
時間経過により蘇生するが、また記憶は失われて正気度は元に戻っている。こちらもPOW(1D3)減少は発生する。
一時でも完全に正気を失う現場を見てしまった相手は、場合によってはSANチェックを行ってもいいだろう。
なおPOWが2以下になった時点で、その探索者は人間の精神の最低値を下回ったことになる。
そのためまともな精神は維持できず、探索者ですらないため理性的な行動(主に技能ロール)は行えない。

神の子によって記憶を全て戻された後も、正気度ゼロの原因となった記憶だけは抜き取られたままだ。
これは神の子が今までの観察結果から、正気度が全てなくなることを良く思っていないからだ。
神の子は魂持つ人々がトラウマを持つが故に、時折NPCたちよりもつまらない存在になる事例を見ている。
数の少ない観察対象が、まともに動かない人形になるのは彼の望むところではない。
モルモットの管理も、彼の仕事のうちである。


 

04:導入


 <※KP情報※>
この世界は縁深い故人が自分の魂を犠牲にすることで、探索者が招かれているという設定があります。
冒頭の会話は、探索者にまだ続ける意志があるかを故人自身が判定している様子です。
また、最初に冒頭シーンを加えることで、開始時に初めて来たかのように錯覚させる意図があります。

 <KPとPLの共有情報>
探索者は今は亡き縁深い人物と会話をするシーンが入ります。
ここでの恩人に当たる人物は、シナリオで同行するPC以外で設定してください。
故人は恩師、祖父や祖母、或いは一時的にでも仲が良かった友人など、上記以外であれば誰でも構いません。


●世界の招き
探索者は不思議な空間にいる。例えることができない、例えようと思わない、不思議な場所。
そこでは貴方と、生前に関係の深かった故人とで和やかに話をしていた。
貴方も故人も、何を話しているかはぼんやりして意識できない。
すると生前の恩人はすっと手を挙げ、ある一点を指さした。
「いってらっしゃい」
その一言だけを残し、恩人は居なくなっていた。
悲しみは沸き起こらず、静かな期待を胸に探索者は指し示された場所へ歩を進めた。

………… ………… ………… ………… …………
(※シナリオ上では1ヶ月以上が経過している※)
………… ………… ………… ………… …………

目をゆっくりと開く。空が暗く、星が瞬いている。
何故自分がここにいるのか、ここはどこなのか、全く分からない。
寝転がっていた芝生から起き上がり、生け垣の向こうへ出る。
硬そうな砂場に白いラインが引かれ、高いフェンスが辺りを囲っている。
どこか覚えがあるその光景は、よくある学校の校庭だと気付く。背後には立派な校舎まで建っていた。
自分の体を見れば、見覚えのない学生服を着ている。
月明かりに照らされた校舎の窓で自分を確認すると、自分の記憶とは違う顔をしていた。
若返ったと言うよりは幼さが戻ったようで、十代頃の顔つきと背丈をしているのだ。

―――――<※この時点でのPLの探索者の状況※>―――――
探索者は既に開始前情報で決めてもらった学生の姿になっています。
記憶は相手か自分、どちらかが先にロストしたシナリオが「開始される直前」までしかありません。
つまり相手が死んだ事実と、自分が死んだ事実を覚えていません。
よって、正気度は該当シナリオが開始される直前にまで回復しています。
______________________________

辺りを見回すと、校庭の中央には誰かが立っている。
どこか見覚えのある顔つきは、あなたがよく知るであろう人だった。
名前を呼びかけ近づくと、振り返った相手は軽く肯定するだけで、無表情にじっと見つめながらこう言った。
「夜間外出は校則違反」
同時に、胸部に鋭い衝撃と、痛み越えた熱が走る。
心臓から血があふれている。息ができない。
意識が遠のく最中、相手の手に握られていたのは自分の血で赤く染まった大きな刃物だった。


 <※KP探索者の状態※>
*記憶がほぼ無く、自分の名前だけを覚えている程度。
 自分の素性も、相手のことも、死んだことも覚えていない。
 技能的な面は無意識的に覚えており、技能値の変動はしなくても構わない。
*時に世界の均衡を守る名目で、PL探索者を容赦なく殺すだろう。
 ここは足を挫いてコンクリートの角で頭をぶって死んでも「おっちょこちょい」で済む世界。
 よって死への倫理が低くなっているせいで、ツッコミを入れる感覚で殺したりもする。
 とは言え相手に殺すのはやめるよう説得されれば、簡単にやめる程度の意志だ。
 痛いものは痛い。それは本人もよくわかっている。


 

05:初対面の再会


探索者の目が覚めると、白い天井に白いカーテンから日光が差し込み部屋を照らしている。
ベッドに寝転がりながら辺りを伺えば、清潔な雰囲気漂う保健室だと分かる。
時間は昼過ぎ。午後の授業が始まるチャイムが鳴り響いている。
なお上半身は脱がされて包帯が巻かれているが、刺されたはずだと言うのに外傷は全く見あたらない。
傍らには自分が刺されたことを示すような、真っ赤に染まった学制服が置かれている。
制服を見た瞬間、突然の死を実感して(1/1D4)のSANチェックが発生する。

SANチェックが終了した所で、探索者を刺した張本人(KP探索者)がやってくる。
刺した事へ悪びれる様子はあまりなく、当たり前のように新しい学制服を差し出す。
PL探索者が改めて名前を聞いたならば、知った通りの名前を答える。
しかし記憶が無いようで、二人の思い出話をしても首を傾げるばかりだ。

PL探索者が必死になって自分たちの過去のことを伝えても、本人はまだそのことを思い出せない。
しかし、KP探索者はその思い出に興味を持つことはできる。
不確かな行動理念しかなかった人物からすれば、一緒に行動を共にしてくれる仲間は安心できるだろう。
記憶を思い出すために、一緒に行動する意志を持つには十分な理由だ。
二人の出会い直しは、お互いの知らなかった一面をみることになるかもしれない。



●説明できる事
KP探索者は記憶がないとは言え、何も知らないわけではない。
日数換算すると、1ヶ月前からこの学校にいる覚えがある。
よってPL探索者よりはこの世界について先輩であり、ある程度のルールや構造は把握している。
説明を渋るような人物でなければ、聞かれれば素直に答えるだろう。
元来の嘘つきや煽り屋ならば、存分に焦らすなり騙すなりしても構わない。
(やりすぎは良くないので、進行に問題がない程度にしましょう。)
或いは、相手があまりに生意気なら再度刺殺しても構わない。
死ぬかと思ったと言われたら「死んだんだよ」と優しく返して上げよう。


▼出会い頭の刺殺について
KP探索者は「現在の自分はここの生徒(或いは教師)だ」と答える。
自分は魂を持たない人々(通称NPC)に規律をつくらなければならない役をしている。
規律の実行。それしか自分を示すものがなかった故に、出会い頭で刺し殺してしまった。
「本来なら魂持つ人々にはする予定では無かったはずなのに……?」
「まるで暗示のように、”掟破りは殺せ”と頭にあった。」とやや困惑気味に続ける。
相手を刺した直後、突然頭が覚醒したような感覚になって慌てたそうだ。

また、一見してNPCと魂のある人たちは見分けが着かない。
それほど、NPCたちは普通の人間と変わらないのだ。
最初に相手を殺したのは、NPCと勘違いしたためである。
そこまで伝えたら、KP探索者は「ごめんなさい」と謝罪する事になるかもしれない。


▼この世界について
この世界に死は無く、死ぬような目に遭っても「とても痛く苦しい事」と言うだけになる。
細切れになっても、摺り下ろされても、時間はかかれど本当に死ぬことはなく、必ず生き返る。
ただ、とても痛い。ところが人間不思議なもので、慣れてしまうと存外平気だと言う。
KP探索者も「自分も何度か死んでみたが、存外早くなれた。」と答えるだろう。
「記憶がないのは数回死んだショックのせいかもしれない」と零す。
ただ、どうして死のうと思ったのかは思い出せない。


NPCについて
学校では他の生徒や教師も普通に生活している。
とてもよくできた、魂のないひとたち。一部では「NPC」と言われていたらしい。
彼らには自分の意志のようなものがない。日々規律通りに動いている。
「規律に反したNPCは欠陥(バグ)の元だから、自分はその規律を守らせる側にいなければ」と言われた。
誰に言われたのかは分からない。正しいのかも、間違っているのかも、思い出せない。


▼魂ある人々
NPCではない人たちについて聞くと、”KP探索者だけ”はあることを思い出す。
ここに来たときに話した、NPCではない、一人だけ居た「魂ある人」についてだ。
何故忘れていたのか定かではないが、今は話を進めるだろう。

比較的最近、魂のある人たちは一気に消えてしまったらしい。
偶然会って話をしたのは、消えた面々の中でも最後の一人であった青年だそうだ。
彼は「俺には時間がない」と言って、少しだけ自分にこの世界の事を伝えてくれた。
(※ここが死んだもののための世界であることは覚えていません)
自分たちには魂があること、魂のないNPCのこと、自分たちは死なないこと。
そして「この世界は、決して自分たちを苦しめる場所じゃない」と。そう言って彼は消えていった。
どこへ行ったかは分からない。ただ、とても満足そうに「あいつが待っている」と言って消えてしまった。

PL探索者が「ここの規律を守る役を押しつけたのは、そいつなのか?」と聞くと「違う」と答える。
彼は「規律を守れ」とは言わなかった。寧ろ「破りたいなら好きなだけ破れ」とすら言っていた。
どうして今まで思い出せなかったのか、KP探索者は不思議に思うだろう。


▼願いの紙
魂ある人について話したところで、KP探索者は更に思い出すことがある。
「自分の願いを書いた紙があった気がする。」と言うのだ。
曖昧な記憶よりは確かな記録、それを見れば自分は何か思い出せるかもしれないと考えるだろう。
ただ何故そんなものを書いたのか、何を書いたかまでは思い出せない。
手がかりは<願いの紙はロケットペンダントに入れた覚えがある>だけ。


 

06:学校探索


●学校案内
話が終わる頃には、すっかり放課後の時刻になっているだろう。
また保健室で夜を明かすわけにはいかないため、PL探索者は学生寮へ案内される。
割り当ての部屋に案内されると、プレートには既に自分の名前が記されている。
屋内は生活感が感じられる部屋で、同居人はいないはずなのにチラホラと物も置かれている。
それら全ては探索者自身が選び、使っていたかのように馴染み、来たばかりの部屋とは思えない。
学生寮は男女別で、近くには職員が泊まる棟もある。
男女別ではあるが、実のところ監視員は適当なので同室でも全く問題ない。

ほかにも探索者が通う教室や図書室、誰も来ない校長室なども。
校長室は前の先輩たちがここを拠点に色々しでかしたらしく、誰もおらず、誰も来ない。
学食へ案内すると、死なないとは言えお腹は減るので、飢餓を起こさないようにと注意を促すだろう。
お金はどうするのかと聞かれたら、毎月一定で仕送りが来るシステムがある。
追加がないので計画的に使うよう注意する。また、多く欲しいのであればバイトもできる。


 <※KP情報※>
【創造する力】を使えば金銭も作れるが、相手に堅実に生きて欲しいのであれば教えない方が得策だ。
導入で相手を刺した大きなナイフもこの方法で作られている。
ナイフはどうやって入手したのかを聞かれたのなら、答えなければいけないかもしれない。
KP側がノリの軽い探索者なら、簡単に教えるかも知れないし、言うのを忘れるかもしれない。




●願いの紙の探索
この段階では日数に制限はない。
授業をサボって探索しても、律儀に授業へ出てから放課後に一緒に探しても良い。
あえて探索をしない日を作って、のんびりしても構わない。

▼手がかりのある場所の設定
KPには3カ所の場所を設定してもらう。
【KP探索者に縁深い場所】、【KP探索者が試しに自殺した場所】、【PL探索者が一番行きたい場所】

*KP探索者に縁深い場所
 スポーツ選手ならグラウンドや体育館、医者なら保健室、芸術家なら美術室、ミュージシャンなら音楽室。
 他にも学者なら図書館や理科実験室、放浪者なら屋上など、KPがここだと思う場所を設定する。
 校内だけでなく、近くには山や川、小規模の商店街もあるのでそこでも構わない。

*試しに自殺した場所
 屋上から飛び降りたなら屋上、溺死を試したならプールなど、死ねた場所ならどこでもOKである。
 自室で首を切ったことにしても、ロストした要因に近いものと絡めても良い。
 KP探索者が選びそうな死に場所を設定してもらう。

*PL探索者が一番行きたい場所
 PL探索者にどこへ行きたいか聞き、最初に選んだ場所。
 先に設定していたKP探索者の場所と被ったようならば、もう一カ所別の場所を設定する。
 若しくは、一つの場所で二つの情報を出しても問題はない。

どこをどの順番で調べても得られる情報は変わらない。
円滑にしたいならそのまま候補場所を伝えるか、《アイデア》を振らせて場所の情報を伝えても良い。



▼得られる情報
<1カ所目>
《目星》に成功すると<めぼしいところは粗方探したが、何も見つからない。>
場所にもよるが、散々探し回ったならそれなりに時間が経過するだろう。
一息入れようとしたところで<誰かにみられている気配を感じる。>
《追跡》に成功すると、追いつく事はできないが少しだけ姿を見れる。
<追跡した者の後ろ姿はここの生徒と同じ制服を着ていた。>

<2カ所目>
《目星》に成功すると<ロケットペンダントを見つける。>
ところが、中身は何も入っていない。
KP探索者は見覚えがあると分かるが、PL探索者もこのペンダントに既視感を覚える。
ロケットペンダントの見た目は、金メッキ塗装で蓋に四つ葉のクローバー模様があしらわれている。
見つけた場所に長く置かれていたのか、土にまみれていたり、埃が被っていたりする。

<3カ所目>
《目星》に成功すると<同じロケットペンダントを見つける。>
中に小さな紙切れが入っているが、書かれている内容は願いとは全く違うことだ。
そこに書かれているのは<一番最初に調べた場所について>である。筆跡はKP探索者のもの。
試しに一番最初に探索した場所を再度調べると、前に調べた時にはなかった【紙の箱】を発見できる。

 <※KP情報※>
【願いの紙】を探す時に2回探さないと発見できなかったのは、神の子の仕業である。
最初の視線は二人の行動に目を配らせていたことから。
【願いの紙】は探索者たちが忘れてしまった過去に、探索者自身が隠したものだ。
神の子は探索者が何かを隠していた事は知っており、再び探し始めた事で目を付けた
また、この時点で【願いの紙】には特殊な呪いがかけられてしまっている。



●蘇る記憶(記憶の返還①)
【紙の箱】は折り紙のようにして作られており、何の変哲もない紙だ。
箱をあけると中には<2枚の紙が入っている。>
一枚は【KP探索者の書いた願いの紙】、もう一枚は【PL探索者の書体で書かれた願いの紙】である。
PL探索者には、【願いの紙】を書いた記憶はない。
しかし筆跡と願いの内容を確認すれば、自分のものであると確信するだろう。
これを開いた時点で、【お互いがシナリオ開始前に決めた「後悔したこと」を公開する。】
紙に書かれた内容は、公開した内容と同じとする。
並びに、この内容を見ると全てではないが、二人はある記憶を思い出す。


<KP探索者の記憶①>
 相手か自分、先に死んだ方の死のきっかけとなったシナリオの”開始直前まで”の記憶を思い出す
 よって該当シナリオ開始前のSANと同じ値になる。これによる発狂はない。
 つまり相手のことを思い出すが、自分が死んだことには気づいていない。
 もし死んだきっかけとなったシナリオで相手と出会ったのであれば、まだ相手のことは思い出せない。
 ところが、奇妙な記憶として【PLの探索者と一緒に、願いの紙を書いた記憶】が蘇る。
 二人が一枚ずつ願いを書き、それぞれのロケットへ入れ、自分自身で所持するよう二人で決めた記憶。
 この世界で相手と出会ったのは最近で、自分はもっと前から居ると近い記憶にはっきりと語られる。
 よって奇妙な記憶の錯乱に(0/1D3)のSANチェックが発生。


<PL探索者の記憶①>
 現実世界で相手が死んだこと、同時に自分が死んだ事まで思い出す。
 しかし、実際に体験した死の内容とは別の記憶にすり替わっている。
 死亡理由が他殺や事故でなく<PL探索者がKP探索者を殺し、自らも自殺した>ことになっている。
 もし【願いの紙】に書かれた伝えたい事が謝罪であるなら、殺害した記憶の後押しになってしまうだろう。
 現実世界で死んだ理由が自分による殺害だというのなら、殺害方法が少し変わっているかもしれない。
 被害者本人に確認をとろうにも、当人は記憶が戻っていないため確認しようがない。
 なお死亡理由が書き換えられているため、上記SANチェック以外の正気度変動は起こらない。

『渦巻く狂気に取り囲まれた記憶に、内側から撫でくり回される。
 恐怖の狂気から逃げなければ、このまま絡め取られてしまう。
 体が重い。こんなものがあるから逃げられないのだと、手近なもので切り落とし始めた。』
『誰かがそれを邪魔する。よく知る君が自分の邪魔をする。
 そうだ、置いていってはいけない。君も一緒に逃げよう。』
『力を込める これで逃げきれるはずだと 狂った光を掴まんとせんばかりに
 圧を強める これで救われるはずだと 絡まる希望を雁字搦めにして
 自分の口角がつり上がる これで貴方とはずっと一緒だと期待しながら』
『首の骨のどこかが折れた感触が伝わり、思わず手を離した。
 離したにも関わらず、相手は息を詰まらせる苦悶に首をそらしている。
 過ちに気づき近寄るも、途端に苦しみが途切れたように、その人の体も脱力していった。』
『何をしたのかよく分からない。
 皮膚には血流が抗っていた感触と、命の名残が自分の体温と解け合っている。
 ここに君はもういない 自分もはやく会いに行こう
 サカサマの世界を最期に、記憶は途切れた。』

 相手を殺し、自分も死んだ事実を突きつけられた事で(1D6+1/1D10+2)のSANチェックが発生する。
 死の記憶によりSANゼロ以下になってしまった、或いは既にゼロ以下だったならば一度心停止してしまう。
 暫くすると再び生き返り、今は相手が生きている安堵感から(1D6+4)の正気度回復が行える。
 相手へ死んだ事実を話すかは自由。
 話したとしても相手はまだ記憶が戻っていないため実感が無く、SANチェックも発生しない。




●次への手がかり
【紙の箱】は折り紙状になっている。
内側をよく見ると<折り目から文字が覗いている>と気づく。
開いてみれば1枚の紙になり、<KP探索者の筆跡で文章が書かれている。>
KP探索者には【紙の箱】に覚えはないが、自分の筆跡であると判断はできるだろう。
紙には次のようなことが書かれている。

*【紙の箱】の情報
『目的は分からないが、自分たちの記憶を奪い殺し合わせている犯人がいる。
 NPCに気をつけろ。奴はその中に紛れ込んでいる。
 もし記憶を取り戻すなら、犯人を探すしかないだろう。
 相手も完璧ではない。変化のあったNPCは他のNPCが知っているはずだ。』


 

07:真実の記憶


●犯人探し
目的が犯人こと神の子を捜索する事に切り替わる。
一般生徒に聞き込みをすると、一人のNPC(神の子)について噂話が立ち始めている。
噂の一般生徒の名前は「神代 頼(かみしろ より)」
(能力値はKPが決定する。見た目が人間の範囲内の値で、ヨグ=ソトースより弱い程度ならOK)

その生徒は放課後に体育館倉庫に入る姿をよく目撃されている。
倉庫内を探索すると、地下へ繋がる床扉が設置されているのを発見できる。
なお入り口は変えてしまっても全く問題ないので、もし事前に探索した場所と被ってしまったなら変えてしまおう。

床扉を開くと長い長い梯子が地下へと伸びている。
地下道は一人で作ったとは思えないほど広大に遠くまで伸びているようだ。
とは言え先へ続く足あとが残っていることから、目的の人物の追跡は容易そうだと分かる。
どれほど歩いたのか辟易するほど進んでいくと、突き当りに「第2パソコン室」と書かれた扉へたどり着く。
室内は旧式の箱型コンピューターが、瓦礫となって山のように積まれている。
その一台へ腰掛けるようにして、神の子「神代 頼」が待ち受けている。



●「神の子」との遭遇
遭遇により得られる情報やイベントは大きく2点ある。
・神の子の目的
・この世界についてと卒業(脱出)する条件の公開
・自動気絶後に探索者の記憶が全て戻る


▼神の子の目的
「私の目的は未知から観測された次元間の虚無世界に生まれた空間への実験的干渉。」
「言うなればただの観察ですね。君たちは観測するためのサンプルとして目をつけました。」
「私自身は観察のために生み出された観測者Aといったところですね。」
「まあ、君たちが言う会社の末端職員みたいなものですよ。」
実験とは何か聞くと次のように答える。
「この世界が何を軸にして作られたのか。君たちに施したのはそれを知るための観察です。」

因みに気にくわなければ世界丸ごと破裂させる予定だったが、少々面倒な構造なので観察だけに留めている。
 <※裏設定※>
 この世界の万能性のシステムは積み重ねられた未練や無念によるものだが、原動力は別のものである。
 原動力は、アザトースが並行して幾つも見ている夢の世界同士が隣接した事で生まれる摩擦熱のようなエネルギーを使っている。
 人間の無限の欲が、大いなる存在から漏れ出た力の残渣に寄生しているようなものだ。
 アザトースがどこかで招来されると夢は覚め、世界は消える。つまりこの世界も永遠ではない。
 神の子が世界の破壊を避けたのは、破壊することでアザトースが目覚める可能性があるため。
 誰かが勝手にやる分にはどうでも良いが、自分で起こすのは気にくわないらしい。


▼この世界について
この世界の成り立ちについて、推測された一つの結論について話す。
「ヒトには輪廻転生という実証もされていない理論が存在するそうですね。」
「魂なんて物は個体差がある所謂エネルギーの集合体ですよ。」
「魂だけを引き継ぐシステムが本当にあるとしたら、それこそ概念個体の干渉無くしては成らない。」
「見えず理解が及ばぬものへ縋る習性。ヒトの想像力と欲望の力はなかなかのものです。」
「創造する力が加わるだけでこんな世界を狭間に生み出してしまうのだから、全く持って関心します。」
創造する力について話すと、ぼそりと何かを呟く。
《聞き耳》に成功すると
 <「その力が何から生み出されているのかは、知らない方がいいでしょうね」>と聞こえる。
探索者が聞き返しても、「さあ?」とすっとぼけるだけだ。


▼この世界と探索者の繋がり
無念を晴らせたとしても、この世界から卒業できなくされていると明かす。
「しかし固定する力があまりにも弱い。」
「『無念を晴らす』でしたか? こことの繋がりはそれだけで切れるようです。」
「ですから私は君たちを固定する杭を少し強めておきました。」
「折角見つけた番(つがい)の観察対象ですから、手綱をくくるのが定石でしょう?」
「あの紙も紐の材料にさせてもらいましたよ。」
「私が楔を解かなければ、紙は二度と無くすことはないでしょう。よかったですね。」

無くならない【願いの紙】を思い知らせるならば、次のような行動を行う。
神代は手始めに、探索者どちらかの【願いの紙】を知らぬ間に奪いひらひらと見せてくる。
徐ろに紙を破り捨てると、破かれた紙は透明化して消えてしまう。
すると、探索者の手に「カサリ」とした感触を伝えながら、破かれたはずの【願いの紙】が握られている。
探索者は理解を超えた現象に驚くことだろう。


▼記憶の返却
神代とある程度話し終わった所で、次の実験と称して記憶の返却が行われる。
なお、探索者は記憶を返された後、強制的に気絶させられる。

『今はこれ以上話すことはありません。次の経過を見れば話は別ですがね。』
チカチカと瞬き出した視界が、探索者の脳を突き刺す。
痛みを思わせる強烈な白光のチラツきは、意識も白く染め上げる。
周囲の光景が遠のく間際、ヒトの形を模した存在が声をかけてきた。
『嫌気が差したならば、次は屋上へおいでください。』
『気が向けば待っていてあげますよ。』

 <※KP情報※>
二人が昏睡状態から目覚めるのは約2~3日経過してからだ。
この間に神の子は、結末に関わるとあるシステムの復旧作業をしている。




●蘇る記憶(記憶の返還②)
PL探索者だけが昏睡状態から目覚め、記憶をすべて思い出している。
(この時点であれば、PL探索者一人だけで屋上へ向かうことも可能である。)
KP探索者が目覚めるのは半日遅れで、同じく全ての記憶を思い出している。

自動気絶から目覚めると、見覚えのある白いベッドで寝ている。
視線を巡らせれば保健室のベッドの上だとわかるだろう。
目覚めて暫くすると、様々な記憶の場面が蛍の光のようリフレインする。


<共通で思い出す記憶>
 この世界は<死んだ者のための世界>だと思い出す。
 「生前に強い未練を残し、生を終えたものの世界」なのだと、親切な青年に聞かされた事も含めてだ。
 KP探索者は元よりだが、PL探索者は自分も一緒にそれを聞いていたことを思い出す。
 自分はここで何をすべきなのか、記憶を思い出したことで路頭に迷うかも知れない。


<PL探索者の記憶②>
 死亡時の正確な状況を思い出し、相手を殺害した件は直接の死因に関係ないと気づく。
 また、殺害時の正確な原因も思い出す。
 真相は神の子による精神的に圧迫をかけられ、狂気に陥ったためだ。
 相手を殺すようにを唆かされ、選ばされた。
 しかし教唆されたとは言え、この世界で最初に相手を殺害したのは事実である。
 並びに事実を全て思い出したことで、死の直前のSAN値まで減少する。
 正気度ゼロ以下になったならば、場合に応じて回復か心停止による記憶の差止めを行う。

 生者の探索者であるならば、自分がまだ死んでいない事実も思い出す。
 トラック運転手の不注意事故に遭ったが、まだ生きており病院のベッドで寝ている。
 今は死の淵にたっており、早急に現世へ意識を戻さなければいづれ死ぬと察する。


<KP探索者の記憶②>
 自分と相手が死んでいるかどうかの事実を全て思い出し、死の直前のSAN値まで減少する。
 減少した値で、死んだ事実を突きつけられたことにより(1D6/1D10+2)のSANチェックが発生する。
 相手の死に関しては(1/1D6+1)のSANチェックを行う。生前中に済んでいるならば省く。
 死の事実によりSANゼロ以下になってしまったならば、一度心停止してしまう。
 暫くすると息を吹き返し、仮想的とは言え生きている安堵感から(1D6+4)の正気度回復が行える。


 

08:干渉者の選択


記憶を取り戻した探索者たちは、神代に示された通り屋上へ向かうことだろう。
二人一緒でも、一人だけで向かっても構わない。
「行かない」選択肢もあり、その場合は次の結末イベントへ移る。
条件は<PL探索者が目覚めた日が終わる>こと。
逆に言えば、屋上へ行くならば目覚めたその日以内でなければならない。

屋上へ来ると、扉を開けようとしたところで鍵がかかっている事に気づく。
探索者が四苦八苦していると、背後から神代が口笛を吹いてやってくる。
神代の手には鍵が握られているが、キープレートには「第2パソコン室」の文字。
開錠された屋上への扉を開けば、地下道のコンピュータールームへと繋がっている事に驚くだろう。
神代は気にすることなく、箱型デスクトップの一台に腰掛ける。




●神の子からの選択肢
神代は探索者たちへ、この世界を卒業(脱出)できる選択肢を与えてくる。
神代にとっては最期の観察実験の一環だが、探索者たちには大きな選択だ。
もしPL探索者が一人で来て、選択肢を二人で選びたいと言うようなら交渉が必要になる。
神代に対して《説得》か《言い包め》に成功する必要があるのだ。
失敗したのであれば、早く選ぶように強要される。
成功すれば、後日改めを了承してくれる。

神代が提示する選択肢は二つある。
世界から脱出する機会と、その機会を選ばない二通りだ。
それぞれが別の道を選んでもいいが、お勧めはしない。
箱庭の詳細についてどこまで開示するかはKP次第である。


▼選択1「神の箱庭」
「最後の経過観察を付き合ってくれた謝礼として、新しい箱庭へご招待しましょう。」
「箱庭は君たちの記憶を元に作られます。」
「まあ、新鮮さは薄いかもしれませんが、既知の世界である安心感はあるのでは?」

神の子が経過を見せてくれた褒美に”箱庭”を作ってくれる。
箱庭は二人で一つ。それぞれに望みの箱庭が与えられるわけではない。
どのような箱庭になるかの意向は、少しだけなら探索者の要望を聞くかもしれない。

『選択を聞き入れた神代は、部屋の扉を指し示す。』
『神の代行者は言った。「あの扉の向こうに貴方たちの望んだ箱庭がある」と。』
『扉を開けば、希望と虚無を内包した真っ白の光の壁がある。
 光へ手を伸ばすと、別の空気が感じられる空間に触れた気がした。』
『光の壁を抜ければ、自分の望む箱庭がある。』

今一度思考する。本当に箱庭を選ぶべきだろうか?
(KPはPLに最終確認をしてください)

『感じた迷いを振り切り、光の扉を潜り抜ける。
 視界に広がるのは、自分が望んだ世界。望んだ通りだと、思った気がした。
 箱庭とは名ばかりの鳥籠に収まることを選んだ貴方は、やがては作られた満足感に浸れることだろう。
 共に語り合い、楽しい日々を過ごす時間は続く。』

『刻限は二人で生きて来た人生が終幕を迎えるまで
 時が来れば 理不尽な死が二人を断絶する
 どれだけ足掻こうと どれだけ希望を持とうと
 死は理不尽を振りかざして命を刈り取る』

『繰り返される 悦びの再会』
『繰り返される 絶望の死別』
『何度でも 始まって 何度でも 辿り着く』
『心の繋がりを強くすればするほどに
 救えなかった 救われなかった 無念だけが積み重なる世界』

『嘆くことはない これは運命なのだから』
『恨むことはない どうせ君たちには何も出来ないのだから』
『気にすることはない その瞳に正気の光を無くす時間は 永久に比べればほんの一瞬だ』

これは生き返りではなく、探索者の記憶を元に作られた世界に閉じ込められただけだ。
魂はその箱庭に捕らわれて二度と解放されない。
一方で、魂が箱庭に固定されることで二人とも自分の意志をもって存在できる。
箱庭では常に出会いから始まり、一定の期間を経ては必ず理不尽な死別が訪れる。
記憶がなくとも必ず二人はどこかしらで出会い、仲を深めていく。
時には片方が記憶を残すこともあれば、両方が記憶を残して再会する周回もある。
あえて関わらないようにしようとしても、必ず仲を深めざるを得なくされてしまう。
その末に無慈悲な死が、場所を変え方法を変え、必ず二人を引き裂く事が定められている。
繰り返し続ける再会と死別日々は、二人の正気を確実に食いつぶしていくだろう。

よって選んだ者は永久的狂気エンドと同等の結果が与えられる。
それを幸福と思うか、不幸と思うかはその人物次第でしかない。
⇒【結末D「小さな箱庭」】



▼選択2「この世界に残る」
神の子からの提案を拒否するか、まだこの世界に留まり続けたいならば、この選択となる。
こちらを選択したからと言って神の子が機嫌を損ねることはなく、一つの結果として受け入れるだけだ。
並びに、選んだ時点でシナリオ続行となる。
後のイベントで、探索者は自分たちで納得する答えを見つけなければならないだろう。
なお、生者の探索者が現世に戻るにはこのルート後のイベントを乗り越える必要がある。

もし会わずに時間が経過した場合は、選択を拒否したことと見なされはするが、幾つかの弊害が残る。
一つは【願いの紙】に込められた呪いが解かれず、無念を晴らしただけでは世界を卒業できないままにされてしまう。
もう一つは、元に戻る方法を教えてもらえない。見た目が違うまま最後のイベントを迎えるしかないのだ。
なお退場時の会話がないため、次のイベントについての情報は置き手紙によって行われる。
手紙は折り畳まれてフェンスに結び付けられている。
 <置き手紙の内容>
『私から与える選択はこれが最後でしたが、待つのに飽きたのでさっさと帰らせていただきます。
 選ばないことも一つの選択としてはいいでしょう。
 呪いは残ってしまいますが、折角ですから青春を謳歌してみては?
 ですが、あまり時間はないようですよ。
 迷ったら、その部屋に行ってみればよろしいんじゃないでしょうか?
 ではまた、来世があれば会いましょう。』
フェンスには【第2パソコン室の鍵】もキーホルダーチェーンで一緒に括られている。



●干渉者の退場
留まる選択をしたならば、神の子が世界から退場する際にいくつかの情報が与えられる。

▼元に戻る方法
探索者の年齢を変化させていた場合、元に戻れる方法を与えてくれる。
戻る場合は二人で協力して行う必要があり、一人ずつ順番にやることとなる。
行うかどうかは選択できるので、元に戻る決定権は探索者同士の合意の上に委ねられる。

まず互いに目を閉じて、自分の元の姿を強く思い浮かべる。
相手にもその姿を思い浮かべて貰い、自分に触れてもらう。
どのような風貌であったかを口に出すRPを行うとやりやすいだろう。
相手は触れている内に、髪の長さが変化したり、身長が伸びたりするのを感じる。
お互いで確認し終わる程度に触れあったら、目を開くと元の姿に戻った探索者が居る。
途中で目を開いてしまうと視覚情報が逆に邪魔をして変化を止めてしまう。
また、両者の見た目の認知の差が大きすぎると、変化は発生せず元に戻れない。
そのため、二人の認識を共通させるようにRPを行わなければならない。



▼最後の干渉
探索者たちの観察は終了するため、かけられていた呪いは解かれる。
呪いを解いた神代は、最後の干渉を行う。
「その選択もいいでしょう。」
「最後に呪いは解いてあげます。」
「これで貴方がもうこの世界に留まる理由がなければ、この空間からはおさらばできます。」
「ですが、あまり時間はないようですよ。あと一日もあるでしょうか。」
神代は画面にヒビが走っているパソコンへ手を置きながら言葉を続ける。
「迷ったら”コレ”に聞けばいいんじゃないでしょうかね?」
「ではまた、来世があれば会いましょう。」

神代が部屋を出て行くと、扉が閉まる音と同時に風景は一転して屋上に移り変わっていた。
床には神代が持っていた【第2パソコン室の鍵】が落ちている。


 <※KP情報※>
神の子が最後に干渉したものは、この世界を改変できるシステムだ。
システムはとある人物の手によって派手に壊されていたものの、少しずつ自動復旧が行われていた。
神の子の干渉により、完全ではないものの正常に近い精度で起動できるようされてしまう。
起動してしまったシステムは、ここに残り続けようとする者に反応してプログラムを実行する。


 

09:世界の選択


以降は2番目の願いを貫いた探索者たちが迎える展開となる。
束の間の平穏が続くのは約半日間。最期に語らうには十分な時間だろう。
お互いに思い残すことはないと判断すれば、この世界からは卒業できる。
思い残すことがあればこの世界から出ることはできない。
また、居続けるという選択肢も用意されていない。



●無念を晴らす
神の子が呪いを解いたことで、探索者の後悔の念が晴れていれば世界から卒業できる。
無念を晴らすのに、願いの紙に書いたことをやり遂げる必要はない。
そこに書いた無念を晴らすほどの「達成感や充足感を感じた」のであれば達成される。
そのため判定は探索者を動かすPL自身にあると言える。
お互いに思い残すことはないと確認できたならばこの結末へ進む。

『役目は終わったとばかりに、願いの紙が燃え尽きていく。
 炭化した紙片は書き記した願いごと空気へ溶け込んでいく。
 まるで無念が晴れたことを示すようだった。』

(最期に一言交わしてもらう)

『聞き届けながらまばたきを一幕した』
失う感覚は与えずに、そこにいた二人の存在は世界から消え失せていた。
交わした言葉の余韻が、まだ空気を震わせている。
⇒【結末C「後悔なき別れ」】

 <※KP情報※>
結末描写後、エピローグ要素として【結末A「続く世界」】と同じ最後の描写が続く。
生者であったならばこの世界の理に沿う形となるため、死者と同じ扱いとなる。
よってPL探索者が生者であった場合、この結末を選ぶ事は死を選ぶことと同意になる。
KPはPLに「この結末は生還できない」と提示しても構わない。
生き返りたいならば、この後に待ち受ける試練を乗り越えなければならない。




●世界の異変
午後の穏やかな時間になると、突如として異変が起こり始める。
NPCたちが突然黒い影となり、探索者たちを襲ってくるようになるのだ。
黒い影に捕まると、魂は上書きされてこの世界に縛られるNPCにされてしまう。

日にちが経過するごとに、黒い影の出現数と頻度が上昇していく。
生徒があまり寄りつかない場所は、黒い影の出現率も少ない。
日中であれば、誰もいない校長室は一時的な安全地帯となっている。思い出せるかは探索者次第だ。
夜になると黒い影は身を潜める。
夜間外出禁止を律儀に守るNPCの習性が反映されたためだ。


▼イベント発生文章例
移動中、向かう先から叫び声が聞こえてくる。
「な、なんだコイツ!?」「キャアアアア!!」「くるな!くるな!!」
そんな叫び声が廊下に響かせながら、生徒たちが走り出てきた。

『そこに居たのは、黒い影だ。
 もやのように渦巻き、地面を這いずる、実体の見えない黒い影だ。
 その生きた影どもが、NPCたちをもやで絡め、飲み込んでいる。』

(以下は上記イベントから、続けられるトラップ)
一人のNPC女生徒が探索者たちの方へ「助けて!」と逃げてくる。
見捨てるならばそのまま逃げ出せばいい。
情け深い探索者ならば、手をとってしまうかもしれない。
なお逃げ切った後に、この女生徒NPCは黒い影に変容する。

『女生徒が地面に膝を付いて呻き出した』
『苦しみ、悶え、叫び 黒い影へと変容していく』
『最早そこに人の姿はない』
『いるのは 探索者を飲み込まんと怪しく光る目を向ける黒い影だ』
NPCが黒い影に変容する様を目撃した探索者は(0/1D3)のSANチェックが発生する。


★「黒い影」世界改変システムの兵士
STR:該当なし
CON:該当なし
DEX:1D6+4(5~10)
INT:システムに忠実な程度
POW:該当なし
SIZ:5~18に変幻自在
耐久:1ラウンドに6以上のダメージを受けると霧散する(ダメージ蓄積しない)
――――――――――――――――――――――――――
[武器]飲み込み 50%:ダメージ 魂を飲み込む
[正気度喪失]NPCが黒い影になる瞬間を目撃した場合(0/1D3)


▼黒い影からの回避方法
《隠れる》に成功すれば、自分は見つからない場所に潜める。
《隠す》に成功すれば、相手を見つからない場所に匿うことができる。
見つかってしまった場合、黒い影の[DEX(1D6+4)]と対抗ロールに勝てば逃げきれる。
黒い影の《飲み込み》標的にされたなら、《回避》成功で避けれる。
《受け流し》は武器を介したものであれば可能である。素手はからめ取られて逆効果となる。
各ラウンド以内に6点以上のダメージを与えれば霧散し、その場からは退散される。
攻撃による素手接触であれば、組み付き以外は有効である。


▼洗脳から救い出す
飲み込まれてしまった場合、直ぐに魂が飲まれるわけではなく洗脳時間が発生する。
時間は飲まれてから[1D6+4]ラウンド。
その間に無事だった探索者が呼びかけるRPを行えば、飲み込まれた者は[POW×3]を行うことができる。
この呼びかけの際に《説得》《信用》《精神分析》などに成功すれば[POW×6]でロール可能だ。
POW対抗ロールに成功すれば、魂が上書きされる前に影の中から手を伸ばし助けを求められる。
伸ばされた手をもう一人の探索者が引っ張ってやれば、完全に精神を奪われる前に救出成功となる。
救出された探索者は、しばらくの間は気絶状態となる。
もしPOW対抗にも全て失敗してしまったならば、探索者は完全に精神を囚われてしまう。

『何かが入ってくる』
『体内が 記憶が 精神が 侵されていく感覚』
『苦しい 怖い』
『痛みを伴わない苦しさが……』
『苦しさとは何だったろうか?』
『何も感じない 何も思えない 何も考えられない』
『もがき苦しんでいたはずの探索者は、事切れたように脱力し、影と一緒に地面に飲み込まれていった。』

翌日になると、飲み込まれた探索者はNPCとして学校に登校してくる。
もう一人が無事であったならば、語りかけ後に最後の[POW×5]が行える。
この対抗に失敗したならば、二度とNPCからは戻ることができない。
⇒【結末E「影に混じる」】

 <※KP情報※>
気絶中はとても平穏な日常を送る夢を永遠と見続ける。
当たり前の幸せの中で、ごく普通の日々を繰り返し続ける夢。
事件も怪異も何もない、作られた平和の中へと沈んでいく。




●発生源へ向かう
神代の言葉を思い出せば、コンピュータールームへ向かう事を思いつくだろう。
行くには体育館倉庫の地下道を通り「第2パソコン室」へ向かわなければならない。

▼神代の置き土産
地下道を通っていると、神代が今まで成り代わってきた大量のNPCの抜け殻たちを見つける。
道を阻み、登って乗り越えなければ先へ進め無さそうなほどの量だ。
前回通った時に見つからなかったのは、神代がカモフラージュを施していたからだ。
現在は神代自身が居ないため、カモフラージュも消えて丸見えになっている。
抜け殻の山を登り切って進もうとすると、すべてが黒い影に変容して襲い来る。
逃げ切るには[DEX7]との対抗に”2回成功”しなければならない。
(2回連続成功か、累計式にするかはKPが行い易い方で構いません。)
若しくは片方が囮となれば、影たちはそちらへ集中して一人だけ逃げ切ることも可能だ。

▼イベント文章
二人は生気のないNPCの山を乗り越え、改めて前へ進もうとするだろう。
すると、後ろからうめき声のようなものが聞こえてきた。

う゛う゛う゛う゛う゛

う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛

う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

『うめきは幾重に重なり、狂気的な叫び声へと変化していた。
 振り返った先の光景、それは……
 あの山となって連なっていた抜け殻たちが、次々と黒い影に変容していくさまだ。』
『その数は他で見た黒い影の比ではない。
 数多の影は一目散に自分たちの方へと、有象無象となって追いかけてきている。』
もしNPCが黒い影に変容する様を見ていなかったならば、(0/1D3)のSANチェックが発生する。


▼先輩の置き土産
《目星》に成功すると、<黒い影たちに紛れて【銃火器】が落ちている>のに気づく。
黒い影たちを掻い潜り入手するには、[DEX×4]に成功しなければならない。
失敗すると、黒い影による《魂を飲み込む》攻撃に晒される。
成功すれば、【銃火器】を入手できる。
 <入手できる銃火器
*手榴弾:個数(1D3)個
 <手榴弾/《投擲》%/ダメージ(4D6/4m)/使い捨て/耐久8/故障No.99>
サブマシンガン「トンプソン」:個数1丁
 <トンプソン/初期値15%/ダメージ(1D10+2)/射程20m/1又は連射/装弾数50/耐久8/故障No.96>


 <※KP情報※>
KPは時間配分を見て、このイベントを導入するか決定する。
黒い影の標的はKP探索者へと集中させよう。
このイベントの目的はKP探索者を気絶させ、PL探索者だけに最後の選択を委ねるためだ。
また、選択肢によっては攻撃力の高い武器が必要となるため、武器を入手するきっかけにもなっている。
よって必要なければイベントごと無くしてしまっても問題ない。
因みに偶然落ちていた銃火器は、探索者たちより前にいた魂持つ人々の忘れ物。




●世界を変える力
部屋へ入るには【コンピュータールームの鍵】が必要となる。
室内は相変わらず旧式の箱型コンピューターが山となっている。
前と違う事といえば、神代が居ないことと、全ての画面が起動して光を灯していることだ。
起動しているコンピューターの一台から機械的な音声が探索者へ語りかけてくる。
『ようこそお出で下さいました』
『ワタシは 現行プログラムのAI「Angel System」』
『世界改変するためのシステムです』
世界改変プログラムのAIは、探索者へ「Angel System」の説明を行う。

<「Angel System」について>
このシステムは世界をリセットし、作り直すようプログラムされている。
起動条件は世界に居続けようとする意志、又はこの世界で育まれた愛情を察知した時。
つまりシステムは探索者二人の強い思いを感じ取り、再び起動した。
前回はプログラムは壊されてしまったが、自動復旧により現状にまで回復した。
復旧は予測期日よりかなり早かった点は、AIにとっては予想外である。


▼最期の選択
説明が終わると、最期の選択肢が探索者に与えられる。
『ここまで辿り着いた貴方には、この世界を創造し直す権限があります。』
『何もかもを”思い通り”にできる、創造主と言える立場になるでしょう。』

システムAIが言う「世界の書き換え」は、まるで神のような所行と言えるだろう。
この世界の行く末を探索者は選べるのだ。
書き換えできるのは一度だけ。双方の同意がなくとも、片方が実行を選べば可能となる。
AIは探索者たちの疑問に答えるよりも、「どんな世界を希望するか」を優先して聞いてくる。
また、悠長にしていれば黒い影がコンピュータルームにまで迫ってくるのも時間の問題だ。

 <※KP情報※>
選択肢は二人で相談するか、PLの探索者に委ねよう。
意志を変えるために交渉技能を振る分には至って構わない。寧ろ推奨する。
なお実行すると、生者探索者の場合は現世へ戻れなくなり死亡扱い。
逆にシステムを破壊すれば、生者の探索者を現世へ返すことができる。
両方死者であったならば、世界を書き換えても問題はないかもしれない。




●世界を書き換える
この選択肢を選ぶ場合は、AIへ理想の世界を語った後に、最後の承諾を示した時点で確定となる。
最終確認を踏まなければ、AIは勝手に探索者たちの言葉を拾って書き換えを始めたりなどはしない。
しっかりとした意志の元でなければ、システムは起動できないからだ。

しかし、もし二人だけの理想郷なんてものを作ろうとしたのなら、思い通りにはならない。
システムによる改変を実行した者以外は、魂が初期化されてNPC化されてしまうからだ。
新しい世界では相手はただ貴方の言うことを聞くだけの人形同然となり、孤独を強いられるだろう。

『了解しました』
『実行命令により 魂の削除を開始』
『魂が残るのは創造主だけです』
『全てを思い通りにするには 個の意志はバグでしかありません』
『よって他を排除し 区別なく人形(NPC)となります』

『一度起動したシステムの停止はプログラム上不可能です』
『中止不可 中止不可』
『以降全ての命令を拒否 分解と再構築を実行』


▼選択の取り消し
この選択後、システムの欠点について気が付かされた探索者には、まだ回避する手段が残っている。
もう一つの選択肢「システムを機械ごと破壊する」ことだ。
ただし最初から破壊を選択する場合と違い、こちらは制限時間が付いてくる。
時間は5ラウンド(約1分)、台数は(2D6+4)台、各一台ずつが耐久5である。
探索者は時間内に、部屋のコンピュータ全てを破壊する手段を見つけなければならない。
地下道でのイベントで銃火器を入手していたならば、実行するのは容易いだろう。
そうでなければ、ほぼ不可能と言える。
ただ受け入れるか、破壊に失敗したならば、結末の描写へと移行する。


▼変わる世界(結末)
『景色が黒い影に飲まれる
 機械も 床も 天井も 空気も 光も 仲間も
 手を伸ばしても黒いもやを掴むだけで そこに仲間はいない』

『ひとりきりになった黒だけに囲まれた空間
 目の前には光の玉が浮かんでいる
 触れてみれば柔らかな粘土のように変形し、自分が思う通りの形を成していく。
 貴方は夢中になって、光の粘土をいじり始めた。』

…………

貴方が望んだ光景に、貴方が望んだ人物が居る。
きっと君は自分に挨拶をする。
「こんにちは」
きっと君は自分を心配してくれる。
「どうしたの? 変な顔して大丈夫?」
そのまま可笑しそうに笑って、自分の名前を呼んでくれるのだ。
「何か言いなよ **?」

何でもないよと答えながら、君は不思議そうに首を傾げた。
そうするだろうと自分が望んだから、君はここで笑っている。

全ては貴方の思い通りの世界。
貴方が望んだ、貴方が中心の、思い通りだけの世界。
ふと誰かが問いを投げかけた気がした。

『神様になった気分は、如何ですか?』

最後に聞こえた問いかけは、より絶対的な神だろうか? あるいはシステムのAIだろうか?
もしかすると、どこかで世界への異質さに気付いてしまっている自分自身への問答かもしれない。
⇒【結末B:「望んだ世界」】




●システムを止める
「Angel System」を止めるにはコンピューターごと破壊するしかない。
破壊の際には次の警告を受ける。

『Alert! Alert! Alert!』
『システムを破壊すれば何が起こるか予測できません』
『破壊された影響で 世界が貴方たちを排除する可能性があります』
『危険 危険 直ちに破壊行動を停止して下さい』

警告は同じ文言を繰り返すだけだ。
確固たる意志さえあれば、無視して破壊を続けるだろう。
ハッキリと意志が固まっているようならば、話の区切りの良い所で破壊し易いきっかけを作ると良い。
例えばAIは探索者たちに選択する気がないと判断し、勝手に魂の削除を始めようとするなどだ。


▼システム破壊後(結末)
壊し終わると、探索者たちはこの世界から強制的に退場する。
死者は輪廻の輪に戻り、生者は現世へ戻る(生き返れる)。

機械的な音声がフェードアウトしていく。
 どうやらふざけたシステムが完全に停止したようだ。
 それを確認すると、金属を叩いたような音が聞こえてきた。
 何もない空虚に、硝子のひび割れを思わせる亀裂が走っている。
 時刻を知らせる鐘の音のごとき金属音は、輪唱するように音を増やしていた。』

『亀裂の隙間から、周囲の景色はまるで砂細工だったかのように砂粒となって崩れていく。
 先には夕焼けと朝焼けが何層にも重なり合いながら、モザイク状に混じり合って夜空に広がっていた。
 朝日と夕日の伸びやかな日光がぶつかり、流動的なグラデーションで塗りあげられた帯となって星の光を拡散している。
 オーロラのような光の帳は、物語の終幕を告げるように揺らめき降りてくる。』

『焼けた空の光が、廃墟に差し込む光のように自分たちを断片的に照らす。
 見れば光を受ける体は、古紙が焼けるように焔を纏い炭化して崩れ落ちていく。
 熱さも痛みもなく、ゆっくりと確実に存在が燃焼されている。
 自分たちに残された時間はあまりないようだと、気づかされることだろう。』

(最期のRP時間)

『足が崩れて 着く膝もなくなる
 体を寝かせる地面は思いの外やわらかく 羽が敷き詰められているようだ
 白い破片が舞い上がる 視界と意識を白く染めて どこまでも』

…………
(※生者探索者は「10:生者の生還」へ以降)

『いつも通りの街の喧噪が聞こえる』
『今日の予定は何だったろうかと考えを巡らせる』
『ふとすれ違いざまに 聞き覚えのある声が聞こえた気がした』

走馬燈か、記憶の中か、はたまた別の世界なのか。
どこかの貴方は、そう思考した。

⇒【結末A:「続く世界」】

__________<結末Aについて>__________
この結末についての考察は、各PLへ委ねられます。
転生後でも、多次元の別世界でも、死の間際にみた夢を繰り返してるだけでもいいでしょう。
あるいは共に行動した生者探索者が考えたことかもしれません。
ただし死んだ探索者が元の世界に生き返ったことには絶対になりません。
それ以外でしたら、自由に考えてください。
______________________________


 

10:生者の生還


以降は【結末A:「続く世界」】を迎えた生者探索者にのみ発生する処理である。
世界の崩壊と同時に弾き飛ばされた魂は、最も繋がりの強い自分の体へと引き寄せられる。

●生者探索者のその後
病院のベッドで目を覚ます。
長く悲しい夢を見ていた気はすれど、意識はぼんやりとして何も思い出せない。
身内に聞けば、自分は事故に遭い、短くはない期間で意識不明だったと言う。
探索者の手には、2枚の紙が握られている。二人が願いを記した紙だ。
誰が握らせたかは、身内も医療関係者も知らないと答える。
その紙を見ているうちに、夢のようで夢でなかった、あの世界の記憶が蘇ってくる。
ベッドからはまだ起きあがれない。退院には暫くかかるだろう。


●生者探索者へのペナルティ
死んだものとの邂逅を果たした探索者は、得たものが大きい一方でそれなりの対価が払われている。
対価とは【シナリオ終了時点での正気度の半分の喪失】だ。
(SAN50でクリアしたならば、SAN25になっている。)
よってある不定の狂気を発症する。
 <不定の狂気「死の概念欠如」>
死亡しても生き返る。とても正気ではない世界に長く居すぎた反動が、現世へ戻った時に如実に現れる。
死の概念が曖昧になっているため、本来あるべき危機感が薄れてしまっているのだ。
危機感の希薄化は注意散漫を呼び、怪我や事故に遭いやすく、耐久などが削れやすい。
よってこの不定期間中にシナリオへ投入しようとすると【半分の耐久値】投入しなければならない。
期間は[1D10×10日間](KPとPLの相談によって変動可)


●生者探索者への報酬
※注意※
【白い羽根】は保存することができないため、シナリオ外へ繰り越すことはできない。
その場で使うか、放置して自然消滅(報酬の拒否)をするかの選択となる。

故人へ抱いていた思いを果たせた探索者は、願いの紙と一緒に【白い羽根】が一つ胸の上に乗っている。
【白い羽根】を握って亡き思い人へ追慕の念を寄せると、羽根は溶けるように体の中へ消えていく。
羽根は消えた代わりに、相手のPOW値と同じ数値だけの正気度を回復してくれる。
対象が正気度ゼロの探索者だった場合は、目標値[自分のPOW+相手のPOW]に成功すれば回復できる。
ただし同じ量でなく半分の値(小数点切り捨て)の回復である。
(回復例)
KP探索者は死者でPOW10、PL探索者は生者でPOW15
・正気度がある生者探索者
 →10ポイントの正気度回復
・正気度ゼロ以下の生者探索者
 →目標値25%で成功→10の半分で5ポイントの正気度回復
 →目標値25%で失敗→正気度回復なし


 

11:プロット


探索者たちがこの世界に招かれた日付は同時だが、とある理由により経験差が発生している。
導入ではPL探索者は初めて世界に来ばかりのように進行されるが、実際は1ヶ月以上の期間が開いている。

生者PCは事故により意識不明
  ↓
導入:故人の招き
     ↓
     ↓
―――――(1ヶ月より前)―――――
探索者二人が死者のための世界に来る
この段階では自分が死んだ時以外の記憶があるが、少々曖昧で感覚が不確か。
  ↓
この世界から去ろうとしていた青年と話し、自分が死んだ事実を知る。
世界に関しての情報を聞かされ、青年の提案で【願いの紙】を書く。
ロケットペンダントに入れて各自で所持する。
  ↓
神の子に遭遇する。魂ある人間かどうかの確認のため干渉される。
人外的力によりPL探索者が狂気に陥らされ、KP探索者を殺し、自害する。
(この世界でははじめての死の体験)
  ↓
復活して互いの記憶を確認すると、PL探索者だけ「神の子に関する記憶」が抜かれている。
KP探索者の説得と両者の相談の上で、【願いの紙】を隠すことになる。
それぞれのペンダントを、記憶を無くしても自分が行きそうな場所に隠す。
  ↓
KP探索者は念のためにと隠し場所を変更する。
両方のペンダントから【願いの紙】を抜き取り、別の隠し場所へ移動。
隠す際に使った【紙の箱】には、自分が忘れても思い出せるように「神の子」について記述している。
  ↓
神の子の観察期間
束の間の平穏な日常を過ごす。
     ↓
     ↓
―――――(1ヶ月前)―――――
探索者たちは再度「神の子」に遭遇し、殺されてしまう。
  ↓
探索者は二人とも記憶のほとんどを奪われてしまい、記憶操作も行われた。
KP探索者は名前以外の素性と、NPCの規律を守るよう刷り込みの暗示をされる。
PL探索者は全ての記憶を奪われ、1ヶ月間はNPCと同じように過ごしている。
  ↓
神の子の観察期間
何も覚えていないため、二人は関わりを持たずにそのまま月日が過ぎる。
  ↓
変化がないと判断した神の子は、PL探索者を再度殺して記憶に変化を与える。
導入時の状況は、神の子に殺されて、夜に蘇生したところ。
     ↓
     ↓
―――――(シナリオ開始)―――――
◆導入
初めてこの世界に来たと錯覚するPL探索者
KP探索者はまだ暗示が解けていなかったところを、PL探索者を殺した反動で正気に戻る。
ただし肝心の記憶は失われたままである。
  ↓
保健室で朝を迎える。
昨晩の状況、世界についての説明。学校案内。
KP探索者が【願いの紙】について思い出す。
  ↓
願いの紙の探索パート
設定した3カ所を巡る
「神の子」による監視と干渉、【願いの紙】に呪いをかけられる。
  ↓
【願いの紙】を発見
<シナリオ開始前にKPとPLが書き出した【後悔したこと】を公開>
内容を見たことで一部の記憶が戻る。
紙の箱に書かれた情報を入手(「神の子」について)
     ↓
     ↓
◆犯人探しパート
聞き込みにより「神代 頼(かみしろ より)」という人物名が浮上する。
  ↓
目撃情報を元に「第2パソコン室」へたどり着く。
室内には神の子「神代頼」が待ち受けている。
  ↓
「神の子」との遭遇
・全ての記憶の返却
・呪いによりこの世界から卒業できなくされている
上記の事を明かしたら強制的に気絶
(約2~3日経過が経過する)
     ↓
     ↓
◆神の子からの選択
探索者たちが昏睡状態から目覚める
全ての記憶を思い出す
  ↓
再び神の子に会うため屋上へ向かう
  ↓
神の子から選択肢を提示される
・神の箱庭を選択する
 ⇒【結末D「小さな箱庭」】
・箱庭を拒否
 →シナリオはまだ続く
  ↓
神の子が世界から退場する際に、最後の干渉を行う。
・願いの紙にかけた呪いを解く
・元の姿に戻る方法の開示
・世界改変システムを修復する
去り際には次へのヒントを示唆する。
     ↓
     ↓
◆束の間の平穏
この平穏が続くのは約半日間。
・未練を晴らす
 ⇒【結末C「後悔なき別れ」】
・まだ世界に残る
 →次イベント
     ↓
     ↓
◆世界の異変
再起動した世界改変システムがプログラムを実行する。
NPCたちが黒い影となり、探索者たちを襲い始める。
完全に影に囚われる
⇒【結末E「影に混じる」】
  ↓
神代の言葉通りコンピュータールームへ向かう
  ↓
コンピュータールーム
復旧した世界改変システムのAIがプログラムを提示し、簡単な説明を行う。
説明が終わると、ある機会がPL探索者に与えられる。
  ↓
最期の選択
・世界を改変する
 ⇒【結末B:「望んだ世界」】
・システムを破壊する
 ⇒【結末A:「続く世界」】
     ↓
     ↓
【結末A:「続く世界」】の場合は、生者探索者に最後の処理を行う。


 

12:その他補足や裏話


●この世界の肉体
この世界で使われる肉体は生身でなく、あくまで記憶を鋳型にして作られた仮初めの体です。
魂を定着させておく力も後悔の念だけで、まるで風船のようにとても不安定となっています。
また、固定された魂がなくなると存在を留めておくことすらできない曖昧な作りです。
そのため何度も復活できる反面、魂と肉体の反りが完全に一致していません。
神の子に記憶を簡単にいじられてしまったのも、この曖昧さによるところが大きいです。



●おまけ要素
看病茶番だけしたい時、発狂を強制解除させる時などに使えます。
症状の度合いや種類などを適当に改変してください。
_____(※看病茶番用ギミックです※)__________
以下の症状は記憶が戻った際や、元の姿に戻ろうとする場合に発生する。

▼記憶と体の軋轢
年齢を変化させ、蘇った記憶によるSANチェックで失敗した者に適応される。
探索者は一斉に蘇った記憶により、現在の記憶との混濁で精神が不安定となる。
不安定になった精神は、元の体へ戻ろうと強い生理作用を促す。
なお、箱庭を拒否した後に元の姿へ戻った者にも該当する。
元の姿に戻った後、暫くすると肉体変化の余韻で同じような強い生理作用を起こす。
二人とも一緒の時間に戻ったのであれば、同時に発生することとなる。

 <症状>
最初は目眩から始まり、激しい発熱と発汗を起こして直ぐに意識が朦朧とする。
死ぬことはないが、暫くはまともに動けなくなる。
目覚めると症状弱まるものの、朦朧とした意識は晴れないまま続く。
変化を起こそうと常に体が精気を化生し続け、精気過剰な状態に陥っているため強い倦怠感を伴う。

 <症状の解消法>
元々は記憶の混乱によるところが大きいため、気持ちが落ち着きさえすれば症状は収まる。
それなりの時間経過、あるいは一度殺すとリセットされる。
_____________________________



●故人の招きについて
無造作に漂っている魂が別の次元に辿り着くには、それなりの因果力が必要だろうと思った結果です。
そのため天涯孤独で誰とも関わって来なかったような人物だった場合、この世界には辿り着けません。
シナリオ中では招きを行った故人は、探索者と魂を共にしています。
何も影響は与えませんが、探索者が受けた痛みや辛さは共有しています。
故人の魂が解放されるのは「結末C:後悔なき別れ」「結末A:続く世界」だけです。
他の結末の場合は、故人の魂も道ずれにしています。



●神の子の姿案
創造する力で生命は作れないものの、生命でなくなった死体は作れます。
神の子はそれを利用して、探索者の姿に似せて遭遇させることも可能です。
探索者の記憶を覗いて、共有の知人や大切な人の姿に成り変わることもできるでしょう。
今回は見た目そっくりの別人ギミックも入れる予定でしたが、蛇足になりそうだったので諦めました。
もしやってみたいと思ったならば、好きにシナリオを改変してください。



●願いの世界が崩壊した理由
本来の「Angel System」は機械を破壊しても世界を崩壊させるほどの影響力は持っていません。
また、原作のアニメでも登場しますが、シナリオでは少し違う設定にしてあります。
今回は元通りにならないものを神の子が無理矢理復旧させた結果、世界の崩壊に繋がりました。
ですが世界は完全に崩壊、消滅したわけではありません。
力場となる場所と、人の願いと言う名の欲望が消え失せない限り世界は再構築されます。
生まれ変わった世界では、新たな物語が芽吹いているかもしれません。




【あとがき】
死んでしまった探索者を蘇生させなくとも、せめて付き合い深いキャラと話をさせたいと思い作成しました。
パロディ元のAB!に関しては、前々からAB!風のシナリオを作りたいと考えていたので良いきっかけとなりました。
全13話ながらたっぷりの内容に飽きさせないストーリー展開なので、機会がありましたら是非ご視聴ください。
KPさんであれば、セッション前に視聴しておけば咄嗟のアドリブ対応にも役に立ちます。
因みに私は5話と9話が好きです。日向ロケット

生者の報酬で出した「白い羽根」は、本シナリオを作る上でインスピレーションを受けた楽曲の影響です。
歌詞の情景や曲調雰囲気がイメージと合っているので、シナリオ制作中に一番聞いていました。
こちらも機会があれば聞いてみてください。
【曲名「真実の羽根」/アーティスト:やなぎなぎ/アルバム:ラテラリティ

※お願い※
改変する場合は、ロスト探索者の【復活シナリオにはしないで下さい。】
ゲームなのだから復活するのも有りという考えは私にもあります。
ですが「死んだものは死んだもの」という考えを主軸に置いて、本シナリオは制作されています。
また、パロディ元のアニメ「Angel Beats!」でも明確な死者の復活は行われていないため、そのイメージを守りたい考えでもあります。
個人的な拘りですが、よろしくお願いします。
(禁止ではないので、万一そう言った改変をする場合はこっそりひっそりでお願いします。)

 

13:参考・引用(敬称略)


クトゥルフの呼び声クトゥルフ神話TRPG
Angel Beats! 」(公式サイト):www.angelbeats.jp/
※魂ある人々が一斉に消える事件についてはアニメ本編を観てください。




***ここまで読んで頂きありがとうございました。***
(2015/07/12) シナリオ製作:kanin(http://kanin-hib.hateblo.jp/
(2015/08/06) シナリオ調整
(2015/11/26) 公開用に修正
(2017/11/23) 報酬に注意追加
(2020/06/30) 注意事項をやや修正